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二章
六十八話 地味ではない鍛錬
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日が中天に差し掛かろうという頃。
呼び出された俺は、エリスとハティ、それとチェリーさんを連れ立ってガーヴさんの家を訪れた。
要件は言うまでもなく一週間の間、俺が鍛錬をサボって鈍ってないかの確認だったのだが……
今、俺の目の前では木槍をもったチェリーさんが、木剣を構えたガーヴさんを相手に猛然と挑みかかっていた。
「やぁっ!」
「……ふむ」
俺とガーヴさんの組み手稽古を見て、俺とガーヴさんの関係を理解したんだろう。
稽古をつけてほしいと言い出したのだ。
ガーヴさんも俺が連れてきた新顔に興味があったのか、了承して立会を初めたわけだが……
「えっ!? ひゃあああっっ!?」
チェリーさんが、空を舞っていた。コマのような華麗なアクセルを決めながら。
まぁ、何があったか問えば、突きこまれた槍を捕まれ、足を払われ身体が浮いた状態で槍をすごい勢いで拗じられた。
結果、回転を遮るものがなくギュルギュルと効果音が聞こえそうな勢いでぶん回されていた。
何回転したんだろ、あれ
「うぅ……気持ち悪い……」
「どうする? まだやるか?」
「ま、参りました……」
ぶん投げられたチェリーさんはと言えば、なんとか立ち上がるも未だフラフラしていた。
まぁあんだけ回されたら仕方ないよな。
「嬢ちゃん、その歳でずいぶん鍛えてるな。技術はまだまだだが体力に関して言えばキョウよりも遥かにカラダ作りができてるぞ」
「ど、どうも……」
まぁ、チェリーさん俺よりレベル高いからな。全部のパラメータが俺より一回りどころか二回りくらい高いから、そりゃ俺よりも自力は高いわな。
そのチェリーさんがガーヴさん相手に軽くあしらわれてゼェゼェ言ってる訳なんだが。
「だが、技術が全然だな。それだけ良いカラダしていてもキョウとやったら十回やれば九回は負けるだろうな。誰に習ったかしらねぇが多少は技能の使い方を判ってるようだが、まだまだ身体に馴染んでねぇ」
まぁスキルの使い方教えたの俺だし、昨夜はじめてまともに使い始めたレベルだからそれは仕方がない。
「だがまぁ、自力はあるようだから技を使いこなせるようになるだけで、ある程度通用するようにはなるだろうよ」
「はい、ありがとう……御座いました!」
「おう、精進しな。キョウから色々盗みながら自分に合った戦い方を見出していくと良い。こいつのマネをしても劣化キョウが出来上がるだけだし、こいつ時折おかしな発想で技を使うことがあるから、引っ張られすぎると調子を崩すぞ」
「おかしなとは失礼な、ガーヴさんの教えを元に真面目にやってる俺に向かってなんて言い草だよ。俺ほど保守的で真面目な奴はなかなか居ねーぞ」
「保守的で真面目なやつがバジリコックに一人で挑む訳ねーだろうが! 寝言は寝て言いやがれ!」
またそれかよ。
なんつうか、絶対みんな勘違いしてるぞアレ。誰かが法螺吹いて過大評価に踊らされているとしか思えない。
「いや、だからアレ絶対過大評価されてるんだって、同ランク以下って言われてるライノスに比べりゃカスみたいなもんだったし、ガーヴさんなら間違いなくソロで倒せる程度の雑魚なんだってば」
「はいはい、実際に戦ったお前が言うのならきっとそうなんだろう。お前の中だけでな!」
「ヒデェ言い様だなおい!」
あんなの厄介なのは石化だけで、他はただのデカイ鳥でしかなかったってのに。
そりゃ石化は場合によっては即死と同義かもしれんけど、そんなの石化しなくてもあの嘴で突かれたら普通に死ぬだろ。『即死級』の攻撃が『即死』攻撃になるだけだ。
なんであの鶏モドキがあんな高評価なのか全く理解が出来んぞ。どれだけ言っても連中信じやしねぇし、バジリコックの話題はスルーだ。
