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隣の芝生はなんとやら
過去形では足りない
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「康介!」
「………え?」
「は?」
康介だ。
本物の康介だ!
康介が目の前に、手の届く場所に居る。
蘭も居るという事実よりも、愛してる康介が目の前に居るという事実に興奮して康介の名前を呼んで近付いた。
きっと康介は俺を分かってくれる。
愛してくれる。
抱き締めてくれる。
「え?は?誰?」
「「え?」」
だというのに、康介は心底分かっていなさそうな顔をした。
ずっと放っておいたから怒ってるのか?
俺を困らせようとしてるんだよね?
「………え?耀司くんの知り合い?」
「いや、知り合いも何も許斐宗太郎だよ。」
「ああっ!許斐くん!そうだそうだ、こんな顔だったね!思い出した。」
そう期待したのに、康介はにこにことそう言った。
本当に今思い出したかのように言った康介に、蘭が勝ち誇ったようなドヤ顔をしてくる。
腹立つ。
「この近くに住んでるんだね。」
「あ、ああ。そうなんだ。康介もなんだな。」
「うん。パートナーと一緒に住んでる。蘭耀司くん、知ってるんだよね。」
ぎゅっと指を絡ませて手を繋ぎながら、幸せそうに俺にそう言った。
俺と付き合ってた時、こんな風に笑う康介を俺はいつも見ていた。
でも俺は幼くて、男同士だという事実を隠そうといつも思っていた。
こんな風に、人前で堂々と手を繋いだことなんて、一度だってなかった。
「ああ、蘭さんのパートナー、康介なんですね。」
「ええ。許斐さんは康介の知り合いで?」
白々しいと思った。
さっき、明らかに康介と俺が他人ではないと分かっている態度だった。
多分俺の名刺か何かを見た康介から聞いたんだろう。
名前は覚えてくれたみたいだったし。
「ええ。俺と康介は………」
友人だったと、言うのが正解なのだろう。
どう見ても幸せそうなパートナー同士に、ましてや取引相手に波風立てるようなことを言うべきではない。
それでも、ズルいと思った。
堂々と康介と手を繋いでいることが、揃いの部屋着を着ていることが。
康介の隣に居ることが、羨ましくて仕方ない!!
「恋人だったんです。」
にっこりと、笑う。
嗚呼、早く、現在進行形にしたい。
「………え?」
「は?」
康介だ。
本物の康介だ!
康介が目の前に、手の届く場所に居る。
蘭も居るという事実よりも、愛してる康介が目の前に居るという事実に興奮して康介の名前を呼んで近付いた。
きっと康介は俺を分かってくれる。
愛してくれる。
抱き締めてくれる。
「え?は?誰?」
「「え?」」
だというのに、康介は心底分かっていなさそうな顔をした。
ずっと放っておいたから怒ってるのか?
俺を困らせようとしてるんだよね?
「………え?耀司くんの知り合い?」
「いや、知り合いも何も許斐宗太郎だよ。」
「ああっ!許斐くん!そうだそうだ、こんな顔だったね!思い出した。」
そう期待したのに、康介はにこにことそう言った。
本当に今思い出したかのように言った康介に、蘭が勝ち誇ったようなドヤ顔をしてくる。
腹立つ。
「この近くに住んでるんだね。」
「あ、ああ。そうなんだ。康介もなんだな。」
「うん。パートナーと一緒に住んでる。蘭耀司くん、知ってるんだよね。」
ぎゅっと指を絡ませて手を繋ぎながら、幸せそうに俺にそう言った。
俺と付き合ってた時、こんな風に笑う康介を俺はいつも見ていた。
でも俺は幼くて、男同士だという事実を隠そうといつも思っていた。
こんな風に、人前で堂々と手を繋いだことなんて、一度だってなかった。
「ああ、蘭さんのパートナー、康介なんですね。」
「ええ。許斐さんは康介の知り合いで?」
白々しいと思った。
さっき、明らかに康介と俺が他人ではないと分かっている態度だった。
多分俺の名刺か何かを見た康介から聞いたんだろう。
名前は覚えてくれたみたいだったし。
「ええ。俺と康介は………」
友人だったと、言うのが正解なのだろう。
どう見ても幸せそうなパートナー同士に、ましてや取引相手に波風立てるようなことを言うべきではない。
それでも、ズルいと思った。
堂々と康介と手を繋いでいることが、揃いの部屋着を着ていることが。
康介の隣に居ることが、羨ましくて仕方ない!!
「恋人だったんです。」
にっこりと、笑う。
嗚呼、早く、現在進行形にしたい。
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