37 / 74
愛していると泣き叫ぶ獣
【ウソツキな俺】ごと愛してくれ
しおりを挟む
コンビニであったかい飲み物とおにぎり数個を買って、取り敢えず今からどうしようかと車の中で話し合うことにした。
………といっても、俺が思ってた動きを話すだけだが。
「取り敢えず、明日アイツが【俺に自分の恋人を奪われた】って騒ぎ出す可能性は十分にある。」
「そうだね。すごく嫌だけど、その可能性は大きいだろうね………」
本気で嫌そうな表情で顔を歪めて、康介は吐き捨てるようにそう言った。
秋元も俺に劣らず顔は良いんだが、気持ち悪さのが上回ったらしい。
だろうな。
あの窃盗事件を目撃した日以上に気持ち悪かったし。
「だから味方をこっち側に引き入れる。必然的に会社の人間に俺達の関係が知られるけど、構わないんだよな?」
「うん、良いよ。」
あっさりとしたいいお返事にちょっと不安になりながら、買ったおにぎりを一口齧る。
ん、康介のおにぎりのがうめぇな。普通に。
「おべんと付けてるよ。」
「ん。ありがと。」
早速康介のおにぎりを恋しく思っていると米粒を口の端に付けてたらしく、康介が摘んで取ってくれた。
この歳になってこれは恥ずかしい。
思わず顔を背けてしまう俺に、康介が笑った気配がした。
「可愛い。」
「うるせ。」
残っていたおにぎりを一気に口に入れ、誤魔化す。
そういう所もガキくせぇって分かってるんだが、ついやってしまうのは、康介の笑みが馬鹿にしたものじゃないと分かっているからか。
あー、これがコンビニの駐車場じゃなくていつもの駐車場なら思う存分イチャつけるんだけどな。
「さ、電話するか。」
「誰に?」
「………三度の飯より噂話が好きな男。」
俺の言葉に、康介が怪訝そうな顔をする。
分かる。
俺もこんな説明されたらそんな顔するわ。
だけどまぁ、それしか言いようがないんだから仕方ない。
そこんじょそこらの雀よりもぴーちくぱーちく煩く囀るソイツは、面白いネタがあったら嬉々として飛びつき一瞬で無責任に広げるようなクズだ。
だが他人の顔と名前は一発で覚える記憶力の良さも含めて、使いようによっては役に立つ。
だから俺はそこそこ仲良くしているが、秋元とはバチクソ相性が悪い。
別にアイツが秋元を嫌ってる訳じゃない。
ただ、隙の無い秋元を逆に面白がってアイツがちょっかいかけまくるから、秋元が一方的にアイツを嫌ってる感じだ。
なので寧ろ都合が良い。
「多分、明日の昼頃には会社中に俺とお前が付き合ってることが広がる。」
「………逆にすごいね、それ。」
呆れたように康介がそう言い、それでも俺の頬を撫でながら笑った。
呑気に笑ってるが分かってんのか?
もう【お試し】なんて言ってられないんだぞ。
「僕、ずっと言ってなかったんだけどさ。」
「ああ。」
「僕自身、ちょっと自信無いんだけどさ。」
「ああ。」
「多分、耀司くんが思ってるより、耀司くんが好きだよ。」
曖昧で、ズルい言い方。
それなのに思わず顔が赤くなってしまう程嬉しいし、マジでうるさい位に心臓が鳴ってしまうのは仕方ねぇだろ。
マジでズルい。
地味顔陰キャのクセに。
欲目フィルター無いと可愛くねぇのに、最高にあざとくて可愛い。
「耀司くんは僕の彼氏で居てくれるんだよね?」
だと思えば演技でもなんでもない不安そうな表情でそんなことを言い出すもんだから、まるで本当に俺を好きになってくれたんじゃねぇかと勘違いしてしまう、期待してしまう。
康介の知らない、【ウソツキな俺】ごと愛してくれるんじゃねぇかと。
そんな筈、ないのに。
「ああ。俺を、お前の彼氏で居させて欲しい。この先も、ずっと。」
それでも俺は、恋人で居たいから。
………といっても、俺が思ってた動きを話すだけだが。
「取り敢えず、明日アイツが【俺に自分の恋人を奪われた】って騒ぎ出す可能性は十分にある。」
「そうだね。すごく嫌だけど、その可能性は大きいだろうね………」
本気で嫌そうな表情で顔を歪めて、康介は吐き捨てるようにそう言った。
