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一章 異世界へようこそ 新たな人生の幕開け
1-6 無事に産まれてきます
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ラファの言葉によって冷え切った空気が今度は驚きの空気に変わる。
どういうこと??と言った感じで全員がラファを見つめる。
ラファは平然とした感じで皆の視線を感じながらも淡々と説明をしていく。
「今から私が奥様の下半身のマッサージを行います。ただのマッサージではありません。専用の香油を用いて行いますので、陣痛が強くなったり、筋肉が緩んだり人によって様々な効果が得られるようになりますが、一番の効果は出産が安全に行えるようになることです。」
ラファが説明中、一緒に来ていた女性達が持ってきていた鞄から色々と道具を取り出して準備をしだす。
ラファの話を聞いてもいまいち状況が掴めていない母上。
それでも、お腹の中にいる僕達が無事に産まれてくるのであればと言ってラファの提案を受け入れることにした。
外で母上達が奮闘している中、僕達はというと...母上のお腹の中の動きに合わせて外に出る準備を行っていた。
まず先に相棒である"姉上"が外に出る準備にとりかかる。
僕達が外に出るためにはみるからに"狭い"場所を通る必要があった。
《ねぇ~、本当にこんなところ通れるのかしら?》
相棒は外に出るための姿勢を整えるために出口の方を見ながら僕に質問してくる。
僕も相棒が見つめる先を見るが...どう見ても狭く、本当に通れるのか不安になる。
いくら前世の記憶があるとはいえど、僕も産まれる時の記憶はないので返事に困った。
困ったが...以前も産まれていると言うことは出ることができると言うことだろう。
だから僕は相棒を勇気づけるために声をかけた。
(大丈夫だよ。僕達は水の中にいるからきっとこの水が"クッション"になって助けてくれるよ。)
僕がそういうと相棒は不思議そうに首を傾げる。
《ねぇ~"クッション"ってなに?あなた物知りね!》
僕はまずいと思いつつも苦笑いを浮かべる。
そうだ、僕には前世の記憶はあるが...相棒にはないのだ。
だから"クッション"とか言っても分からないはず。
てか...クッションがまずこの世界にあるんだろうか?僕はそんな疑問を感じつつもどうにかして相棒を勇気づけようと言葉を探していると...。
《まぁ~意味は分からないけど、あなたが大丈夫って言うなら大丈夫ね!
それに、私が外に出ることができたらあなたも外に出られるってことになるからね!ヨシ!頑張る!》
どうにか自分なりに納得したようで、相棒は少しずつ体の向きや位置を変えながら狭い出口を目指していく。
それに合わせて、僕達がいる場所も変な動きをしだす。
なんか...絞り出される感じ??と言ったらいいのだろうか???
キューってなってふよふよとなっている。
急に抑え込まれそうになったかと思ったら伸びる?見たいかな感覚が起きているのだ。
その動きに合わせて相棒は身体を少しずつ動かしていくのを僕は横に避けて見守ることにした。
僕達も外に出るために準備をしているのに合わせて母上も頑張っていた。
ラファは母上が僕達を少しでも楽に産めるようにとマッサージを行いだした。
腹部から下半身にかけて。特に下半身は丁寧にゆっくりと行う。
特殊な香油を使いながら母上の身体を揉みほぐしていくラファ。
それを専属医師と侍女達は静かに見守る。途中途中で、母上の汗を拭いたり身体を支えたりと補助も行いながら出産に挑む面々。
ラファのマッサージを受けだしてから母上の身体から少しずつだが程よく緊張が抜けてきて、固まっていた筋肉や筋がほぐれだす。
それを見極めつつラファはマッサージの加減を行なっていく。
一番重点的にラファがマッサージを行ったのは陰部だった。
少しでも子宮口の周囲が硬いと裂ける可能性があるからだ。
僕がいた世界では、子宮口が変に裂けないために医師が子宮口をハサミで切ることがあるが、この世界ではその知識も習慣もない。
ましてや、裂けた子宮口を縫い合わせる技術すらないのだ。
そのため、裂けた場合は自然に治癒するのを待つか、回復術師によって治してもらうかだが、場所が場所だけにほとんどの女性は自然治癒するのを待つのを選択する。
その場合、母体の方が感染症を起こして亡くなったり、亡くなりはしないが次の出産が不可となることが多いのだった。
