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27.ナターシャが話すこと①
しおりを挟むあらかたはあのパーティー会場で話された内容だったため、ビビド王子からの早文で王も承知していた。
だがわからないことは母の違う妹がなぜ途中で連れてこられ、それが認められているのかと言う事。
母が病で臥せっていたはずだったある日、突然シャーロットは連れてこられた。連れてきたのは父。そしてそれを迎えたのは母だった。
しかも母は、それは嬉しそうにシャーロットを迎え入れた。ナターシャには状況を理解することもできなかったが、父から告げられた言葉は生まれた時ナターシャは本当は双子であったと言うこと。しかし双子の妹シャーロットは生まれた時から体が弱く、いくつまでもつかさえわからない状況だったと言う。もし死んでしまえば母の心まで心配だと言うことで今まで親族に預けていたそう。だけど病に伏せた母は最後かもしれないからシャーロットに会いたいと父に懇願したと言う。その頃にはシャーロットの体調もよく、健康に問題もなかったため公爵家に連れて来られることになった。
でもそれから母の様子がおかしくなった。大好きだった母は何をするにもシャーロットを優先した。シャーロットは今までいなかったから、ナターシャはそう必死に自分に言い聞かせたがそれでもナターシャにとっては割り切れない思いがあった。
そしてそんな思いを深くしたのがシャーロットの態度だった。
今までお姉様だけ贅沢したんだからこれは私にちょうだい。そう言ってはナターシャのものを奪っていった。それを見ているはずの父も母もその行動を戒める事はなかった。それどころか「そうね、今までシャーロットは我慢していたんだからナターシャはそれぐらい譲ってあげて」そう言って認めてしまった。それ以降はそれがまかり通ると知って、シャーロットのわがままは日増しに酷くなっていった。
それと同時にナターシャの表情は日を追うごとに暗くなっていった。
中でも一番堪えたのが、母との思い出の物をシャーロットが”頂戴”と言ったのに対し、母がそれを認めたこと。
大切なものだったのに、母は覚えてもいなかった。母はもう自分のことなど必要としていないんじゃないかと思い、部屋に籠って泣いた。
妖精がどれだけ慰めてもナターシャの胸の痛みが消えることがなかった。
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