「どうも嬢ちゃんは身体と技術の練度が不自然にチグハグだな。これだと俺やキョウが教えるよりもエリスやサリ達と一緒に基礎を覚えたほうが良さそうだな」
「ああ、それはあるかも。チェリーさん俺より全体的に高性能だけどその身体を使いこなせてない訳だから、小手先の技術よりも基礎のスキルの使い方をみっちりやったほうが伸びそうだな」
「基礎練か~。なんか部活を思い出すねぇ」
ごめん、俺帰宅部だったから同意できません……
「最近はサリもエリスも足運びと重心維持なんかの訓練してるから混ぜてもらうと良い」
「へぇ、新しいこと初めたんですか」
「少し前、お前が一人で重心維持の鍛錬のようなものをしているのを見かけてな。あの子達にもそろそろ組手意外の物を教えていいと思っていたところだったから丁度いいと思ったんだ」
ああ、足壊した時にやってたアレか。
今でもやってるけど、激しく動くのを禁止された時にちょうど思いついたアレをひたすら繰り返してた時期があったから、それを見たんだろう。
そんな事を思いながらエリスたちの方を見てみると、なかなかに奇妙なことをやっていた。
「相撲?」
チェリーさんがそんな感想をボソリと漏らしていたが、確かに見た目は相撲っぽい。円の中で向き合って、押したり逃げたりを繰り返している。
ただ、相撲と違う点がいくつかあった。まず、両手を後ろで組んでいた。押す時は胸か肩で押している。
そしてもう一点。頭の上に二人共石を載せていた。何だあれ? 手を後ろで組んでるのは、まぁ手を使わずに押し出せっていうことなんだろうけど、頭の上の石は……落とさないようにしてるんだろうか?
「アレは、攻守決めておいてな、砂時計の砂が落ちるまでに攻め手は相手を円の外に押し出せば勝ち。守り手の方は逃げ切れば勝ちって単純なモノだ。ただし、どっちも手を使うのは禁止。頭の石を落とせばその時点で負けっていうおまけ付きだがな」
なるほど、相撲と違って攻めと守りが分かれてるのか。で、頭の石は攻めも守りも関係なく落としたら負けと。
押し出すために身体をぶつける必要があるが、姿勢やバランスが悪いとその衝撃で頭の石を落としちまうから、重心移動や足運びの練習にもなるってことか。
それ以前に、攻めも守りも手を封じられている以上、追い詰めるのも逃げるのも足運びだけでやり取りしないといけないから、間合いの詰めや取り方なんかの訓練にもなりそうだ。
遊びっぽく見えるけど結構実践的なヤツだなコレ。
「スキルなんかは有りなんですか?」
「もちろん有りだぜ? 加速系技能を使っても構わん。頭の石を落とさずに使いこなせるならな」
「あー……結構難易度高そう」
チェリーさんも理解したのか難しそうな顔をしていた。
たった一歩のスキル制御もまだおぼつかない状態では確かに立会でのスキル仕様、さらに石を落とさないようにという縛り付きとなると結構な高難易度だろう。
しかし、スキルというのは移動や攻撃のためだけにあるわけではない。
「お、今のは受け流しのスキルですか?」
「サリは攻めよりも守りが得意だからな。もともと護身術として稽古してたから受け流しや返し技なんかは昔からそれなりに仕込んでんだ」
エリスのショルダータックルじみた肩からの押し込みに対して、サリちゃんは一瞬もろに肩で受けたように見えたが、スキルエフェクトと共にまるで木の葉か何かのようにひらりと身を翻す。
当たりを確信して押し込んでしまったエリスはそのまま盛大にバランスを崩し転んでしまう。
アレだけ派手に転んでおいて頭の石を落としてないとかどういうバランス感覚なんだと真面目に感心してしまったが、勝負はここまでのようだ。
「砂が全部落ちたから私の勝ちだね」
「ううー! くやしいー!!」
どうやら残り時間が残り僅かと見て、強引に勝負を決めに行った所を迎撃されたようだ。
どうやら昔から鍛錬を続けてきたサリちゃんのほうが最近始めたばかりのエリスよりも一枚上手のようだな。
