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4. お父様、怒る!
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夜会より、早目に帰宅した私に気付いたお父様は、この時はまだ上機嫌だったのです。
「おや?今日はイヤに早い帰りだね、マーガレット。陛下達が御不在だと聞いてはいたが」
「はい。王太子殿下が仕切っておいででしたが、その殿下より婚約破棄を言い渡されてしまいまして」
憤怒の表情!
まるで面でも被ったかの如く‼︎
「お父様?」
「あんのガキャア、何してくれてやがる」
は?飛び出して行こうとするお父様を…。
バキッ!
ズダダーン。
な、殴り倒したわ、お母様。
「落ち着きなさいな。で、マーガレット。お母さん達にもわかる様に説明して」
殆ど濡れ衣だけど、私はボルト男爵令嬢ミリアへのイジメに譚を発して、王太子アルフォート殿下の逆鱗に触れる事となり、婚約破棄を宣言されるに至った経緯を話した。
「あんのガキャア…グゲッ」
バキッ、ズダダーン!
「だから落ち着きなさいな」
キャサリン=バルターが殊更乱暴な訳じゃない。激昂したニール=バルターを止めるのに1番効率的且つ効果的な方法なだけ。
で、何故お母様が強いかと言うと、公爵家としてはかなり稀だと思うけど、お父様は入婿だ。
先代、つまりキャシディ=バルターは領内の炭坑を守る為にドラゴンと戦い、致命傷と言える怪我をなされたらしい。
公爵家の財力にモノを言わせた秘薬で生命は取り留めたものの、副作用として不妊となってしまったと(行為できない訳ではないんだって。寧ろ遺伝子的な事由)。
その時点で公爵家の子供はキャサリンしかおらず、また直系血統にこだわった祖父により、婿を取る事になったとか。
なので、外面は兎も角家内ではキャサリンが事実上の家長。
勿論、公爵家の婿に選ばれる程なのだから、ニールが脳筋や無能な訳がない。政治判断や領地経営にも優れ、また騎士としての実力も右に出る者がいない程。
容姿にしても王都一の伊達男と評判で、娘として鼻が高いし、また娘じゃなければ、年配の男性にトキメキ憧れる女学生となってたかもしれない。
そういうハイスペックな男性なんだけど、残念ながらお母様は更に上をいく。公爵家令嬢がやる訳ない家事も完璧にこなせるし剣技だってお父様を模擬戦で倒せる程なの。
話が逸れたね。
「で、どうするの?マーガレット」
「いや、決まっとるだろう。王太子謝罪、王家の謝罪と婚約破棄の取り消しを要求する!我が公爵家を蔑ろにするにも程がある‼︎」
筆頭公爵家としては、それが妥当な処。
でも…。
若干、殿下の狼狽えがシナリオと違う気がするのは否めない。かと言って、殿下に嫁げるかと言えば、流石に私も考え直したい。
何より、ミリア嬢の動きだ。
あの暗い眼の輝きは、どうも闇堕聖女ルートっぽい。ならばあの手この手で私の破滅~謀殺を図ってくる筈。
それを避ける手は、なんと言ってもこの国からの脱出。出奔とも言える。
それに、折角前世を思い出して、しかも自由を得たのだ。あの王太子に尽くすよりマシな男性もいるでしょうし。
「お父様、お母様。私はこの国を出ようと思います」
「何をバカな。何処へ行こうと言うのだ、マーガレット。それに我等は、この婚約破棄を納得出来様筈も無い」
「決心は固いのね」
私は頷く。
何処に行くか、まだ決められない。
でも、王太子に嫁がない事だけはハッキリしてる。その意味では、お母様の賛同はとても心強い。
幸い、私は前世の女子高校生北斗真里の知識経験を思い出したし、彼女はゲーマーの割にはアウトドア派でキャンプにも良く行っていた。
深窓のお嬢様とはワケが違う。
「とりあえず、大峡谷の別荘地にでも行って、今後を考えたいと」
「おや?今日はイヤに早い帰りだね、マーガレット。陛下達が御不在だと聞いてはいたが」
「はい。王太子殿下が仕切っておいででしたが、その殿下より婚約破棄を言い渡されてしまいまして」
憤怒の表情!
