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卒業後
446 星暦554年 青の月 6日 新しいことだらけの開拓事業(18)
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「そういえば、休みの間はラフェーンと一緒に島を廻って薬草探ししていたんじゃなかったのか?」
ふと、休み前のアレクの予定を思い出して尋ねてみた。
「母から通信機に呼び出しが入ってね。
結局船で領事館へ行って転移門で戻ることになった。
『折角の休みなんだから、転移門を使えるアレクにちょっとやって欲しいことがあるの』と言われて国中どころか国外まで飛ぶ羽目になって大変だったよ・・・」
げっそりとした顔をしながらアレクが答えた。
うへぇ~。
流石セビウス氏の母君。
情報収集はセビウス氏の担当だと思ったが、何か母君が危機感を抱くようなことを聞いたのかな?
「シャルロに頼んで、パストン島に船が近づいたら問答無用で港の沖へ動かすようにして貰っている。
この島に来たことがあって蒼流がマーカーを付けたアファル王国の船長が乗っていたらそのまま入港出来るが、知らない船長の場合は確認が取れるまで足止めと言うことになっているので、船が乗っ取られて船長が脅されているとでも言う場合じゃない限り、この島は大丈夫だと思う。
アレグ島に関しては・・・どうするかちょっと悩ましい」
ため息をつきながらアレクが付け加えた。
おっとぉ。
既に早期警戒に関しては手を打ってあるんだな。
「アレグ島は2刻ぐらいでたどり着く距離まで船が近づいたら警告するという形にすれば、それで良いんじゃないか?
あそこは軍艦が待機しているんだろ?」
警告そのものをどうやってするかが微妙な所だが。
「大きな銅鑼でも港に吊して貰っておいたらどうかな?
船が近づいたらそれを蒼流が鳴らすことにすれば良いんじゃない?」
シャルロが提案した。
「蒼流がアレグ島の回りを警戒しているんだったら、パストン島は清早に頼んでおこうか?」
蒼流の能力だったら両方をやっても全く負担にならないのかも知れないが。
どうなのかな?
そんなことを考えていたら、突然蒼流がシャルロの横に現れた。
『問題無い。
シャルロの身を守るための警戒なのだ。私がやっておく』
おう。
そうですか。
『俺だって出来るよ~~!!』
清早が負けじと姿を現して主張した。
「アレグ島は蒼流に頼んで、パストン島はシャルロかウィルの港に近い方の精霊に頼んだら良いんじゃないか?
こちらは入港した船の対応をする必要があるかも知れないから、港から離れていた場合は他の人間が待たされることになる」
ちょっと話し合った結果、アレクの提案で話が纏まった。
蒼流がシャルロに関してこの上なく過保護なのは知っていたが、清早もここまで熱心に俺を守ろうとしてくれるとは知らなかった。
ちょっとくすぐったい気分だ。
しっかし。
戦争かぁ・・・。
「何とも迷惑な話だな。
ガルカ王国なんかと戦争した所で、勝っても補償金なんぞあの国が払えるとは思えないし、かといって国土の一部をこちらに譲られたところでそんな住民が飢えている様な土地ではあまり得るものは無いんじゃないのか?
それとも、アファル王国寄りに何か使い勝手のいい鉱山でもあったりしたっけ?」
イマイチ地理は興味が無かったのでアファル王国内のことならまだしも、周辺国の事なんぞ何も憶えていない。
アレクが肩を竦めた。
「ガルカ王国の資金源の殆どは南方航路を使った交易だ。
だからこそ、アファル王国がこの新しい航路を本格的に使い始めたら戦争をふっかけざるを得ないんじゃないか?」
シャルロが首をかしげながら尋ねた。
「だけど、戦争を仕掛けたところでアファル王国を完全に征服できるなんて事は絶対に無いよね?
例えよっぽど悪どい事でもして南部の領地を占領したところで、この新しい航路は王都から出ているんだから新規航路の交易は影響を受けないし。
戦争しても意味は無くない?」
「内乱が起きそうなら、取り敢えず内部の不満を外に向けさせるために戦争をするんだろうよ。
それで不満をため込んだ平民の数を削れば王族の支配が強まる可能性もあるし」
時間さえあれば、タレスの涙を作って金儲けも出来なくは無いしな。
シャルロが眉をひそめた。
「迷惑だね~。
取り敢えず、こっちに来にくいように、ガルカ王国の北へ進む街道近辺で雨を降らして泥だらけにして兵を動かしにくいようにしておく?」
おい。
国境を雨で塞ぐつもりかよ???
流石に雨が降った程度で戦争をふっかける相手を変えさせるのは無理じゃないか?