そんな女性を少しでも減らすためにと"セレーネ"としてラファが他の"セレーネ"達と考えて編み出したのがこのマッサージだったのだ。
出産の妨げにならないように慎重に局部を揉みほぐしていくラファ。
同じ女性だとしても、局部を他人に触られるのはかなりの羞恥心を伴うが、母上は僕達のために必死に耐えてくれていた。
そのおかげもあり、母上の子宮口周囲の筋肉は程よく揉みほぐされて裂けることなく広がっていき、最初の胎児の頭が見えだしたのだ。
「奥様。最初のお子様の頭が見えてきました。今からが正念場です。かなり苦しいかと思いますが、耐えて下さい。私が合図しますので、合図したら力んで下さい。」
ラファの言葉を聞いて母上はかなり苦しい中、息を絶え絶えにしつつも頷き力むのを堪える。
ラファは慎重に見え隠れする赤児の動きを観察しながら母上に声をかける。
完全に赤児の頭の動きが固定されいい感じに外に出てこようと瞬間をラファは見逃さなかった。
「奥様!今です!!しっかり力んで下さい!!」
ラファの声に母上は渾身の力をかけて力む。
すると...最初の赤子がスルッと母上の子宮口から無事に誕生したのだ。
ラファは出てきた赤子を直ぐに抱き抱えて、側に待機していた他のセレーネに指示を出して託す。
そして、まだお腹の中でいる次の赤児の出産に備える。
「奥様、安心して下さい。最初のお子様は無事です。今から二人目の出産を行いますよ?もう、すでに一人出てきてるので道ができてます。最初よりかは楽かと思いますが、あと一踏ん張りです。」
ラファの声を聞き母上はまた襲ってくる陣痛と闘いながら僕を産む準備に取り掛かる。
すると...他のセレーネに託された赤児が元気な産声をあげた。
「奥様。聞こえますか?お子様のお声です。女の子ですよ!」
ラファから託された赤児の身体を拭いていたセレーネの一人がそう言って、産声を上げる姉上を抱き抱えて母上に見せる。
母上は嬉しい泣きしながらまだ僕が入っているお腹を見つめて呟く。
「今度はあなたの番よ。私も頑張るから...あなたも頑張ってね。」
そう呟き、姿勢を治して僕を産む体勢を整える。
その頃僕はと言うと...狭い出口を目指して必死に身体をくねらせながら動いている相棒を見つめていた。
相棒はあの狭い出口を器用に身体をよじらせながら進んでいきあっという間にいなくなったのだ。
(あっ!良かった!無事に外に出られたんだ。)
僕はほんの数秒前まで一緒にいた相棒が消えた先を見つめながらホッとする。
そして...今度は僕を外に押し出そうとする空間の動きに合わせて、移動を開始する。
(大丈夫。相棒は無事に出れたんだ。だから僕も大丈夫。...だよね?)
少し不安になりつつ、相棒のように姿勢を整えていると...外から僕を呼ぶ相棒の声が聞こえてきた。
《ほら!私はちゃんと外に出れたわよ!今度はアンタの番よ!私、待ってるから!ちゃんと来なさいよ!》
繰り返し僕に声をかけてくる相棒の声に励まされながら僕は意を決して出口に向かって頭を向ける。
(あっ...ここ、動きやすい。姉上が通ったからなんだ。ちゃんと、僕が移動しやすいように目印がついてる。ありがとう...姉上。僕も姉上の所に行きますね。)
僕は相棒が付けくれている通り道の目印に沿って身体を移動さていく。
僕が移動を開始した頃外では、次の陣痛に苦しむ母上の声と僕が出て来れるようにと励ます姉上の声が部屋中に響いていた。
部屋の外では、姉上の声を聞いて歓喜する声が上がりったが、聞こえてくる声がまだ一人分だと分かり母上に応援をする。
ラファは再度子宮口を見つめる。
いい感じに広がっている子宮口に次の赤児の頭が見えたのを見逃さない。
僕が頭をしっかり固定するまで、ラファは凝視する。
僕がしっかり頭を固定したら母上に力むよ指示を出す。
母上は襲ってくる陣痛に耐えながら下半身に力を入れる。
僕はその力をうまく利用して、姉上が準備してくれた道を素直に通って行く。
そして...。
(あっ!眩しい...僕、外に出れたんだ。)
薄暗かった場所から一気に明るい刺激を受け、直ぐに産声を上げる僕。
産声を必死に上げる僕をラファは抱き抱えて、臍のうを切り産湯に浸す。
僕の声を聞いたら先ほどまで泣いていた姉上は泣くのをやめて僕のほうを見つめる。
僕は姉上の声が止んだのに気づいて閉じていた目を開いて姉上を探す。
