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当たり前の家族の幸せ

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慶都さんのドキドキが伝わってきて、私まで心臓がバクバクした。


「パパ?僕のパパ?」


目をキラキラさせている雪都。


そんな風に聞かれ、2人ともすごく驚いた。


でも次の瞬間、慶都さんは雪都を優しく見つめながら、


「ああ、そうだよ。俺は雪都のパパだ。ずっと離れていてごめんな」


そう答えてくれた。


「わ~い、やったぁ。パパだ、パパだぁ~」


あんな嬉しそうにはしゃぐ雪都、初めて見た。


本当はずっとパパに会いたかったんだね。


「雪…都」


慶都さんは、雪都をギュッと抱きしめ泣いていた。


必死に我慢してたけど…


その目からは、抑えきれない涙がポロポロこぼれ落ちていた。


「パパ!ママと3人でいっぱい遊べる?」


「…ああ、これからはずっと一緒だから。だから…いっぱい遊ぼうな」


慶都さんは、胸を詰まらせながらも一生懸命言葉にしてくれた。


後になって雪都に聞いたら、慶都さんを保育園で見た時から、自分のパパだったらいいなって…子どもながらに思ってたみたいだった。


親子の遺伝子って、引き寄せ合うのかな…


「雪都にパパって言われた時の感動は、きっと一生忘れられないだろう。どんな言葉でも表せない、この気持ちはいったい何なんだろうな」


「雪都も私も同じです。この気持ち、なかなか言葉じゃ表せないです。でも、やっぱり…言葉にするとしたら、私はひとつです」


「ん?」


「私達は…幸せです」


「ああ、結局、それが1番ピッタリの言葉だな。俺も…幸せだ」


そんなことを語り合ったあの日。


一生、忘れない。


お父さんにも、慶都さんにも、そして私にも、最高の「幸せ」を与えてくれる雪都。


母親として、心から感謝したいと思った。


慶都さんのことを考えている間に、お父さんが温かいミルクティーを作ってくれた。


子どもの頃からたまに作ってくれる甘くて優しい味が、今も変わらずずっと好きだ。
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