「ねぇ、私あれに混ざるの? あの子達ずいぶん高度なことやってるように見えたんだけど……」
「嬢ちゃんはあの二人よりも体格良いし、かなり鍛えてるだろ? その分を差し引いてもまだ少々足らねぇが……目に見える目標があったほうが良いだろ」
「つまり、あの子達と私が互角にやれるようになってようやく一人前ってこと?」
「ばーか、ガキ二人は半人前もいいところだ。あの二人と互角ならようやく初心者ってとこだな」
「えぇぇ、あんな器用に立ち回ってるのに?」
「槍振り回そうって良い歳した娘が、ガキに並んで満足してどうすんだよ?」
「うっ!?」
そりゃそうだよな。
小学生みたいな歳の子供と互角で喜んでちゃ、戦闘系廃人自称している大人の女としては駄目だろう。
「ところで、キョウさんは何やってんのそれ?」
「何って……武器を取り回す練習してるんだけど……?」
「そんなスローな動きで?」
まぁ、確かにスローだけどさ。意図的にやってるからとにかく遅い。
どれくらい遅いかと言えば、ミアリギスを一回転させるのにおよそ三十秒ほどかけている。
「スローだから意味があんの。ゆっくり負荷をかけつつ取り回すことで、どうすれば振り回す時に一番体に負担がかからずに大ぶり出来るかを探してんの」
「ずいぶんスポ根感漂うトレーニング法だけど、それって現代スポーツ学的にどうなの?」
「判らん。調べようがないしな」
ネットを絶たれ、リアルからも隔離されてる俺がそんな現代スポーツだの医学だの今まで全く見向きもしなかったジャンルの情報なんぞ仕入れられる訳がない。
「効率とかはサッパリ分からんけど、効果はあったからやってるのさ」
基本手探りな以上、まずはやってみるのが基本だ。やってみて、効果があれば続け、効果がなければやめる。
効果がある方法からもっといい方法があれば更にそれを試す。単純な話だ。
「嬢ちゃん、コイツの言う『楽に振り回す方法探し』なんて妙な試みは知らんが、あのゆったりした振り回し自体は決して無駄にはならんぜ?」
「え、そうなんですか?」
おい、俺の訓練はやるだけ無駄だとか思ってたのかよ?
くそ、ミアリギスはかなり重量があるから現在進行系でかなり体に負担がかかってて、この体勢じゃ気軽にツッコミも返せん。
「ああやって、武器をゆっくりゆっくりと振り回すのは見た目に反してかなりの重労働でな、ああやって動きを刻みつけるように繰り返すと、いざ戦場でビビって頭が空っぽになっても、身体が勝手に刻み込まれた動きを辿ってくれるんだわ」
「あぁ……漫画とかでよくある剣士が無意識に体が動くまで素振りを続けるっていう」
「まんが? ……よく分からんが、そうだな。訓練してないやつがパニックになると、何をして良いのか分からずに棒立ちになるか右往左往するだけだ。だがしっかり訓練を受けて毎日訓練で剣を振り続けてきた奴は、持ってる剣を今までひたすら繰り返した動きで振るって選択肢が用意される。それが惰性で振れるくらいに体に染み込んでいれば尚良しだ。そんな風に考えるより先に体が動くようにするための訓練が反復練習ってやつだ」
「なるほど、じゃあキョウさんのアレは無駄じゃないんですね」
「アイツの意図通りの結果が出るかどうかはともかくとしてな」
「本人の前で言いたい放題だなアンタら……」
想定の振りを終えて突っ込み返すも、既に二人共こっち見てねぇし!
「エリスちゃーん、サリちゃーん。私も混ぜてー!」
「いいよ~。一緒にやろう」
「わ、えと、あの……どうぞ」
ほんと自由だなあの人。
何でも楽しんでる感じっていうか……実際に楽しんでるんだろうなぁ。
「おう、なかなか面白い娘を拾ってきたな」
「ええまぁ……自由すぎてちょっと手におえない所がありますけど、いい人ですよ」
「なんだぁ? 拾った嫁に早速尻に敷かれてるのか?」
「嫁とかそういうのじゃないですって」
「ほーん?」
このオッサン絶対信じてねぇな?
