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13話 『女神の試練』
しおりを挟むあっという間に一週間が経ち、いよいよ『女神の試練』を受ける日がやって来た。
朝早く侍女のエミリー達に起こされて慌ただしく準備が行われていった。
私は鏡台の前に座らされてパメラによって髪をセットしてもらっている。長い髪は歩くのに邪魔にならないよう編み込みしてまとめられた。
着ていく服は真っ白のワンピース。本当はズボンが良かったんだけどそれを言ったら即却下された。貴族の女の子はズボンをはくのは非常識の事らしい。
私からすると山を登るのにスカートを着るというのが考えられないんだけどな。
しかしこんなことで駄々をこねてカミラ夫人にこの話を聞かれてしまったらと考えると恐ろしくなって早々に駄々をこねるをやめることにした。
まさに『触らぬ神に祟りなし』ってやつだな、うん。
支度を終えて玄関に向かうと既に王家の紋章の入った立派な馬車が横付けされてその前には王子達3人が待っていた。
「おはようございます。クリストファー殿下、ウィリアム様、マーク様、お待たせしまして申し訳ございません」
3人の前まで来ると軽く挨拶と待たせてしまった事へのお詫びを言った。
「おい、ウィリアム。やっぱりこいつレイラの皮を被った何かじゃないのか?」
「僕も信じられません。あのレイラ嬢の口からお詫びの言葉が出るなんて……」
王子の後ろで男共がなんか失礼な事を言っているみたいだが聞こえなかったことにする。
「いえ、私達も今来たところですよ。山のふもとまではこの馬車での移動となります」
王子は相変わらず嘘くさい笑みを浮かべていた。
こうして私達は『女神の試練』を受けるために神殿のある山へとむかったのだった。
場所の中では私の隣に王子が向かいの席にウィリアムとマークが座っている。先ほどから二人は今日の試練でどの属性が自分に与えられるのか楽しそうに話していた。
「やっぱり俺は火の属性だな! 魔法の先生にもそう言われたし」
期待に胸を膨らませているといった感じで話すのは宰相の息子のマークだ。
「僕は水か地の属性では言われました」
ウィリアムもいつもよりテンションが高い気がする。
「クリス殿下は何だと思います?」
「さあ、どれでしょうね。どの属性でもありうるとは言われていますが」
マークの質問に王子が答えた。
「それって二つ以上の属性が授けられるかもしれないってことですか?」
「それはわかりませんよ。すべては女神様がお決めになることですから」
3人が今話しているのは魔法の属性のことだ。この世界では魔法の種類が5つある。
火・水・風・地、そして光。
大体の人は一つ属性がつくがたまに魔力が多い人間には複数の属性がつくこともあるらしい。
ちなみにグゥエルのじっちゃんは2つの属性を持っているとのことだ。
「ちなみにレイラ嬢はどれだと思う?」
ついでとばかりにマークが私に聞いてきた。
「それはもちろん5属性持ちだと思いますわ!」
あのクソ女神にお願いしてチート持ちになったんだからこれくらいはあるだろうと自信満々に言ってやった。
2人は一瞬、きょとんとした顔をした後に一斉にゲラゲラと笑い出した。
隣の王子は可哀想な子を見るような目で私を見ている。失礼な奴らめ!
「はははっ、いくら何でも大きく出すぎだな! 欲を出しすぎると女神様から属性与えられないかもしれないぞ」
「まったくです。人間、欲深くなると何も得られなくなりますよ。貴女はすこし身をわきまえた方がよろしいと思います」
ゲラゲラ笑いながらマークが言うのに同意してウィリアムが私をたしなめる様に話した。
本当に失礼な奴らだな!!
あとでびっくりしても知らないからなっ!?
「はいはい、お話はそれまでにして山のふもとに着きますよ」
王子がそういうと馬車が速度がだんだん落ちていき静かに止まった。
馬車から降りると綺麗に整備されている道が山の頂上へとのびている。私の目では頂上を見ることが出来ないが緩い坂道なので子供の足でも楽に登れるだろう。
そうして私達4人は山を登り始めたのだった。
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