まるで面でも被ったかの如く‼︎
「お父様?」
「あんのガキャア、何してくれてやがる」
は?飛び出して行こうとするお父様を…。
バキッ!
ズダダーン。
な、殴り倒したわ、お母様。
「落ち着きなさいな。で、マーガレット。お母さん達にもわかる様に説明して」
殆ど濡れ衣だけど、私はボルト男爵令嬢ミリアへのイジメに譚を発して、王太子アルフォート殿下の逆鱗に触れる事となり、婚約破棄を宣言されるに至った経緯を話した。
「あんのガキャア…グゲッ」
バキッ、ズダダーン!
「だから落ち着きなさいな」
キャサリン=バルターが殊更乱暴な訳じゃない。激昂したニール=バルターを止めるのに1番効率的且つ効果的な方法なだけ。
で、何故お母様が強いかと言うと、公爵家としてはかなり稀だと思うけど、お父様は入婿だ。
先代、つまりキャシディ=バルターは領内の炭坑を守る為にドラゴンと戦い、致命傷と言える怪我をなされたらしい。
公爵家の財力にモノを言わせた秘薬で生命は取り留めたものの、副作用として不妊となってしまったと(行為できない訳ではないんだって。寧ろ遺伝子的な事由)。
その時点で公爵家の子供はキャサリンしかおらず、また直系血統にこだわった祖父により、婿を取る事になったとか。
なので、外面は兎も角家内ではキャサリンが事実上の家長。
勿論、公爵家の婿に選ばれる程なのだから、ニールが脳筋や無能な訳がない。政治判断や領地経営にも優れ、また騎士としての実力も右に出る者がいない程。
容姿にしても王都一の伊達男と評判で、娘として鼻が高いし、また娘じゃなければ、年配の男性にトキメキ憧れる女学生となってたかもしれない。
そういうハイスペックな男性なんだけど、残念ながらお母様は更に上をいく。公爵家令嬢がやる訳ない家事も完璧にこなせるし剣技だってお父様を模擬戦で倒せる程なの。
話が逸れたね。
「で、どうするの?マーガレット」
「いや、決まっとるだろう。王太子謝罪、王家の謝罪と婚約破棄の取り消しを要求する!我が公爵家を蔑ろにするにも程がある‼︎」
筆頭公爵家としては、それが妥当な処。
でも…。
若干、殿下の狼狽えがシナリオと違う気がするのは否めない。かと言って、殿下に嫁げるかと言えば、流石に私も考え直したい。
何より、ミリア嬢の動きだ。
あの暗い眼の輝きは、どうも闇堕聖女ルートっぽい。ならばあの手この手で私の破滅~謀殺を図ってくる筈。
それを避ける手は、なんと言ってもこの国からの脱出。出奔とも言える。
それに、折角前世を思い出して、しかも自由を得たのだ。あの王太子に尽くすよりマシな男性もいるでしょうし。
「お父様、お母様。私はこの国を出ようと思います」
「何をバカな。何処へ行こうと言うのだ、マーガレット。それに我等は、この婚約破棄を納得出来様筈も無い」
「決心は固いのね」
私は頷く。
何処に行くか、まだ決められない。
でも、王太子に嫁がない事だけはハッキリしてる。その意味では、お母様の賛同はとても心強い。
幸い、私は前世の女子高校生北斗真里の知識経験を思い出したし、彼女はゲーマーの割にはアウトドア派でキャンプにも良く行っていた。
深窓のお嬢様とはワケが違う。
「とりあえず、大峡谷の別荘地にでも行って、今後を考えたいと」
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