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卒業後
1105 星暦558年 紺の月 27日 創水の魔術回路(9)
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「これって自分に風を向けるのには使いにくいね~」
何度か作り直し、アレクの魔術回路改造も組み込んで4ミル程度で水筒の水が一杯になる位に改善されたファン付き水筒なのだが・・・。
自分の方に風を向けようと思うと、手で持って向きを固定する必要があった。
普通にベルトや鞄にぶら下げると身体の前か横を風が素通りするような感じにファンが落ち着くのだ。
なので自分に風を向けて涼もうと思ったら、手で持っておく必要があり微妙に面倒だった。
「風が無い状況で外のベンチに座っているとかピクニックで適当に寝転がっている時だったら自分の方に向けて置いておくだけで風を受けられるかもだけど、遠乗り中だったら全然ダメだな」
体のあちこちにぶら下げて、色々な体勢でファンを試していたアレクがちょっとため息を吐きながら言った。
「まあ、行商人の馬車だったら御者のベンチのどっかに固定できるんじゃないか?
遠乗り中は・・・片手でファンを支えるだけの技量が身に付くまでは、少しぐらい暑くても我慢するしかないな」
行商人は仕事なのだから暑いから移動しないなんて言う選択肢はないと思うが、個人が楽しみでやっている遠乗りならば暑くてしょうがない時間帯に態々出なければ良いのだ。
「まあ、そうか。
とは言え、鞄の中に放り込んでおいた場合の効率の悪さは何とも残念だが」
アレクが肩を竦めながら言った。
そうなんだよねぇ。
鞄の中に詰め込んだだけだったらファンなんぞ動かしても意味がないし、空気の動きも阻害されるのかかなり抽水の効率も悪いのだ。
鞄に突っ込んでおいて喉が渇いたら飲むって感じに使えないのはちょっと残念だ。
「そう言えば、これと真水抽出用魔具とどっちが効率が良いんだ?
海の上を動いている船で動かすんだったらファンなんぞなくても効率は良くなると思うが」
行商人用はまだしも、船に積み込むならそれなりな大きさにしても問題ないだろうし、そもそも使用者の数を考えるとそれなりな大きさで大量に抽水出来ないと困るだろう。
「魔石の使用量的にはあっちの方が効率良いみたいだが、真水抽出用魔具は触媒とかいるからね。
まあ、ついでに採れる塩を売れるから、値段的にはとんとんと言ったところかな」
アレクがメモを確認しながら言った。
既に使用の際の費用は試算して比べてあったらしい。
「ちなみに、水の味は真水抽出用魔具の方が美味しいかな。
こっちの抽水用魔具だと水が純粋すぎて味覚的に面白味がなくなっちゃうみたい」
シャルロが付け足した。
へぇぇ。
水って純粋だと美味しくないんだ。
別に飲み水用に水を魔術で抽水しても特に不味いとは思わなかったから、魔術でやる時と魔具でやる時だとちょっと何かが違うのかも知れない。
「で?
売れそうかな、これ?
あと、これって学院長かウォレン爺に確認した方が良いと思うか?」
船用に特に使わないとなったら純粋に遠乗り中の水の補給とか、せいぜい行商人の水補給用ということになるので、それ程儲けが大きい訳ではない魔具になりそうだが。
面倒な事態になるんだったら自分たち用に使うだけで、シェイラにも幾つか渡すかもだが無理に売る必要はない。
「ファンで空気を動かしても4ミルでコップ一杯程度だからな。
攻撃魔術用の魔具との併用に関しては危険視しなくてもいいんじゃないか?
販売に関しては・・・遠乗り用というよりも長期移動時用という感じに売れるかも?
そう考えると軍の遠征なんかでも役に立つ可能性があるからウォレン氏に売り込んでみるのはありかもだな」
アレクが言った。
あ~。
確かに軍事行動中に飲み水の確保が道中で出来るなら便利だろう。
とは言え、それなりな人数の部隊が移動している最中に全員でこの魔具を動かしていたら周囲がカラカラになる上に抽水の効率が激減しそうだ。
それこそ夜の野営なんて暫くしたら水が出なくなるかも?
「行商用に売れそうだってシェフィート商会側が判断したら、売り出す前に大量に在庫が出来た段階で軍部の遠征みたいな感じで大人数で持ち運んで使おうとした場合にどういう結果になるか、試させてみたらどうだ?
特に野営時みたいに一斉に使った場合に不具合が出ると不満が爆発しかねない」
軍部に大量に売り込んで、いざ紛争があったとか山賊を狩る遠征に出た際に水の補給で問題が起きたなんてことになったらヤバい。
「そうだな。
取り敢えず、兄の方に見せてから売れると判断されたらある程度在庫を積み上げて、更に試用してみるか」
アレクが頷きながら言った。
大人数を使って試用って軍部を使わないとしたら面倒そうだが・・・テスト要員が足りるんかね?