すると...ふかふかの布に包まれて僕を見つめる相棒と、姉上と目が合い僕達は微笑むのだった。
その姿を見て、部屋の中の人達は一斉に歓喜の声を上げた。
どういうこと??と言った感じで全員がラファを見つめる。
ラファは平然とした感じで皆の視線を感じながらも淡々と説明をしていく。
「今から私が奥様の下半身のマッサージを行います。ただのマッサージではありません。専用の香油を用いて行いますので、陣痛が強くなったり、筋肉が緩んだり人によって様々な効果が得られるようになりますが、一番の効果は出産が安全に行えるようになることです。」
ラファが説明中、一緒に来ていた女性達が持ってきていた鞄から色々と道具を取り出して準備をしだす。
ラファの話を聞いてもいまいち状況が掴めていない母上。
それでも、お腹の中にいる僕達が無事に産まれてくるのであればと言ってラファの提案を受け入れることにした。
外で母上達が奮闘している中、僕達はというと...母上のお腹の中の動きに合わせて外に出る準備を行っていた。
まず先に相棒である"姉上"が外に出る準備にとりかかる。
僕達が外に出るためにはみるからに"狭い"場所を通る必要があった。
《ねぇ~、本当にこんなところ通れるのかしら?》
相棒は外に出るための姿勢を整えるために出口の方を見ながら僕に質問してくる。
僕も相棒が見つめる先を見るが...どう見ても狭く、本当に通れるのか不安になる。
いくら前世の記憶があるとはいえど、僕も産まれる時の記憶はないので返事に困った。
困ったが...以前も産まれていると言うことは出ることができると言うことだろう。
だから僕は相棒を勇気づけるために声をかけた。
(大丈夫だよ。僕達は水の中にいるからきっとこの水が"クッション"になって助けてくれるよ。)
僕がそういうと相棒は不思議そうに首を傾げる。
《ねぇ~"クッション"ってなに?あなた物知りね!》
僕はまずいと思いつつも苦笑いを浮かべる。
そうだ、僕には前世の記憶はあるが...相棒にはないのだ。
だから"クッション"とか言っても分からないはず。
てか...クッションがまずこの世界にあるんだろうか?僕はそんな疑問を感じつつもどうにかして相棒を勇気づけようと言葉を探していると...。
《まぁ~意味は分からないけど、あなたが大丈夫って言うなら大丈夫ね!
それに、私が外に出ることができたらあなたも外に出られるってことになるからね!ヨシ!頑張る!》
どうにか自分なりに納得したようで、相棒は少しずつ体の向きや位置を変えながら狭い出口を目指していく。
それに合わせて、僕達がいる場所も変な動きをしだす。
なんか...絞り出される感じ??と言ったらいいのだろうか???
キューってなってふよふよとなっている。
急に抑え込まれそうになったかと思ったら伸びる?見たいかな感覚が起きているのだ。
その動きに合わせて相棒は身体を少しずつ動かしていくのを僕は横に避けて見守ることにした。
僕達も外に出るために準備をしているのに合わせて母上も頑張っていた。
ラファは母上が僕達を少しでも楽に産めるようにとマッサージを行いだした。
腹部から下半身にかけて。特に下半身は丁寧にゆっくりと行う。
特殊な香油を使いながら母上の身体を揉みほぐしていくラファ。
それを専属医師と侍女達は静かに見守る。途中途中で、母上の汗を拭いたり身体を支えたりと補助も行いながら出産に挑む面々。
ラファのマッサージを受けだしてから母上の身体から少しずつだが程よく緊張が抜けてきて、固まっていた筋肉や筋がほぐれだす。
それを見極めつつラファはマッサージの加減を行なっていく。
一番重点的にラファがマッサージを行ったのは陰部だった。
少しでも子宮口の周囲が硬いと裂ける可能性があるからだ。
僕がいた世界では、子宮口が変に裂けないために医師が子宮口をハサミで切ることがあるが、この世界ではその知識も習慣もない。
ましてや、裂けた子宮口を縫い合わせる技術すらないのだ。
そのため、裂けた場合は自然に治癒するのを待つか、回復術師によって治してもらうかだが、場所が場所だけにほとんどの女性は自然治癒するのを待つのを選択する。
その場合、母体の方が感染症を起こして亡くなったり、亡くなりはしないが次の出産が不可となることが多いのだった。
そんな女性を少しでも減らすためにと"セレーネ"としてラファが他の"セレーネ"達と考えて編み出したのがこのマッサージだったのだ。
出産の妨げにならないように慎重に局部を揉みほぐしていくラファ。
