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2章
4.ワンモア
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そりゃあそうだ。いくらソーニャといえど、全ての本の内容を丸暗記しているわけじゃないだろう。
むしろ、そこまで覚えていただけで凄い。
「そこまで教えてくれただけで充分だよ。ありがとう!さすがソーニャ!頼りになる!!!大好き!!」
ギュッと抱きつくと、ソーニャは目尻を下げて俺を抱っこする。細くてそんなに力があるわけじゃないソーニャに抱き上げられるなんて、人生初の経験だ。
「ふふふ、私もリディが大好きですよ!なんてちっちゃくて可愛いんでしょう。ノエルちゃんと一緒にうちの子になりますか?」
「ふざけるなよクソババア。リディは俺の妻だ!返せ!!」
頬ずりするソーニャから無理やり俺を引き剥がし、ジークハルトが悪態をついた。
思い切り叫んだので、ギルドがざわっとする。
「おい……あの男、あんな小さな子を妻って言ったか……?」
「やべぇぞ……通報したほうがいいんじゃねぇかな」
ヒソヒソと囁くギャラリーに、ジークハルトがギンッと睨みを利かす。竜の瞳孔が開いちゃってるよ、あーあ。
ともかく、威圧で周囲を気絶させてもらっては困る。俺はジークハルトの頬をムニムニと引っ張った。
「なにをひゅる、リりィ」
「脅すな!あとソーニャにも謝れ!せっかく色々教えてくれたのに、失礼だろ!」
「あれはあのババァが悪いんだ!お前は俺の奥さんなのに、うちの子にするなんて言うから」
「俺のピンチを救う知恵を授けてくれたことに対する感謝はないんだ。ジークにとってはそんなことどうでもいいんだ。恩義とか感じないぐらい他人事なんだ。へーふーんそう」
「ソーニャ、申し訳なかった。深く感謝する」
180度手のひらを返してジークハルトが謝罪する。
ソーニャはその点やっばり大人で、鷹揚に頷いて済ませた。
しかし、そう分かれば話は早い。
準備を整えて再びルジュナに向かい、図書館でソーニャがみたという本を探して薬の材料を確かめなくては。
幸い、ソーニャが覚えていてくれた材料のうち幾つかは貯蔵庫に持ち合わせがある。足りない分はここで依頼を出しておいて、それでダメなら取りに行けばいいだろう。
目下の予定がはっきりして、元気が湧いてきた。確かに体は小さいが、冒険者カードの内容は殆ど変わっていない。少しHPとMPが目減りしているが、それ以外はいつもの俺だ。
体は子供、強さは大人。ジークハルトもノエルもいるし、特別不安要素はない。
いざとなれば、本当に権力を使ってルジュナと交渉しよう。少なくとも、体が戻るまでは。
簡単に国の後ろ盾を使うのかって思われるかもしれないけど、今の権力は今まで竜王妃として150年間きちんと働いてきたことに裏付けられてるものだから、ここぞという時に使うことはズルでもなんでもない。
むしろ、そんな時にでも役に立ってくれないと、王族なんて割に合わなすぎてやっていられないからな!!
ちなみに、今の俺の冒険者カードはこんな感じ。
ついでだからジークハルトとノエルのカードもちょっと覗いてしまおう。
【リディエール・アルディオン】
HP:820 MP:532 種族:人間 (竜神と血の婚礼済)
冒険者ランク:S レベル:92 次レベルまでの経験値:207026
称号:ネモの永遠の女神、神獣の主、竜王妃、アルディオンの白百合、ソードマスター、白銀の狂犬
スキル: 剣8 槍1 弓3 体術5
魔法:炎0 水1 風5 地0 身体強化7 空間制御4
やっぱり、体が子供だけあってフィジカルはちょっと下がってるな。
身体強化のスキルレベルが下がってないのが救いだけど、ただでさえレベルにしては少なめだったMP総量が少なくなってるから、魔法の使い過ぎには注意が必要だ。
件のサイラスを倒した経験値で、旅の出発の時点で既に冒険者レベルは92になってたから、レベルは上がってない。道中の山賊たちを蹴散らした程度ではたいした経験値にならなかったんだな。
帰るまでにレベル100を目指したいかもと思ったりしているから、そのうちどこかのダンジョンに行きたいところだ。
……なんか、一部の称号がまた変わってる気がするけど、知らん知らん。
そして、こっちがジークハルト。
【ジークハルト・アルディオン】
HP:4120 MP:2975 種族:竜人
冒険者ランク:SS レベル:157 次レベルまでの経験値:6799
称号:竜王妃の奴隷、竜王、ソードマスター、サラマンダーの愛し子、竜神の末裔
スキル: 剣- 槍10 弓8 体術-
魔法:炎*- 水0 風8 地5 身体強化- 空間制御5 咆哮8 威圧8 炎のブレス10*
うおお、やっぱ化け物。スキルや魔法の一部の数値がカンストして測定不能になっちゃってるじゃん。
特に属性だけあって炎の補正がやばすぎる。神の血を引いてる上に炎の最上位精霊サラマンダーの愛し子というチートオプションがついてるせいで、炎系の攻撃の数値にプラスアルファ*がついていた。
称号も物凄く豪華な字面のラインナップだが、その中で一際異彩を放つやつがある。……お前、旦那じゃなくて奴隷だったのか…………。
俺が恐妻ってことじゃないよな???ちょっとは優しくしてやんなきゃダメ??