「まぁ嫁じゃないにしても、思わぬ出会いは大事にしとけ。良くも悪くも出会いってのは自分の価値観を大きく変えることもある。人の縁ってのはそれだけの力があるんだ。人付き合いってのは距離感が大事だが、計りすぎても周りが寄ってこなくなるからな。エリスのように懐に抱え込めとまでは言わんが隣に立つのを許せるくらいの仲間を作るのは大事なことだぞ?」
「ガーヴさんにとっての村長みたいな?」
「そういう事だ」
二人は何というか傍から見てても歴戦の戦友とかそんな感じだしな。ツーカーで通じる親友とかちょっとかっこいい。
たしかにそんな相棒ができたら色々面白そうではある。俺にとっては伊福部……SAD辺りがそういう間柄になるんだろうか?
親友というか悪友的な感じだな。
ならチェリーさんはどうかというと……
「……というかもう、既に懐に飛び込まれちまってますし、今更縁を切るなんて無理ですよ」
こっちに来て初日にいきなりお互いすっぽんぽんで汗を流して、そのまま同衾? とか、もう距離感もへったくれもねぇよ。
「あの娘、どういう人生を送ってきたんだ? 歴戦の戦士と見紛うばかりの体作りしてるのに技術は素人同然……かと思えば相手の懐へ容易く潜り込む話術や仕草は戦士というよりも商人のそれに近い……チグハグすぎてどうにも輪郭が捉えられん」
「さ、さぁ……俺もその辺は詳しく聞いてないですけど」
多分、その対話技術は商人というよりも声優の営業スキルなんだろうなぁ。
「なんだ、そんな素性も知れぬまま身元を引き受けたのか?」
「ええ、まぁ……そこは信じていいかなと」
「ふむ……お前が信じて身元を引き受けたのなら俺は何も言わん。何かあってもちゃんと責任を取る覚悟は出来てるんだろ?」
「ええ。そこは、はい」
「なら、良い」
おっと、今までの話題はこの話に振るための前振りだったか。
そういえば村長相手には確認取ったけどガーヴさんにはまだ話してなかったんだった。
「もっとも、俺から見ても悪事をはたらくような娘には見えんし、まぁ大丈夫だろうよ」
と思ったら速攻で納得してくれていた。まぁこの人は人を見る目はあるって話だったし安心していいか。
少なくとも俺よりはアテになる筈……
「だが、お前、うかうかしてるとあの娘にアッサリ抜かれるんじゃないか? 身体能力はかなりのものだぞ」
「そこはまぁ、技術的なものでなんとか食い下がってみますよ」
「お前が勝ってる所はそこしかないからな」
クソ、当たり前のように見透かしてるし。
だが、俺がチェリーさんに勝っているのはソレだけじゃない。
料理の腕も俺のほうが上だよなぁ。
「よし、来週のお迎えが来るまで、あの嬢ちゃんの世話を見てやろう。お前は物覚えが悪い癖に斜め上の解釈で俺の意図しない方向に勝手に育ちやがるせいで育て甲斐がなかったからな」
「いやいや、何で過去形……もっと色々教えてもらいたいんですけど?」
「行き詰まったら面倒見てやる。だがまずはあの嬢ちゃんを鍛え上げる。まぁ一週間じゃ目に見えた成長は期待できねぇが、最初から身体は出来てるからな。もしかしたらお前を脅かすくらい伸びるかもしれんぜ?」
「……マジで?」
「お前が家造りや何やら二時間を費やしてる間、俺が戦い方を教えるってんだ。そりゃ差は縮まるだろうがよ?」
た、確かに。
それに、俺もそうだったけどやり始めた直後って伸び幅スゲェんだよな。コレは油断してるとマジで抜き去られるかもしれん……
とはいえだ。俺にとっては強さよりも衣食住が最優先なんだ。
家は掘っ立て小屋とはいえ建てられるようになったし、明日からアラマキさんに木工のスキル上げで時間取ってくれることになってるし、建築勉強会も順調に進んでるらしい。
食はまぁ、バリエーションは殆どないが、有り物でそれなりの飯は作れるようにはなった。
衣に関しては、近所のおばちゃんから服の作り方を教えてもらっている途中だ。まぁ、まだ布地から作るようなことは出来ないが、布を縫い合わせてズボンくらいなら縫えるようになった。
人様には見せられないような出来なので寝巻き代わりに使ってるが。
金銭の流通がほとんどなく、物々交換メインのこの村で過ごす以上、俺にとっては戦闘技能よりもこれらの生活系スキルの向上が死活問題なのだ。
今は仮に参加して活躍できるだけのテクニックさえあればいい。
……というのは頭では判ってるが、知り合いにぶっ千切られるのはそれはそれで悔しいものがある。
さて、どうしたものかねぇ?
