大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

帰還と部屋

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いつだったかに、プクナイムから学校へ帰る時もルト先輩を使って帰還したが、あの時よりもずっと早く着いた気がする。
距離的に、プクナイムよりゼランバの方が遠いはずなのに…龍人種ドラゴニアンの成長速度が著しいのか、ルト先輩がこの夏季休暇で頑張ったのかは知らないが、とんでもない成長である。
何はともあれ、前回のように学校の屋上へと見事着地(?)したルト先輩にお礼を言いつつ、ひょいと飛び降りる。
さて、これは先に学校長に会いに行った方がいいのかね?それともフリーにして部屋に戻ってもいいのかね?
ちなみに今日は土曜。学校はどの道休みのはずだが、学校長の事だ。どうせあのやけに豪華な部屋でふんぞり返ってるんだろ。
『一応、こっちに着いたって報告を入れといたらどうだ?』
学校長にぃ?
屋上から下りる階段を歩きながら、そう聞き返す。
まぁ確かに、必要なことか…。
『どうせ、寮に行く道を少しばかり遠回りにすれば普通に着くんだ。寮に着いた後から呼び出されるよりかはマシだと思うぞ?』
全くもってその通りだった。
ため息を吐きながら、進路を変え、学校長の部屋を目指す。
久しぶりに歩く廊下を思い出しつつ、学長室へとたどり着く。
非常に簡素な作りに成り果てたその扉を俺は軽く叩き、即座に開け放つ。
「…って、なんだ。居ねぇのか?」
部屋の中には明かりのついたスタンドと、書き掛けの書類らしき何か。
まぁ、いないならいないで仕方ない。
俺は一度来たんだから。うん、仕方ない。
そう言い聞かせて部屋から出ようとした所で、シャルが『おい』と引き止めた。
「ぁんだ?」
『ライトつけっぱで部屋の鍵を掛けずに、しかも書類は出しっぱなし?俺にはあの学校長がそんなズボラな奴には見えなかったが』
「…つまり、何かあると?」
『もしくは何かあったか』
が、何かと言われても何か分からない。
……ふぅむ。
「あ…ん?」
『どした?』
「いんや…ちょいと待て待て」
やたらめったらデカい机の裏を、ひょいと覗き込んでみる。
するとそこには、意識を失った学校長殿の姿が。
「………外傷は…」
『タンコブ一つぐらいだな。おこせばいいんじゃないか?』
頭へのダメージって結構馬鹿にならないけどね?普通、素人目で判断しちゃだめよ?
だがしかし、ここにいるのは人やら魔族やらを切り捨てる事に慣れきった元勇者殿。
見た感じ大丈夫だと言うのなら、きっと大丈夫なんだろ。
学校長を揺さぶり起こしつつ、何事か聞くべきか否かを考える俺。
まさか…反聖女組織が襲撃したとか…?
早々にこんな事、大丈夫か?
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