色々考えつつ、俺はそっと冒険者カードから目を逸らした。
最後に、ノエルのカードがこれ。
【ノエル・アルディオン】
HP:1540 MP:2300 種族:神獣
冒険者ランク:A レベル:78 次レベルまでの経験値:150338
称号:ドラゴンスレイヤー、竜王妃のペット、フェンリルの仔
スキル: 剣0 槍0 弓0 体術7
魔法:炎3 水0 風3 地2 身体強化5 咆哮4
……………早い、早いよ。成長が凄まじすぎる。
特にHPとMPの上昇が半端ない。これが種族の差ってやつか。人間の俺と神獣のノエルでは、成長ボーナスが違いすぎる。
ただ、ノエルもサイラスという化け物を倒したことで馬鹿みたいな経験値が入ってレベルが爆上がりしているだけで、戦闘の場数をこなして強くなってるわけじゃないから、スキルレベルはあんまり変わってない。
本気出して戦えば、俺がノエルを戦闘不能にすることはそう難しくないだろう。
まあ、そんなことしないんだけど、万が一ノエルがバーサーク状態になった時に、きちんと対処できるかどうかは飼い主としてきちんと把握していないといけないからな。これからも定期的にカードをチェックしていこう。
それにしても、ほんとに戦闘力半端ない一行だよなぁ。ちゃんと隠蔽してないと、入国するのを拒否されそうだ。
ルジュナ再訪は確定してるから、ほんとに気合い入れないとだな。
むしろ、そこまで覚えていただけで凄い。
「そこまで教えてくれただけで充分だよ。ありがとう!さすがソーニャ!頼りになる!!!大好き!!」
ギュッと抱きつくと、ソーニャは目尻を下げて俺を抱っこする。細くてそんなに力があるわけじゃないソーニャに抱き上げられるなんて、人生初の経験だ。
「ふふふ、私もリディが大好きですよ!なんてちっちゃくて可愛いんでしょう。ノエルちゃんと一緒にうちの子になりますか?」
「ふざけるなよクソババア。リディは俺の妻だ!返せ!!」
頬ずりするソーニャから無理やり俺を引き剥がし、ジークハルトが悪態をついた。
思い切り叫んだので、ギルドがざわっとする。
「おい……あの男、あんな小さな子を妻って言ったか……?」
「やべぇぞ……通報したほうがいいんじゃねぇかな」
ヒソヒソと囁くギャラリーに、ジークハルトがギンッと睨みを利かす。竜の瞳孔が開いちゃってるよ、あーあ。
ともかく、威圧で周囲を気絶させてもらっては困る。俺はジークハルトの頬をムニムニと引っ張った。
「なにをひゅる、リりィ」
「脅すな!あとソーニャにも謝れ!せっかく色々教えてくれたのに、失礼だろ!」
「あれはあのババァが悪いんだ!お前は俺の奥さんなのに、うちの子にするなんて言うから」
「俺のピンチを救う知恵を授けてくれたことに対する感謝はないんだ。ジークにとってはそんなことどうでもいいんだ。恩義とか感じないぐらい他人事なんだ。へーふーんそう」
「ソーニャ、申し訳なかった。深く感謝する」
180度手のひらを返してジークハルトが謝罪する。
ソーニャはその点やっばり大人で、鷹揚に頷いて済ませた。
しかし、そう分かれば話は早い。
準備を整えて再びルジュナに向かい、図書館でソーニャがみたという本を探して薬の材料を確かめなくては。
幸い、ソーニャが覚えていてくれた材料のうち幾つかは貯蔵庫に持ち合わせがある。足りない分はここで依頼を出しておいて、それでダメなら取りに行けばいいだろう。
目下の予定がはっきりして、元気が湧いてきた。確かに体は小さいが、冒険者カードの内容は殆ど変わっていない。少しHPとMPが目減りしているが、それ以外はいつもの俺だ。
体は子供、強さは大人。ジークハルトもノエルもいるし、特別不安要素はない。
いざとなれば、本当に権力を使ってルジュナと交渉しよう。少なくとも、体が戻るまでは。
簡単に国の後ろ盾を使うのかって思われるかもしれないけど、今の権力は今まで竜王妃として150年間きちんと働いてきたことに裏付けられてるものだから、ここぞという時に使うことはズルでもなんでもない。
むしろ、そんな時にでも役に立ってくれないと、王族なんて割に合わなすぎてやっていられないからな!!