「ま、がんばんな」
くっそう、気楽に行ってくれちゃってまぁ。
基礎鍛錬だけじゃ心許ないし、ここは何か少し手を打っとくか……。
呼び出された俺は、エリスとハティ、それとチェリーさんを連れ立ってガーヴさんの家を訪れた。
要件は言うまでもなく一週間の間、俺が鍛錬をサボって鈍ってないかの確認だったのだが……
今、俺の目の前では木槍をもったチェリーさんが、木剣を構えたガーヴさんを相手に猛然と挑みかかっていた。
「やぁっ!」
「……ふむ」
俺とガーヴさんの組み手稽古を見て、俺とガーヴさんの関係を理解したんだろう。
稽古をつけてほしいと言い出したのだ。
ガーヴさんも俺が連れてきた新顔に興味があったのか、了承して立会を初めたわけだが……
「えっ!? ひゃあああっっ!?」
チェリーさんが、空を舞っていた。コマのような華麗なアクセルを決めながら。
まぁ、何があったか問えば、突きこまれた槍を捕まれ、足を払われ身体が浮いた状態で槍をすごい勢いで拗じられた。
結果、回転を遮るものがなくギュルギュルと効果音が聞こえそうな勢いでぶん回されていた。
何回転したんだろ、あれ
「うぅ……気持ち悪い……」
「どうする? まだやるか?」
「ま、参りました……」
ぶん投げられたチェリーさんはと言えば、なんとか立ち上がるも未だフラフラしていた。
まぁあんだけ回されたら仕方ないよな。
「嬢ちゃん、その歳でずいぶん鍛えてるな。技術はまだまだだが体力に関して言えばキョウよりも遥かにカラダ作りができてるぞ」
「ど、どうも……」
まぁ、チェリーさん俺よりレベル高いからな。全部のパラメータが俺より一回りどころか二回りくらい高いから、そりゃ俺よりも自力は高いわな。
そのチェリーさんがガーヴさん相手に軽くあしらわれてゼェゼェ言ってる訳なんだが。
「だが、技術が全然だな。それだけ良いカラダしていてもキョウとやったら十回やれば九回は負けるだろうな。誰に習ったかしらねぇが多少は技能の使い方を判ってるようだが、まだまだ身体に馴染んでねぇ」
まぁスキルの使い方教えたの俺だし、昨夜はじめてまともに使い始めたレベルだからそれは仕方がない。
「だがまぁ、自力はあるようだから技を使いこなせるようになるだけで、ある程度通用するようにはなるだろうよ」
「はい、ありがとう……御座いました!」
「おう、精進しな。キョウから色々盗みながら自分に合った戦い方を見出していくと良い。こいつのマネをしても劣化キョウが出来上がるだけだし、こいつ時折おかしな発想で技を使うことがあるから、引っ張られすぎると調子を崩すぞ」
「おかしなとは失礼な、ガーヴさんの教えを元に真面目にやってる俺に向かってなんて言い草だよ。俺ほど保守的で真面目な奴はなかなか居ねーぞ」
「保守的で真面目なやつがバジリコックに一人で挑む訳ねーだろうが! 寝言は寝て言いやがれ!」
またそれかよ。
なんつうか、絶対みんな勘違いしてるぞアレ。誰かが法螺吹いて過大評価に踊らされているとしか思えない。
「いや、だからアレ絶対過大評価されてるんだって、同ランク以下って言われてるライノスに比べりゃカスみたいなもんだったし、ガーヴさんなら間違いなくソロで倒せる程度の雑魚なんだってば」
「はいはい、実際に戦ったお前が言うのならきっとそうなんだろう。お前の中だけでな!」
「ヒデェ言い様だなおい!」
あんなの厄介なのは石化だけで、他はただのデカイ鳥でしかなかったってのに。
そりゃ石化は場合によっては即死と同義かもしれんけど、そんなの石化しなくてもあの嘴で突かれたら普通に死ぬだろ。『即死級』の攻撃が『即死』攻撃になるだけだ。
なんであの鶏モドキがあんな高評価なのか全く理解が出来んぞ。どれだけ言っても連中信じやしねぇし、バジリコックの話題はスルーだ。
「どうも嬢ちゃんは身体と技術の練度が不自然にチグハグだな。これだと俺やキョウが教えるよりもエリスやサリ達と一緒に基礎を覚えたほうが良さそうだな」
