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12.シャルルとシャーロットが現れてからナターシャの笑顔は少なくなっていった

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そして誰よりもシャーロットの強い味方であったはずのダリアン王子ですらシャーロットから1歩2歩と距離をとってその様子を見ている。今までのような誰からも守ってあげたいというようなそんな雰囲気ではなく、まるで疑わしきものを見るようなそんな目でシャーロットを見つめていた。

「なんで!なんでそんな目でみんな私を見るの?こんなこと全て私を陥れるためにでっち上げられた嘘なのよ。ねぇ、ダリアン。私を信じて!」

必死に目から涙を流し、庇護欲そそるその容姿で、周りの人たちを見つめる。ダリアンに近づいて訴えようとするのに、シャーロットが1歩2歩と近づくたびダリアンも1歩2歩と下がり距離は縮まらない。

「ちょっと!どうしてよ!どうしてみんな私の言うことを信じてくれないの」

そんな喚き叫んでいるシャーロット嬢のことなど気にもしていない様子のビビド王子が妖精に問いかけている。

「リーシャ殿いくつか聞きたいことがあるのですが、まず最初に、あなたはシャーロットがナターシャをいじめていたと言いましたね?それは事実ですか?
そしてそれはいつの話ですか?」

今までダリアン王子たちの様子を見極めるように見守っていた貴族たちだが、王子のその問いかけに一気に妖精の方を向く。

「えぇ。ほんとよ!私たちはナターシャが生まれた時からずっと見守っていたの。ナターシャはとってもいい子で、私たちにもとっても優しくしてくれた。私たちのためにとお菓子を焼いてくれたり、庭をかけまわってよく一緒に遊んだの。愛しいナターシャはよく笑うほんとに可愛らしい子だった。

でもそれがある時を境にナターシャの笑顔はどんどん少なくなっていった。それはシャルルとシャーロットが現れてから。シャルルと母の違う妹、シャーロットはとても傍若無人にふるまったわ。彼女たちのせいでナターシャの笑顔はどんどん少なくなっていったの」

妖精のその声にまたも大きなどよめきがホールに響き渡る。

どういうこと?現れた?

双子のはずの2人。それなのに、妹だけ後から現れるなどありえない。それならばナターシャとシャーロットは実の姉妹ではないということか?

だが、ナターシャとシャーロットは実の姉妹として、年の同じ2人は双子として届け出が出されている。それなのに実は母親が違うとはどういうことなのか。

そして初めてきくシャルルとは何者か?

その問いの答えを求めて、また貴族たちの視線は一斉にシャーロット母娘に向かう。
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