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14歳~男装王子編
第5話 劇場終幕
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プププ、はい、ざまあ!
もはやパーティー会場で動いてるのは私達か演奏者だけだ。会場にいる連中は呼吸すらしてないんじゃないかと思うほど静まりかえっている。私達が踊り始めた時には何組か踊っていたが、今では全員離れて行ってしまった。
そりゃそうだ。プライドが無駄に高い奴らばかりだったしね。実力差がありすぎて憐れむレベルだよ。
例えるなら保育園のお遊ぎ会で園児の踊りにプロのダンサーがドヤ顔で割り込んできたみたいなもんだ。
ん~?それにしても、まだ彼女の顔や動きが固いな。そう思った私は彼女だけに聞こえる声で囁きかける。彼女の腰に添えた手にほんの少し力を入れて彼女を私側に引き寄せる。
「アメリア様、笑って下さい。実はそのドレスとティアラと首飾りは魔道具なんですよ。貴方の動きを補助してくれます。体に力が入り過ぎていますよ、力をほど良く抜いて、ほら大丈夫、私に貴方の全てを委ねて下さい」
まあ、魔道具なんて嘘だけどね!
しかし、この子は本当に落ちこぼれなのか?私は『神の御技・体術』を応用しているけど、この子も必死に私の動きについてこようとどんどん動きが良くなってきている。この子には才能はある。自信をつけさせるためには、まずはやり遂げさせる!
そして私達は最後まで踊りきった。
曲を演奏していた者達が全員が崩れ落ちた。途中から寿命を削って弾いてるんじゃないかと疑うくらい魂の込もっている音を出していたからな無理もないだろう。
周りはまだ動き出す気配がない。さて、そろそろ王子が私がいなくなったのに気付いて探しているかも。潮時かな。私は会場を出ようとする。
「あ!あの、貴方は一体どこの家のお方なのですか!」
アメリアが私の袖を掴まれ引き留められる。
「いえいえ、名乗るほどの者ではありませんよ、『プリンセス』私は貴方が放つ美しい白銀の光に導かれてやって来た単なる蛾です、忘れて下さい。ご自身にもっと自信を持って下さい。貴方は醜くない、貴方はこの場にいる誰よりも美しいのだから。だから笑って下さい、心からね」
私は袖を掴むアメリアの指を優しくほどく。
「また・・・会えますか?」
アメリアは涙を流しながら私に問いかけてきた。
「無理ですね」
私はキッパリ答えた。
いや、だって私は貴方のお兄さん拉致られただけだからね。
「泣かないで下さい。私も悲しくなってきてしまいますから。そうですね・・・もしかしたらいずれ会えるかもしれません」
私は悪のりしてアメリアを抱き寄せ頬にキスをした。
「それでは此にて失礼させていただきます」
私はその場の勢いで王宮を出た。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「く!これでも足りないのか!」
私はピアノを弾く指に一層激しく力を、魂を込める。
しかし、またあの少年?が視線を送ってくる。
「これでもか!!」
まだだ!私はもっとやれるはずだ!!
ここで死んでも構わない!!
命を燃やせ!!!
私の名前はシュトロ=バリエス。
音楽家の家系に生まれ、私自身も小さい頃から楽器を弾くのが好きでその道を歩んできたが最近はやる気が湧き上がらない。若き日の私は情熱に燃えていた。
しかし、いつからか心が体が停滞していった。
今では金持ち貴族のパーティー等に呼ばれて弾いてるだけ、少しミスしても周りの連中は全く気にしない。そりゃそうだろ。奴らにとってパーティーなんて人脈作りや親交を深める物なんだから会場に流れる音楽なんざ誰も気にしない。テキトーに弾こうが気にもされない。音楽に理解のない連中は美しい音色ですねとか言いながら人に話し掛けるキッカケぐらいに使うくらいで本当には聞いちゃいない。王宮のパーティーだろうが関係ない。
連中にもテキトーに弾く自分に嫌気がする。
しかし、今!!私は命を燃やす勢いで弾いている。
彼?は突然現れた。
貴族のパーティーによく見かける令嬢イビりに突然割って入ってきた少年?を見て、私はかつて1度だけ拝謁したことがある今は亡き先王陛下と見間違えてしまった。姿が全く違う少年に、肌色も違う、髪色も違う、背格好も全然違う少年に!!
