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あなたの魅力に気づく月の夜

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『先生は他の看護師には「さん付け」なのに、私だけ呼び捨てにするの、ちょっと…嫌でした。それにいきなり藍花もやっぱり…』


ずっと不思議に思ってたこと、勇気を出して言ってみた。


『名前で呼ぶのは歩夢も一緒だ』


『それは歩夢君は男子だからいいですけど…』


私がそういうと、白川先生は少し黙ってしまった。


嘘…もしかして怒らせちゃった?


しつこく言い過ぎたかな。


この空気にちょっと耐えられないと思い始めたその時、


『…蓮見も、藍花も…とても美しい名前だから…だから、つい呼び捨てしたくなる』


私の耳元まで近づいて甘く囁いたその声が、あまりにセクシーで艶っぽくて…私は腰が砕けそうになった。


何なの、これ?


かろうじてベンチから滑り落ちないように耐えたけど、大袈裟じゃなく、本当にそんな感覚に襲われて急激に体が熱くなった。


心臓も激しく動き出し、よくわからないこの状況に動揺しまくってる自分がいた。


この体の変化、私に何が起こってるの?


七海先生もすごく色っぽくてドキドキしたけど、それとはまた違う白川先生の魅力。


どちらも大人の男を感じさせる人だけど、タイプは全然違う。


当たり前だよね、同じわけない。


だけど、正直、今の今まで白川先生のこんな一面見たことなかったから…


知らなかった男としての部分を発見してしまって、すごく不思議な感覚だった。


白川先生のファンはとっくに気づいてたんだろうな、この何とも言えない魅力に。


いつも近くにいたのに、私が先生を怖いって思い過ぎて気づかなかっただけなんだ。


好きとか嫌いとかはわからないし、まだ苦手意識は消えないけど…


それでもたぶん、今までよりは白川先生に怯えなくて済むのかも知れないなって思えた。


『…あ、あ、ありがとうございます。名前を褒めてもらえて嬉しいです。両親も喜びます』


って、私、何言ってるんだろ?


本当に気の利いたこと言えないんだから。
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