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それぞれの夢を抱いて

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『うん、そうだよね。ありそうだよね。理久先生ならモデルでも俳優さんでも人気出ると思うし』


『止めてください、2人とも。僕はそういう華々しい世界には向かないですから。まあ、スカウトはありましたけど…』


理久先生、ちょっと恥ずかしそう。


『嘘!本当に?!えー、マジですごいんだけど』


弥生の驚き方、子どもみたいで可愛い。


いつも驚く時はこんな感じ、喜怒哀楽がハッキリしてる人なんだと思う。


ちょっと…うらやましいかな。


『たいしたことないですよ。べつに』


『そんな~聞きたい聞きたい!今までどんなスカウトがあった?』


弥生は、向かい側に座る理久先生の目の前まで体を乗り出した。


『ちょっ、ちょっと…近いです。えと、たぶんアイドル系が7回と俳優が5回、あとモデルが…何回かわからないです』


『えー!』


2人で口を揃え叫んだ。


正直、かなりの衝撃。


『そ、そんなに声かかったら普通芸能界入るでしょ?なんで保育士やってんの?』


確かに、ごもっともな意見だ。


『…芸能界に入っても、自分らしくいられないのがわかってるからです。向いてませんよ、僕なんかにそんな華やかな世界は』


『でも、ちょっともったいないよね。それだけの需要があるのに。じゃあさ、理久先生がいう自分らしいことって何なの?』


弥生の質問、私もすごく気になった。


『僕は子どもが好きです。当たり前のように昔から保育士を目指していました。まあ、母親が保育士っていうのもありましたけど、何よりも保育士という仕事自体にすごく憧れてました』


理久先生の大きな瞳がキラキラしてて、すごく魅力的。


ちょっとミステリアスな部分もある先生だけど、この顔を見てたら、本当になりたかった職業に就けて満足してるのが良くわかる。


『素敵、ずっと保育士に憧れてたんだね。私もそうだから良くわかるよ』
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