「ああ、それはあるかも。チェリーさん俺より全体的に高性能だけどその身体を使いこなせてない訳だから、小手先の技術よりも基礎のスキルの使い方をみっちりやったほうが伸びそうだな」
「基礎練か~。なんか部活を思い出すねぇ」
ごめん、俺帰宅部だったから同意できません……
「最近はサリもエリスも足運びと重心維持なんかの訓練してるから混ぜてもらうと良い」
「へぇ、新しいこと初めたんですか」
「少し前、お前が一人で重心維持の鍛錬のようなものをしているのを見かけてな。あの子達にもそろそろ組手意外の物を教えていいと思っていたところだったから丁度いいと思ったんだ」
ああ、足壊した時にやってたアレか。
今でもやってるけど、激しく動くのを禁止された時にちょうど思いついたアレをひたすら繰り返してた時期があったから、それを見たんだろう。
そんな事を思いながらエリスたちの方を見てみると、なかなかに奇妙なことをやっていた。
「相撲?」
チェリーさんがそんな感想をボソリと漏らしていたが、確かに見た目は相撲っぽい。円の中で向き合って、押したり逃げたりを繰り返している。
ただ、相撲と違う点がいくつかあった。まず、両手を後ろで組んでいた。押す時は胸か肩で押している。
そしてもう一点。頭の上に二人共石を載せていた。何だあれ? 手を後ろで組んでるのは、まぁ手を使わずに押し出せっていうことなんだろうけど、頭の上の石は……落とさないようにしてるんだろうか?
「アレは、攻守決めておいてな、砂時計の砂が落ちるまでに攻め手は相手を円の外に押し出せば勝ち。守り手の方は逃げ切れば勝ちって単純なモノだ。ただし、どっちも手を使うのは禁止。頭の石を落とせばその時点で負けっていうおまけ付きだがな」
なるほど、相撲と違って攻めと守りが分かれてるのか。で、頭の石は攻めも守りも関係なく落としたら負けと。
押し出すために身体をぶつける必要があるが、姿勢やバランスが悪いとその衝撃で頭の石を落としちまうから、重心移動や足運びの練習にもなるってことか。
それ以前に、攻めも守りも手を封じられている以上、追い詰めるのも逃げるのも足運びだけでやり取りしないといけないから、間合いの詰めや取り方なんかの訓練にもなりそうだ。
遊びっぽく見えるけど結構実践的なヤツだなコレ。
「スキルなんかは有りなんですか?」
「もちろん有りだぜ? 加速系技能を使っても構わん。頭の石を落とさずに使いこなせるならな」
「あー……結構難易度高そう」
チェリーさんも理解したのか難しそうな顔をしていた。
たった一歩のスキル制御もまだおぼつかない状態では確かに立会でのスキル仕様、さらに石を落とさないようにという縛り付きとなると結構な高難易度だろう。
しかし、スキルというのは移動や攻撃のためだけにあるわけではない。
「お、今のは受け流しのスキルですか?」
「サリは攻めよりも守りが得意だからな。もともと護身術として稽古してたから受け流しや返し技なんかは昔からそれなりに仕込んでんだ」
エリスのショルダータックルじみた肩からの押し込みに対して、サリちゃんは一瞬もろに肩で受けたように見えたが、スキルエフェクトと共にまるで木の葉か何かのようにひらりと身を翻す。
当たりを確信して押し込んでしまったエリスはそのまま盛大にバランスを崩し転んでしまう。
アレだけ派手に転んでおいて頭の石を落としてないとかどういうバランス感覚なんだと真面目に感心してしまったが、勝負はここまでのようだ。
「砂が全部落ちたから私の勝ちだね」
「ううー! くやしいー!!」
どうやら残り時間が残り僅かと見て、強引に勝負を決めに行った所を迎撃されたようだ。
どうやら昔から鍛錬を続けてきたサリちゃんのほうが最近始めたばかりのエリスよりも一枚上手のようだな。