同じ女性だとしても、局部を他人に触られるのはかなりの羞恥心を伴うが、母上は僕達のために必死に耐えてくれていた。
そのおかげもあり、母上の子宮口周囲の筋肉は程よく揉みほぐされて裂けることなく広がっていき、最初の胎児の頭が見えだしたのだ。
「奥様。最初のお子様の頭が見えてきました。今からが正念場です。かなり苦しいかと思いますが、耐えて下さい。私が合図しますので、合図したら力んで下さい。」
ラファの言葉を聞いて母上はかなり苦しい中、息を絶え絶えにしつつも頷き力むのを堪える。
ラファは慎重に見え隠れする赤児の動きを観察しながら母上に声をかける。
完全に赤児の頭の動きが固定されいい感じに外に出てこようと瞬間をラファは見逃さなかった。
「奥様!今です!!しっかり力んで下さい!!」
ラファの声に母上は渾身の力をかけて力む。
すると...最初の赤子がスルッと母上の子宮口から無事に誕生したのだ。
ラファは出てきた赤子を直ぐに抱き抱えて、側に待機していた他のセレーネに指示を出して託す。
そして、まだお腹の中でいる次の赤児の出産に備える。
「奥様、安心して下さい。最初のお子様は無事です。今から二人目の出産を行いますよ?もう、すでに一人出てきてるので道ができてます。最初よりかは楽かと思いますが、あと一踏ん張りです。」
ラファの声を聞き母上はまた襲ってくる陣痛と闘いながら僕を産む準備に取り掛かる。
すると...他のセレーネに託された赤児が元気な産声をあげた。
「奥様。聞こえますか?お子様のお声です。女の子ですよ!」
ラファから託された赤児の身体を拭いていたセレーネの一人がそう言って、産声を上げる姉上を抱き抱えて母上に見せる。
母上は嬉しい泣きしながらまだ僕が入っているお腹を見つめて呟く。
「今度はあなたの番よ。私も頑張るから...あなたも頑張ってね。」
そう呟き、姿勢を治して僕を産む体勢を整える。
その頃僕はと言うと...狭い出口を目指して必死に身体をくねらせながら動いている相棒を見つめていた。
相棒はあの狭い出口を器用に身体をよじらせながら進んでいきあっという間にいなくなったのだ。
(あっ!良かった!無事に外に出られたんだ。)
僕はほんの数秒前まで一緒にいた相棒が消えた先を見つめながらホッとする。
そして...今度は僕を外に押し出そうとする空間の動きに合わせて、移動を開始する。
(大丈夫。相棒は無事に出れたんだ。だから僕も大丈夫。...だよね?)
少し不安になりつつ、相棒のように姿勢を整えていると...外から僕を呼ぶ相棒の声が聞こえてきた。
《ほら!私はちゃんと外に出れたわよ!今度はアンタの番よ!私、待ってるから!ちゃんと来なさいよ!》
繰り返し僕に声をかけてくる相棒の声に励まされながら僕は意を決して出口に向かって頭を向ける。
(あっ...ここ、動きやすい。姉上が通ったからなんだ。ちゃんと、僕が移動しやすいように目印がついてる。ありがとう...姉上。僕も姉上の所に行きますね。)
僕は相棒が付けくれている通り道の目印に沿って身体を移動さていく。
僕が移動を開始した頃外では、次の陣痛に苦しむ母上の声と僕が出て来れるようにと励ます姉上の声が部屋中に響いていた。
部屋の外では、姉上の声を聞いて歓喜する声が上がりったが、聞こえてくる声がまだ一人分だと分かり母上に応援をする。
ラファは再度子宮口を見つめる。
いい感じに広がっている子宮口に次の赤児の頭が見えたのを見逃さない。
僕が頭をしっかり固定するまで、ラファは凝視する。
僕がしっかり頭を固定したら母上に力むよ指示を出す。
母上は襲ってくる陣痛に耐えながら下半身に力を入れる。
僕はその力をうまく利用して、姉上が準備してくれた道を素直に通って行く。
そして...。
(あっ!眩しい...僕、外に出れたんだ。)
薄暗かった場所から一気に明るい刺激を受け、直ぐに産声を上げる僕。
産声を必死に上げる僕をラファは抱き抱えて、臍のうを切り産湯に浸す。
僕の声を聞いたら先ほどまで泣いていた姉上は泣くのをやめて僕のほうを見つめる。
僕は姉上の声が止んだのに気づいて閉じていた目を開いて姉上を探す。
すると...ふかふかの布に包まれて僕を見つめる相棒と、姉上と目が合い僕達は微笑むのだった。
その姿を見て、部屋の中の人達は一斉に歓喜の声を上げた。
応援ありがとうございます!
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