彼の漂わせるオーラ、圧倒的な王者の風格。立ち姿に震えが止まらない。これは、けして恐怖だけではない。得体の知れない感情に支配され、どうやら動きが止まっていたようだ彼?の視線で我に返った私は再びピアノを弾き始めた。
凄い!その一言で事足りる。彼のダンスに、神が宿っているような動きに戸惑う。
彼?のダンスは神憑りだ。少年の側から次々と貴族達がダンスをやめて離れていく。無理もない彼に比べられたら、いや比べること自体が不敬。
まあ、私も同じか、必死に弾いているが彼の足下にも及ばない音に寧ろ私の音で彼等の舞台を汚してしまっているのではと彼等の前では私の音なんて舞台に向ける罵声にしかなっていないのではと考えてしまう。
私が弾くのを止めようとした時、視線を感じた。
彼?の視線はまるで本気で弾け!と言っている気がした。それから私は本気で、いや、限界はとうに越え、全盛期以上の力を発揮していると自身でもわかるほどだ。
しかし、まだ彼は視線を送ってくる。
まだまだ、もっと、よこせ!魂を!情熱を込めた音を!
そんな気がしてならない。それは私以外の演奏者も感じているようだ。我々は限界を越えて弾く。
そして視線を感じなくなった。どうやらパートナーに集中しているようだ。もう彼の眼に我々は映っていない。そう感じた時、私の、いや、我々演奏者の内にはある感情が渦巻いていた。
それは・・・・・歓喜!!!
認められたと嬉しさの涙がでそうだ。しかし堪えなければ!この舞台を汚す訳にはいかないのだから!!
そして終幕。
曲を弾き終わった瞬間、力が抜けて崩れ落ちてしまった。私が意識を失う前に頭に声が響いた。
『『神の御技・演奏』を手に入れた』
私の胸に再び火が灯った瞬間だった。
もはやパーティー会場で動いてるのは私達か演奏者だけだ。会場にいる連中は呼吸すらしてないんじゃないかと思うほど静まりかえっている。私達が踊り始めた時には何組か踊っていたが、今では全員離れて行ってしまった。
そりゃそうだ。プライドが無駄に高い奴らばかりだったしね。実力差がありすぎて憐れむレベルだよ。
例えるなら保育園のお遊ぎ会で園児の踊りにプロのダンサーがドヤ顔で割り込んできたみたいなもんだ。
ん~?それにしても、まだ彼女の顔や動きが固いな。そう思った私は彼女だけに聞こえる声で囁きかける。彼女の腰に添えた手にほんの少し力を入れて彼女を私側に引き寄せる。
「アメリア様、笑って下さい。実はそのドレスとティアラと首飾りは魔道具なんですよ。貴方の動きを補助してくれます。体に力が入り過ぎていますよ、力をほど良く抜いて、ほら大丈夫、私に貴方の全てを委ねて下さい」
まあ、魔道具なんて嘘だけどね!
しかし、この子は本当に落ちこぼれなのか?私は『神の御技・体術』を応用しているけど、この子も必死に私の動きについてこようとどんどん動きが良くなってきている。この子には才能はある。自信をつけさせるためには、まずはやり遂げさせる!