「ねぇ、私あれに混ざるの? あの子達ずいぶん高度なことやってるように見えたんだけど……」
「嬢ちゃんはあの二人よりも体格良いし、かなり鍛えてるだろ? その分を差し引いてもまだ少々足らねぇが……目に見える目標があったほうが良いだろ」
「つまり、あの子達と私が互角にやれるようになってようやく一人前ってこと?」
「ばーか、ガキ二人は半人前もいいところだ。あの二人と互角ならようやく初心者ってとこだな」
「えぇぇ、あんな器用に立ち回ってるのに?」
「槍振り回そうって良い歳した娘が、ガキに並んで満足してどうすんだよ?」
「うっ!?」
そりゃそうだよな。
小学生みたいな歳の子供と互角で喜んでちゃ、戦闘系廃人自称している大人の女としては駄目だろう。
「ところで、キョウさんは何やってんのそれ?」
「何って……武器を取り回す練習してるんだけど……?」
「そんなスローな動きで?」
まぁ、確かにスローだけどさ。意図的にやってるからとにかく遅い。
どれくらい遅いかと言えば、ミアリギスを一回転させるのにおよそ三十秒ほどかけている。
「スローだから意味があんの。ゆっくり負荷をかけつつ取り回すことで、どうすれば振り回す時に一番体に負担がかからずに大ぶり出来るかを探してんの」
「ずいぶんスポ根感漂うトレーニング法だけど、それって現代スポーツ学的にどうなの?」
「判らん。調べようがないしな」
ネットを絶たれ、リアルからも隔離されてる俺がそんな現代スポーツだの医学だの今まで全く見向きもしなかったジャンルの情報なんぞ仕入れられる訳がない。
「効率とかはサッパリ分からんけど、効果はあったからやってるのさ」
基本手探りな以上、まずはやってみるのが基本だ。やってみて、効果があれば続け、効果がなければやめる。
効果がある方法からもっといい方法があれば更にそれを試す。単純な話だ。
「嬢ちゃん、コイツの言う『楽に振り回す方法探し』なんて妙な試みは知らんが、あのゆったりした振り回し自体は決して無駄にはならんぜ?」
「え、そうなんですか?」
おい、俺の訓練はやるだけ無駄だとか思ってたのかよ?
くそ、ミアリギスはかなり重量があるから現在進行系でかなり体に負担がかかってて、この体勢じゃ気軽にツッコミも返せん。
「ああやって、武器をゆっくりゆっくりと振り回すのは見た目に反してかなりの重労働でな、ああやって動きを刻みつけるように繰り返すと、いざ戦場でビビって頭が空っぽになっても、身体が勝手に刻み込まれた動きを辿ってくれるんだわ」
「あぁ……漫画とかでよくある剣士が無意識に体が動くまで素振りを続けるっていう」
「まんが? ……よく分からんが、そうだな。訓練してないやつがパニックになると、何をして良いのか分からずに棒立ちになるか右往左往するだけだ。だがしっかり訓練を受けて毎日訓練で剣を振り続けてきた奴は、持ってる剣を今までひたすら繰り返した動きで振るって選択肢が用意される。それが惰性で振れるくらいに体に染み込んでいれば尚良しだ。そんな風に考えるより先に体が動くようにするための訓練が反復練習ってやつだ」
「なるほど、じゃあキョウさんのアレは無駄じゃないんですね」
「アイツの意図通りの結果が出るかどうかはともかくとしてな」
「本人の前で言いたい放題だなアンタら……」
想定の振りを終えて突っ込み返すも、既に二人共こっち見てねぇし!
「エリスちゃーん、サリちゃーん。私も混ぜてー!」
「いいよ~。一緒にやろう」
「わ、えと、あの……どうぞ」
ほんと自由だなあの人。
何でも楽しんでる感じっていうか……実際に楽しんでるんだろうなぁ。
「おう、なかなか面白い娘を拾ってきたな」
「ええまぁ……自由すぎてちょっと手におえない所がありますけど、いい人ですよ」
「なんだぁ? 拾った嫁に早速尻に敷かれてるのか?」
「嫁とかそういうのじゃないですって」
「ほーん?」
このオッサン絶対信じてねぇな?