何度か作り直し、アレクの魔術回路改造も組み込んで4ミル程度で水筒の水が一杯になる位に改善されたファン付き水筒なのだが・・・。
自分の方に風を向けようと思うと、手で持って向きを固定する必要があった。
普通にベルトや鞄にぶら下げると身体の前か横を風が素通りするような感じにファンが落ち着くのだ。
なので自分に風を向けて涼もうと思ったら、手で持っておく必要があり微妙に面倒だった。
「風が無い状況で外のベンチに座っているとかピクニックで適当に寝転がっている時だったら自分の方に向けて置いておくだけで風を受けられるかもだけど、遠乗り中だったら全然ダメだな」
体のあちこちにぶら下げて、色々な体勢でファンを試していたアレクがちょっとため息を吐きながら言った。
「まあ、行商人の馬車だったら御者のベンチのどっかに固定できるんじゃないか?
遠乗り中は・・・片手でファンを支えるだけの技量が身に付くまでは、少しぐらい暑くても我慢するしかないな」
行商人は仕事なのだから暑いから移動しないなんて言う選択肢はないと思うが、個人が楽しみでやっている遠乗りならば暑くてしょうがない時間帯に態々出なければ良いのだ。
「まあ、そうか。
とは言え、鞄の中に放り込んでおいた場合の効率の悪さは何とも残念だが」
アレクが肩を竦めながら言った。
そうなんだよねぇ。
鞄の中に詰め込んだだけだったらファンなんぞ動かしても意味がないし、空気の動きも阻害されるのかかなり抽水の効率も悪いのだ。
鞄に突っ込んでおいて喉が渇いたら飲むって感じに使えないのはちょっと残念だ。
「そう言えば、これと真水抽出用魔具とどっちが効率が良いんだ?
海の上を動いている船で動かすんだったらファンなんぞなくても効率は良くなると思うが」
行商人用はまだしも、船に積み込むならそれなりな大きさにしても問題ないだろうし、そもそも使用者の数を考えるとそれなりな大きさで大量に抽水出来ないと困るだろう。
「魔石の使用量的にはあっちの方が効率良いみたいだが、真水抽出用魔具は触媒とかいるからね。
まあ、ついでに採れる塩を売れるから、値段的にはとんとんと言ったところかな」
アレクがメモを確認しながら言った。
既に使用の際の費用は試算して比べてあったらしい。
「ちなみに、水の味は真水抽出用魔具の方が美味しいかな。
こっちの抽水用魔具だと水が純粋すぎて味覚的に面白味がなくなっちゃうみたい」
シャルロが付け足した。
へぇぇ。
水って純粋だと美味しくないんだ。
別に飲み水用に水を魔術で抽水しても特に不味いとは思わなかったから、魔術でやる時と魔具でやる時だとちょっと何かが違うのかも知れない。
「で?
売れそうかな、これ?
あと、これって学院長かウォレン爺に確認した方が良いと思うか?」
船用に特に使わないとなったら純粋に遠乗り中の水の補給とか、せいぜい行商人の水補給用ということになるので、それ程儲けが大きい訳ではない魔具になりそうだが。
面倒な事態になるんだったら自分たち用に使うだけで、シェイラにも幾つか渡すかもだが無理に売る必要はない。
「ファンで空気を動かしても4ミルでコップ一杯程度だからな。
攻撃魔術用の魔具との併用に関しては危険視しなくてもいいんじゃないか?
販売に関しては・・・遠乗り用というよりも長期移動時用という感じに売れるかも?
そう考えると軍の遠征なんかでも役に立つ可能性があるからウォレン氏に売り込んでみるのはありかもだな」
アレクが言った。
あ~。
確かに軍事行動中に飲み水の確保が道中で出来るなら便利だろう。
とは言え、それなりな人数の部隊が移動している最中に全員でこの魔具を動かしていたら周囲がカラカラになる上に抽水の効率が激減しそうだ。
それこそ夜の野営なんて暫くしたら水が出なくなるかも?
「行商用に売れそうだってシェフィート商会側が判断したら、売り出す前に大量に在庫が出来た段階で軍部の遠征みたいな感じで大人数で持ち運んで使おうとした場合にどういう結果になるか、試させてみたらどうだ?
特に野営時みたいに一斉に使った場合に不具合が出ると不満が爆発しかねない」
軍部に大量に売り込んで、いざ紛争があったとか山賊を狩る遠征に出た際に水の補給で問題が起きたなんてことになったらヤバい。
「そうだな。
取り敢えず、兄の方に見せてから売れると判断されたらある程度在庫を積み上げて、更に試用してみるか」
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