あの夜、あなたがくれた大切な宝物～御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く～

当たり前の家族の幸せ

1

『お父さん、いつもありがとう。お昼ご飯もこんなにご馳走になって』


『こちらこそ、一緒に食事が出来て嬉しいよ』


今日は、雪都を連れて、実家に帰ってきた。


麗華とキチンと話をするために。


『おじいちゃん、遊ぼ』


『ああ、雪都、一緒に遊ぼうか。だけど、少しだけママとお話があるから、それから遊ぼう。ちょっと向こうで待っててくれるか？』


お父さんは、膝まづいて雪都に言った。


『は～い、おじいちゃん大好き』


そう言っておじいちゃんを抱きしめる雪都。


『おお、雪都～おじいちゃんも大好きだ』


あまりにも微笑ましい光景に目尻が下がる。


顔をしわくちゃにして笑うお父さんは、社長としての冷静な顔とは全然違う。


『雪都のこと、ありがとう。こんなに良くしてもらって…私が親孝行しないといけないのに…』


『何を言うんだ。雪都を産んでくれたことが何よりの親孝行じゃないか。こちらこそお礼を言わないとな。孫がこんなにも可愛いなんて思わなかったよ。初めて…長生きしたいと思った』


『お父さんには長生きしてもらわなきゃ困るからね。お母さんもきっとそう願ってるよ』


『そうだな。家族みんな健康で仲良く出来たらこんなに嬉しいことはない』


『うん』


雪都はこうやってみんなに元気を与えてくれる、みんなを笑顔に出来る存在なんだね。


本当に…子どもってすごい。


保育園で、慶都さんが雪都と初めてあった日のことも、私は忘れられない。


そして、雪都に、慶都さんがパパだよって告げた日のことも…


目を閉じると鮮明に思い出す。


珍しく緊張した面持ちの慶都さん。


「雪都…保育園の夏祭りで会ったこと、覚えてるかな？」


慶都さんの問いかけに雪都は、


「うん！覚えてるよ。ママを大切にしなさいって」


と、元気に答えた。


「覚えててくれてありがとう。嬉しいよ。雪都、よく聞いてくれ。俺は…ずっと君とは離れていたけど、本当は…」