シーフな魔術師

極楽とんぼ

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卒業後

378 星暦554年 藤の月 09日 旅立ち?(19)

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王都から持ってきた新鮮な肉が無くなって、一昨日から保存食を元にした食事になったのだが。
保存食は・・・塩辛かった。

俺たちだってハムやベーコンを普段から食べている。
勿論、料理するのはパディル夫人だが。

だが、想定外に塩辛くて料理長にそれとなく食後に聞いて始めて分かったのだが、実は10日やそこらで食べるような長期間保存用ではないハムやベーコンならまだしも、本格的に長期間保存する肉というのはかなりの量の塩を使っているのだ。

そしてそれを水で戻してある程度塩抜きするのだが・・・船の上では真水が貴重だ。
しかも船乗りはそれなりに汗を掻くので、塩の補給が必要。

ということで船上の保存肉を使った料理はかなり塩辛いのだ!!!
船長や副船長はそれ程汗を掻かないのでそこまで塩の補給は必要ないだろうと思うのだが、貴重な水と時間を使って士官用食事だけ余計に塩抜きする手間は掛けないんだそうだ。

水だけの問題だったらねぇ。
いくらでも提供するんだけど。
塩抜きにかかる時間の方の問題もあるらしく、俺が『どうぞどうぞ、気にしないで。これぐらいなら毎食でも提供できるから』と渡しておいた樽3つ分の水があっても、あまり昨晩の夕食の塩辛さは変わらなかった。

なので。
今日は大量に魚を捕る!!!
ついでにどっかで島を見つけて果物や肉も補給したい・・・なぁ。

「ちょっとじゃあ、見て回ってくるな~。
シャルロとアレクは魚の捕獲をよろしく!」
アレクとシャルロに声を掛けて空滑機グライダーで飛び上がった。
そう。
昨晩話し合った結果、今日は俺が飛んで回って島を探し、その間にシャルロが蒼流に頼んで魚を集め、アレクと一緒に釣り上げる予定なのだ。

まあねぇ。
蒼流が大量に魚を海から甲板へ直接引揚げると言うことも可能なのだが、流石にそこまでシャルロの便利さをアピールしない方が良いだろうという結論に達したのだ。
第一、それなりに長い航海なのだ。やることが無いと飽きちゃうしね。

最初にアレクが飛んで回って俺とシャルロで魚採りをしても良かったのだが、アレクが飛ぶ場合だったらちょっと重い(が一応持ってきた)位置追跡装置を載せて飛ぶか、清早にでも同行して貰わないと帰る際の船の位置が分からなくなる可能性がある。
アルフォンスが同行してくれていたら良かったのだが、川を下る船程度ならまだしも、大海に出る船というのは嫌いらしくて断られた。

当然のことながら、アスカもラフェーンも大きすぎて空滑機《グライダー》には乗れない。
幻獣なんだから体のサイズを小さくしたり、質量を下げたり出来るんじゃ無いかという気もしないでも無いのだが、どちらも陸の幻獣だから海の上の船なんぞ嫌だとそっけなく断られたのだ。

こうやって考えてみると、俺たちの使い魔って陸に偏っているよなぁ。
まあ、海になんて滅多に出ないんだから良いんだけどさ。

と言うことで。
取り敢えず今日は俺が探索に飛び、アレクとシャルロで魚採りにどの位の魔力や精霊の助けが必要かを確認することになった。


で、上空へ。
高度を上げていき、ゆっくりと船を中心に円を描くように飛び始める。
船も動いているから、完全な円というよりはちょっと歪な楕円形な形だが。
しかも適当な自分の目分量で動いているのでどのくらい正確に円になっているかは知らない。

シャルロに頼んで蒼流にちょっと露骨にその魔力を垂れ流して貰って、それを心眼《サイト》で目印にして回ることにしているが、考えてみたらアレクの場合はどうするかなぁ。

船を目視できる範囲で飛ぶか、それとも重くて邪魔だが位置追跡装置を載せてそれを確認しながら飛ぶか。

微妙だ。
まあ、今までこんな探索をやったことも無いからな。
取り敢えず今日一日俺が飛んでみて、どの位遠くまで回れるのかを確認してから今晩にでも相談しよう。

本当に、何か美味しい果物がなっている島を見つけたい。
・・・でも、考えてみたら今の季節って果物がなっている時期なのか?

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【後書き】
自然になっている果物って多分美味しかったらさっさと周囲の動物に食べられちゃってますよね?
例え果物を見つけて、それが食べられることが分かったとしても、満足出来るほどの量を採れるかは微妙な気がします。
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