秋元も俺に劣らず顔は良いんだが、気持ち悪さのが上回ったらしい。
だろうな。
あの窃盗事件を目撃した日以上に気持ち悪かったし。
「だから味方をこっち側に引き入れる。必然的に会社の人間に俺達の関係が知られるけど、構わないんだよな?」
「うん、良いよ。」
あっさりとしたいいお返事にちょっと不安になりながら、買ったおにぎりを一口齧る。
ん、康介のおにぎりのがうめぇな。普通に。
「おべんと付けてるよ。」
「ん。ありがと。」
早速康介のおにぎりを恋しく思っていると米粒を口の端に付けてたらしく、康介が摘んで取ってくれた。
この歳になってこれは恥ずかしい。
思わず顔を背けてしまう俺に、康介が笑った気配がした。
「可愛い。」
「うるせ。」
残っていたおにぎりを一気に口に入れ、誤魔化す。
そういう所もガキくせぇって分かってるんだが、ついやってしまうのは、康介の笑みが馬鹿にしたものじゃないと分かっているからか。
あー、これがコンビニの駐車場じゃなくていつもの駐車場なら思う存分イチャつけるんだけどな。
「さ、電話するか。」
「誰に?」
「………三度の飯より噂話が好きな男。」
俺の言葉に、康介が怪訝そうな顔をする。
分かる。
俺もこんな説明されたらそんな顔するわ。
だけどまぁ、それしか言いようがないんだから仕方ない。
そこんじょそこらの雀よりもぴーちくぱーちく煩く囀るソイツは、面白いネタがあったら嬉々として飛びつき一瞬で無責任に広げるようなクズだ。
だが他人の顔と名前は一発で覚える記憶力の良さも含めて、使いようによっては役に立つ。
だから俺はそこそこ仲良くしているが、秋元とはバチクソ相性が悪い。
別にアイツが秋元を嫌ってる訳じゃない。
ただ、隙の無い秋元を逆に面白がってアイツがちょっかいかけまくるから、秋元が一方的にアイツを嫌ってる感じだ。
なので寧ろ都合が良い。
「多分、明日の昼頃には会社中に俺とお前が付き合ってることが広がる。」
「………逆にすごいね、それ。」
呆れたように康介がそう言い、それでも俺の頬を撫でながら笑った。
呑気に笑ってるが分かってんのか?
もう【お試し】なんて言ってられないんだぞ。
「僕、ずっと言ってなかったんだけどさ。」
「ああ。」
「僕自身、ちょっと自信無いんだけどさ。」
「ああ。」
「多分、耀司くんが思ってるより、耀司くんが好きだよ。」
曖昧で、ズルい言い方。
それなのに思わず顔が赤くなってしまう程嬉しいし、マジでうるさい位に心臓が鳴ってしまうのは仕方ねぇだろ。
マジでズルい。
地味顔陰キャのクセに。
欲目フィルター無いと可愛くねぇのに、最高にあざとくて可愛い。
「耀司くんは僕の彼氏で居てくれるんだよね?」
だと思えば演技でもなんでもない不安そうな表情でそんなことを言い出すもんだから、まるで本当に俺を好きになってくれたんじゃねぇかと勘違いしてしまう、期待してしまう。
康介の知らない、【ウソツキな俺】ごと愛してくれるんじゃねぇかと。
そんな筈、ないのに。
「ああ。俺を、お前の彼氏で居させて欲しい。この先も、ずっと。」
それでも俺は、恋人で居たいから。
16
あなたにおすすめの小説
運命じゃない人
万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。
理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。
一日だけの魔法
うりぼう
BL
一日だけの魔法をかけた。
彼が自分を好きになってくれる魔法。
禁忌とされている、たった一日しか持たない魔法。
彼は魔法にかかり、自分に夢中になってくれた。
俺の名を呼び、俺に微笑みかけ、俺だけを好きだと言ってくれる。
嬉しいはずなのに、これを望んでいたはずなのに……
※いきなり始まりいきなり終わる
※エセファンタジー
※エセ魔法
※二重人格もどき
※細かいツッコミはなしで
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる