大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

現状確認とタイムリミット

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ともかく、シャルの話をまとめて確認してみようか。
一つ、俺も魔力が増えてはいるらしいが、致命的なまでに膨れ上がっている訳じゃないらしいという事。ちなみに、俺達勇者はそもそも(基本的に)魔法は使わないため、魔力回路については何も知らなかったらしい。増量魔法は魔力回路を使わないと言うか、そもそも必要ないから、もしかすると俺の身体…と言うか勇者の身体には今魔力回路が存在しないのかもしれない。
二つ、現在俺は血中の魔力が増えた事によって、血界の性能が全体的に上がっているらしい。使ってないから分からないが、ともかくそうらしい。どういう風に性能が上がっているんだろうか。試してみたいが、そんな余裕は無いし、人目につくのはシャルに怒られるから出来ないな。
まぁいい、三つ目、偶数番の血界…血呪、血鎧、血瞬は発動したら俺が死にかねないらしい。こっちこそ試せないから全くの予想だが、血呪が使えないというのはなんとも不便だ。あれ使い勝手がいいんだけどな…もちろん人前で使う気はないのだが。なんか最近、特にシャルがやかましくなった気がするから尚更使いにくいんだよな。
シャルが聞いて相談してきた限りはそんな感じの予想らしいが、ほぼ間違いないって言われる程度には根拠があるんだろう。
さて、話は一度このぐらいにしておいて、現在の話に戻るとしよう。
シャルがこちら側に戻って来て約一時間。
三体分あった魔法耐性持ちのノルマはあと一体。どうやってかわからんが、見つけ次第《臨界点》が「銀の猿!奴が当たりじゃ!」などと指示を飛ばしてくる。耐性があるかどうかは種族的な問題が大部分なのだが、それでも個体差はある。
魔獣の個体差は非常に大きい。特に結界の外の魔獣は尚のこと。バッタが獅子の魔獣を捕食する、なんて絵面は割と珍しくなかったりする。それでも個体差がいくらあろうと、絶対に超えられない隔絶した強さを誇る種族的がいたりするのだが、それはさておき。
《臨界点》はそう言ったパッと見では決して分からないものもすぐに見分けて俺に教えてくれた。手伝ってはくれなかったのだがな。
そして今さっき。ちょうど最後となる魔法耐性持ちの魔獣を《臨界点》が見つけてくれた。時間的にちょうどギリギリ、ラストチャンスぐらいで来てくれたのは正直助かった。《臨界点》もよく見つけてくれた。
けど問題は…そうだな。
相手がやたらと長生きしたせいで、文字通り化物みたいに強かったことか。
姿形はトカゲのそれ。しかし顔はコブラのような膨らんだフード状の膨らみがあり、後ろから見れば金の王冠のような模様が描かれていた。
黒く厚い鱗に覆われた身体、その下には強靭な筋肉が潜んでおり、二重の鎧を着込んだ奴には生半可な攻撃は一切通らない。
その膂力でふるわれる爪の一撃は、切り裂かれると同時に流し込まれる猛毒の方が致命傷となりうる。
シュルシュルシャロシャロと細い息と威嚇を吐き散らしながら、一緒に紫の濃い毒を撒き散らすそいつと出会った時、決してしてはいけないことは──目を合わせる事。
魔獣の名前はバジリスク。あらゆる生物を殺す猛毒と石化の邪眼を持つ、文字通りの化物だ。
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