常にアファル王国との間の道沿いで雨が降っているので兵を動かし難いということが『常識』ならまだしも、向こうの人間にとっては『偶々偶然』雨が降っているだけという状況だったら、無視して兵を動かすだろう。
しっかし。
上級精霊の力って凄すぎる・・・。
「実際にアファル王国に攻め込んできたという知らせが入ったら、援軍が来れないようにガルカ王国内で雨を降らしまくるというのも手だと思う。
だが、現時点では下手に手を出して余計ガルカ王国の貧窮状態を悪化させない方が良いだろうな。
きっと軍の情報部がガルカ王国のターゲットを他の国にさせるよう頑張ってくれているだろうさ」
少なくとも、そう願いたいね。
【後書き】
シャルロ君が何気に無敵で怖いw
ふと、休み前のアレクの予定を思い出して尋ねてみた。
「母から通信機に呼び出しが入ってね。
結局船で領事館へ行って転移門で戻ることになった。
『折角の休みなんだから、転移門を使えるアレクにちょっとやって欲しいことがあるの』と言われて国中どころか国外まで飛ぶ羽目になって大変だったよ・・・」
げっそりとした顔をしながらアレクが答えた。
うへぇ~。
流石セビウス氏の母君。
情報収集はセビウス氏の担当だと思ったが、何か母君が危機感を抱くようなことを聞いたのかな?
「シャルロに頼んで、パストン島に船が近づいたら問答無用で港の沖へ動かすようにして貰っている。
この島に来たことがあって蒼流がマーカーを付けたアファル王国の船長が乗っていたらそのまま入港出来るが、知らない船長の場合は確認が取れるまで足止めと言うことになっているので、船が乗っ取られて船長が脅されているとでも言う場合じゃない限り、この島は大丈夫だと思う。
アレグ島に関しては・・・どうするかちょっと悩ましい」
ため息をつきながらアレクが付け加えた。
おっとぉ。
既に早期警戒に関しては手を打ってあるんだな。
「アレグ島は2刻ぐらいでたどり着く距離まで船が近づいたら警告するという形にすれば、それで良いんじゃないか?
あそこは軍艦が待機しているんだろ?」
警告そのものをどうやってするかが微妙な所だが。
「大きな銅鑼でも港に吊して貰っておいたらどうかな?
船が近づいたらそれを蒼流が鳴らすことにすれば良いんじゃない?」
シャルロが提案した。
「蒼流がアレグ島の回りを警戒しているんだったら、パストン島は清早に頼んでおこうか?」
蒼流の能力だったら両方をやっても全く負担にならないのかも知れないが。
どうなのかな?
そんなことを考えていたら、突然蒼流がシャルロの横に現れた。
『問題無い。
シャルロの身を守るための警戒なのだ。私がやっておく』
おう。
そうですか。
『俺だって出来るよ~~!!』
清早が負けじと姿を現して主張した。
「アレグ島は蒼流に頼んで、パストン島はシャルロかウィルの港に近い方の精霊に頼んだら良いんじゃないか?
こちらは入港した船の対応をする必要があるかも知れないから、港から離れていた場合は他の人間が待たされることになる」
ちょっと話し合った結果、アレクの提案で話が纏まった。
蒼流がシャルロに関してこの上なく過保護なのは知っていたが、清早もここまで熱心に俺を守ろうとしてくれるとは知らなかった。
ちょっとくすぐったい気分だ。
しっかし。
戦争かぁ・・・。
「何とも迷惑な話だな。
ガルカ王国なんかと戦争した所で、勝っても補償金なんぞあの国が払えるとは思えないし、かといって国土の一部をこちらに譲られたところでそんな住民が飢えている様な土地ではあまり得るものは無いんじゃないのか?
それとも、アファル王国寄りに何か使い勝手のいい鉱山でもあったりしたっけ?」
イマイチ地理は興味が無かったのでアファル王国内のことならまだしも、周辺国の事なんぞ何も憶えていない。
アレクが肩を竦めた。
「ガルカ王国の資金源の殆どは南方航路を使った交易だ。
だからこそ、アファル王国がこの新しい航路を本格的に使い始めたら戦争をふっかけざるを得ないんじゃないか?」
シャルロが首をかしげながら尋ねた。
「だけど、戦争を仕掛けたところでアファル王国を完全に征服できるなんて事は絶対に無いよね?
例えよっぽど悪どい事でもして南部の領地を占領したところで、この新しい航路は王都から出ているんだから新規航路の交易は影響を受けないし。
戦争しても意味は無くない?」
「内乱が起きそうなら、取り敢えず内部の不満を外に向けさせるために戦争をするんだろうよ。
それで不満をため込んだ平民の数を削れば王族の支配が強まる可能性もあるし」
時間さえあれば、タレスの涙を作って金儲けも出来なくは無いしな。
シャルロが眉をひそめた。
「迷惑だね~。
取り敢えず、こっちに来にくいように、ガルカ王国の北へ進む街道近辺で雨を降らして泥だらけにして兵を動かしにくいようにしておく?」
おい。
国境を雨で塞ぐつもりかよ???
流石に雨が降った程度で戦争をふっかける相手を変えさせるのは無理じゃないか?
常にアファル王国との間の道沿いで雨が降っているので兵を動かし難いということが『常識』ならまだしも、向こうの人間にとっては『偶々偶然』雨が降っているだけという状況だったら、無視して兵を動かすだろう。
しっかし。
上級精霊の力って凄すぎる・・・。
「実際にアファル王国に攻め込んできたという知らせが入ったら、援軍が来れないようにガルカ王国内で雨を降らしまくるというのも手だと思う。
だが、現時点では下手に手を出して余計ガルカ王国の貧窮状態を悪化させない方が良いだろうな。
きっと軍の情報部がガルカ王国のターゲットを他の国にさせるよう頑張ってくれているだろうさ」
少なくとも、そう願いたいね。
【後書き】
シャルロ君が何気に無敵で怖いw
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