ちなみに、今の俺の冒険者カードはこんな感じ。
ついでだからジークハルトとノエルのカードもちょっと覗いてしまおう。
【リディエール・アルディオン】
HP:820 MP:532 種族:人間 (竜神と血の婚礼済)
冒険者ランク:S レベル:92 次レベルまでの経験値:207026
称号:ネモの永遠の女神、神獣の主、竜王妃、アルディオンの白百合、ソードマスター、白銀の狂犬
スキル: 剣8 槍1 弓3 体術5
魔法:炎0 水1 風5 地0 身体強化7 空間制御4
やっぱり、体が子供だけあってフィジカルはちょっと下がってるな。
身体強化のスキルレベルが下がってないのが救いだけど、ただでさえレベルにしては少なめだったMP総量が少なくなってるから、魔法の使い過ぎには注意が必要だ。
件のサイラスを倒した経験値で、旅の出発の時点で既に冒険者レベルは92になってたから、レベルは上がってない。道中の山賊たちを蹴散らした程度ではたいした経験値にならなかったんだな。
帰るまでにレベル100を目指したいかもと思ったりしているから、そのうちどこかのダンジョンに行きたいところだ。
……なんか、一部の称号がまた変わってる気がするけど、知らん知らん。
そして、こっちがジークハルト。
【ジークハルト・アルディオン】
HP:4120 MP:2975 種族:竜人
冒険者ランク:SS レベル:157 次レベルまでの経験値:6799
称号:竜王妃の奴隷、竜王、ソードマスター、サラマンダーの愛し子、竜神の末裔
スキル: 剣- 槍10 弓8 体術-
魔法:炎*- 水0 風8 地5 身体強化- 空間制御5 咆哮8 威圧8 炎のブレス10*
うおお、やっぱ化け物。スキルや魔法の一部の数値がカンストして測定不能になっちゃってるじゃん。
特に属性だけあって炎の補正がやばすぎる。神の血を引いてる上に炎の最上位精霊サラマンダーの愛し子というチートオプションがついてるせいで、炎系の攻撃の数値にプラスアルファ*がついていた。
称号も物凄く豪華な字面のラインナップだが、その中で一際異彩を放つやつがある。……お前、旦那じゃなくて奴隷だったのか…………。
俺が恐妻ってことじゃないよな???ちょっとは優しくしてやんなきゃダメ??
色々考えつつ、俺はそっと冒険者カードから目を逸らした。
最後に、ノエルのカードがこれ。
【ノエル・アルディオン】
HP:1540 MP:2300 種族:神獣
冒険者ランク:A レベル:78 次レベルまでの経験値:150338
称号:ドラゴンスレイヤー、竜王妃のペット、フェンリルの仔
スキル: 剣0 槍0 弓0 体術7
魔法:炎3 水0 風3 地2 身体強化5 咆哮4
……………早い、早いよ。成長が凄まじすぎる。
特にHPとMPの上昇が半端ない。これが種族の差ってやつか。人間の俺と神獣のノエルでは、成長ボーナスが違いすぎる。
ただ、ノエルもサイラスという化け物を倒したことで馬鹿みたいな経験値が入ってレベルが爆上がりしているだけで、戦闘の場数をこなして強くなってるわけじゃないから、スキルレベルはあんまり変わってない。
本気出して戦えば、俺がノエルを戦闘不能にすることはそう難しくないだろう。
まあ、そんなことしないんだけど、万が一ノエルがバーサーク状態になった時に、きちんと対処できるかどうかは飼い主としてきちんと把握していないといけないからな。これからも定期的にカードをチェックしていこう。
それにしても、ほんとに戦闘力半端ない一行だよなぁ。ちゃんと隠蔽してないと、入国するのを拒否されそうだ。
ルジュナ再訪は確定してるから、ほんとに気合い入れないとだな。
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