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7.あなたに名を呼んでほしくない
しおりを挟む「どうしてそんなことを言うの?
だってダリアンのことは始めから名前で呼んでいたわ。
それに初めましてと言われたけど、ジャッカル国の王子の名前なんて紹介されなくたって知っているわよ。私は貴族ですもの。
それに呼び捨てで呼んでもらった方が距離を持たずに接する事ができるでしょう。
そんなこと急に気にするだなんてダリアン少し変よ」
そう言いながらころころと笑うシャーロット。
このやり取りをみて、会場の半分以上の貴族は思った。
”おや?これは少し様子がおかしいんじゃないか?”と。
公爵家の令嬢がこれほどまでに礼儀がなっていないなどありえない。
そしてそれが当たり前になっていたであろう環境こそありえない。
しかし同じ家で生まれ育ったはずのナターシャを見れば、立ち姿さえ洗練されていることがわかる。
ならばなにがこんなに異様な状況にさせているのだろう。
パーティーの冒頭では妖精に嫌われし姫についに天罰が下るのだと思っていた。
しかし、本当にそうなのか?
「はははっ、未来の妃がこれですか。いやあ、私は隣国より心の中で応援させていただきますよ。
ですが、私としてもこのまま許可したことにはしたくはないので指摘はさせていただきます。
婚約者殿、私はあなたに名を呼ぶ許可を与えていないし、呼んで欲しくもない!
名を呼ぶことを控えてもらおう。
そしてあなたのような女性の名を呼ぶなどありえませんね。
ああ!それから先ほど”姉”と言っていましたが、ナターシャ嬢はすでにあなたの姉ではなく、赤の他人です。2度と姉と呼ばないで頂きたい!」
ナターシャに話しかけた声とは程遠い、まるで声だけで周りを凍り付かせてしまいそうな冷たい声でシャーロットに向かってそう言い放つ。
その瞳はシャーロットを憎むかのように睨みつけていた。
だがおそらく、シャーロットはこのような態度を男性に向けられた事がないのだろう。
すぐに零れ落ちんばかりに涙を目に溜めてビビド王子に向かって言葉を投げかける。
「どうしてそのような事をおっしゃるのですか。
そんな冷たいこと…
あぁ……さては姉がビビド様に何かしたのですね。だから私にそんな酷いことを。
姉は妖精に愛されていたことを笠に着て、どんなことでも許されると思っているのです。
ですが、私はそんなことを見逃せない。だって妖精は私のことを見守ってくれていると言いましたもの。妖精の為にも私が姉を諫めなければならないのです。だからビビド様のこともきっとお救いできるわ。
もっと私の事を知ってくれればきっと、私たちとても仲良くなれると思うの」
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