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30.クレヴァ陛下の弁明
しおりを挟む「本日は国際会議のためとは言え、遠いところをご足労頂き感謝する。
審議したいことがいくつかある為、早速会議を始めよう」
ギラン陛下の言葉で始まった会議。
通例通りの内容が話し合われた後、遂にトレアール国について提起した内容が話し合われることになった。
会議にはビビド王子とナターシャも呼ばれていた。
本来国際会議には国の最高責任者しか出席を許されていない。
しかし、当事者であるナターシャと今回の告発者であるビビド王子の話しを聞きたいとのことでこの場に招待された。
「ビビド、今回の内容を皆さんに説明するように」
ギラン陛下の言葉にビビド王子とナターシャは席を立ち、話を始めた。
パーティー会場でトレアール国第一王子のダリアンが一方的に婚約破棄を申しつけ、罪のない女性の貴族籍を剥奪したこと。
トレアール国王家は呪いの子の存在を知りながらその子の消息を追いかけることなく各国を危険にさらしたこと。
呪いの子であるシャルルが姿を変えられること。
そしてナターシャが語ったこれまでの経緯が報告された。
ビビド王子の話しに場内からざわめきが起きる。
そして向けられるのはギラン陛下への冷たい視線。
一国の王が本当に「呪いの子」など危険なものを野放しにしたのか。
それを近隣諸国に伝えることもせずにもみ消したということか。
そんな事がありえるのか。
そんな言葉が聞こえてくる。
しかし、あのパーティー会場の時とは異なり、なぜかクレヴァ陛下は落ち着き払っている様子。
「皆様、私から少し発言をよろしいかな。
あの時はさすがの私も少し動揺してしまい、気が動転し、すべて私のせいにしてしまえば事が収まると思ってしまった。
一国の王としての行動としてはほめられたものでない事は理解している。
しかし、国際会議での議論となればそういうわけにもいくまい。
実は呪いの子の話しがあったとき、本当はどこに行ったか必死に捜索を行った。
しかし、見つけることができなかったのだ。
そして風のうわさで隣国リリーヌ国へ入ったとの情報が入った。
そのためリリーヌ国国王には内密に連絡をしていたのだ。
だが、まだあまりにも情報が不確かな為、余計な不安を煽ることを恐れ、各国への連絡を入れることができなかった。
リリーヌ国にも協力を依頼し捜索を行ったが、そこで捜索していた女の子と似た体系の子の死亡が報告された。その子は火事で亡くなったため、顔は確認できなかったが、他に該当者がいなかったため、呪いの子であると結論付けられたのだ。
その為今まで各国への報告がなかった。しかし、このようなことになるのならば情報共有を十分に行うべきであったと反省している。
申し訳ない」
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