そして私達は最後まで踊りきった。
曲を演奏していた者達が全員が崩れ落ちた。途中から寿命を削って弾いてるんじゃないかと疑うくらい魂の込もっている音を出していたからな無理もないだろう。
周りはまだ動き出す気配がない。さて、そろそろ王子が私がいなくなったのに気付いて探しているかも。潮時かな。私は会場を出ようとする。
「あ!あの、貴方は一体どこの家のお方なのですか!」
アメリアが私の袖を掴まれ引き留められる。
「いえいえ、名乗るほどの者ではありませんよ、『プリンセス』私は貴方が放つ美しい白銀の光に導かれてやって来た単なる蛾です、忘れて下さい。ご自身にもっと自信を持って下さい。貴方は醜くない、貴方はこの場にいる誰よりも美しいのだから。だから笑って下さい、心からね」
私は袖を掴むアメリアの指を優しくほどく。
「また・・・会えますか?」
アメリアは涙を流しながら私に問いかけてきた。
「無理ですね」
私はキッパリ答えた。
いや、だって私は貴方のお兄さん拉致られただけだからね。
「泣かないで下さい。私も悲しくなってきてしまいますから。そうですね・・・もしかしたらいずれ会えるかもしれません」
私は悪のりしてアメリアを抱き寄せ頬にキスをした。
「それでは此にて失礼させていただきます」
私はその場の勢いで王宮を出た。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「く!これでも足りないのか!」
私はピアノを弾く指に一層激しく力を、魂を込める。
しかし、またあの少年?が視線を送ってくる。
「これでもか!!」
まだだ!私はもっとやれるはずだ!!
ここで死んでも構わない!!
命を燃やせ!!!
私の名前はシュトロ=バリエス。
音楽家の家系に生まれ、私自身も小さい頃から楽器を弾くのが好きでその道を歩んできたが最近はやる気が湧き上がらない。若き日の私は情熱に燃えていた。
しかし、いつからか心が体が停滞していった。
今では金持ち貴族のパーティー等に呼ばれて弾いてるだけ、少しミスしても周りの連中は全く気にしない。そりゃそうだろ。奴らにとってパーティーなんて人脈作りや親交を深める物なんだから会場に流れる音楽なんざ誰も気にしない。テキトーに弾こうが気にもされない。音楽に理解のない連中は美しい音色ですねとか言いながら人に話し掛けるキッカケぐらいに使うくらいで本当には聞いちゃいない。王宮のパーティーだろうが関係ない。
連中にもテキトーに弾く自分に嫌気がする。
しかし、今!!私は命を燃やす勢いで弾いている。
彼?は突然現れた。
貴族のパーティーによく見かける令嬢イビりに突然割って入ってきた少年?を見て、私はかつて1度だけ拝謁したことがある今は亡き先王陛下と見間違えてしまった。姿が全く違う少年に、肌色も違う、髪色も違う、背格好も全然違う少年に!!
彼の漂わせるオーラ、圧倒的な王者の風格。立ち姿に震えが止まらない。これは、けして恐怖だけではない。得体の知れない感情に支配され、どうやら動きが止まっていたようだ彼?の視線で我に返った私は再びピアノを弾き始めた。
凄い!その一言で事足りる。彼のダンスに、神が宿っているような動きに戸惑う。
彼?のダンスは神憑りだ。少年の側から次々と貴族達がダンスをやめて離れていく。無理もない彼に比べられたら、いや比べること自体が不敬。
まあ、私も同じか、必死に弾いているが彼の足下にも及ばない音に寧ろ私の音で彼等の舞台を汚してしまっているのではと彼等の前では私の音なんて舞台に向ける罵声にしかなっていないのではと考えてしまう。
私が弾くのを止めようとした時、視線を感じた。
彼?の視線はまるで本気で弾け!と言っている気がした。それから私は本気で、いや、限界はとうに越え、全盛期以上の力を発揮していると自身でもわかるほどだ。
しかし、まだ彼は視線を送ってくる。
まだまだ、もっと、よこせ!魂を!情熱を込めた音を!
そんな気がしてならない。それは私以外の演奏者も感じているようだ。我々は限界を越えて弾く。
そして視線を感じなくなった。どうやらパートナーに集中しているようだ。もう彼の眼に我々は映っていない。そう感じた時、私の、いや、我々演奏者の内にはある感情が渦巻いていた。
それは・・・・・歓喜!!!
認められたと嬉しさの涙がでそうだ。しかし堪えなければ!この舞台を汚す訳にはいかないのだから!!
そして終幕。
曲を弾き終わった瞬間、力が抜けて崩れ落ちてしまった。私が意識を失う前に頭に声が響いた。
『『神の御技・演奏』を手に入れた』
私の胸に再び火が灯った瞬間だった。
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