「まぁ嫁じゃないにしても、思わぬ出会いは大事にしとけ。良くも悪くも出会いってのは自分の価値観を大きく変えることもある。人の縁ってのはそれだけの力があるんだ。人付き合いってのは距離感が大事だが、計りすぎても周りが寄ってこなくなるからな。エリスのように懐に抱え込めとまでは言わんが隣に立つのを許せるくらいの仲間を作るのは大事なことだぞ?」
「ガーヴさんにとっての村長みたいな?」
「そういう事だ」
二人は何というか傍から見てても歴戦の戦友とかそんな感じだしな。ツーカーで通じる親友とかちょっとかっこいい。
たしかにそんな相棒ができたら色々面白そうではある。俺にとっては伊福部……SAD辺りがそういう間柄になるんだろうか?
親友というか悪友的な感じだな。
ならチェリーさんはどうかというと……
「……というかもう、既に懐に飛び込まれちまってますし、今更縁を切るなんて無理ですよ」
こっちに来て初日にいきなりお互いすっぽんぽんで汗を流して、そのまま同衾? とか、もう距離感もへったくれもねぇよ。
「あの娘、どういう人生を送ってきたんだ? 歴戦の戦士と見紛うばかりの体作りしてるのに技術は素人同然……かと思えば相手の懐へ容易く潜り込む話術や仕草は戦士というよりも商人のそれに近い……チグハグすぎてどうにも輪郭が捉えられん」
「さ、さぁ……俺もその辺は詳しく聞いてないですけど」
多分、その対話技術は商人というよりも声優の営業スキルなんだろうなぁ。
「なんだ、そんな素性も知れぬまま身元を引き受けたのか?」
「ええ、まぁ……そこは信じていいかなと」
「ふむ……お前が信じて身元を引き受けたのなら俺は何も言わん。何かあってもちゃんと責任を取る覚悟は出来てるんだろ?」
「ええ。そこは、はい」
「なら、良い」
おっと、今までの話題はこの話に振るための前振りだったか。
そういえば村長相手には確認取ったけどガーヴさんにはまだ話してなかったんだった。
「もっとも、俺から見ても悪事をはたらくような娘には見えんし、まぁ大丈夫だろうよ」
と思ったら速攻で納得してくれていた。まぁこの人は人を見る目はあるって話だったし安心していいか。
少なくとも俺よりはアテになる筈……
「だが、お前、うかうかしてるとあの娘にアッサリ抜かれるんじゃないか? 身体能力はかなりのものだぞ」
「そこはまぁ、技術的なものでなんとか食い下がってみますよ」
「お前が勝ってる所はそこしかないからな」
クソ、当たり前のように見透かしてるし。
だが、俺がチェリーさんに勝っているのはソレだけじゃない。
料理の腕も俺のほうが上だよなぁ。
「よし、来週のお迎えが来るまで、あの嬢ちゃんの世話を見てやろう。お前は物覚えが悪い癖に斜め上の解釈で俺の意図しない方向に勝手に育ちやがるせいで育て甲斐がなかったからな」
「いやいや、何で過去形……もっと色々教えてもらいたいんですけど?」
「行き詰まったら面倒見てやる。だがまずはあの嬢ちゃんを鍛え上げる。まぁ一週間じゃ目に見えた成長は期待できねぇが、最初から身体は出来てるからな。もしかしたらお前を脅かすくらい伸びるかもしれんぜ?」
「……マジで?」
「お前が家造りや何やら二時間を費やしてる間、俺が戦い方を教えるってんだ。そりゃ差は縮まるだろうがよ?」
た、確かに。
それに、俺もそうだったけどやり始めた直後って伸び幅スゲェんだよな。コレは油断してるとマジで抜き去られるかもしれん……
とはいえだ。俺にとっては強さよりも衣食住が最優先なんだ。
家は掘っ立て小屋とはいえ建てられるようになったし、明日からアラマキさんに木工のスキル上げで時間取ってくれることになってるし、建築勉強会も順調に進んでるらしい。
食はまぁ、バリエーションは殆どないが、有り物でそれなりの飯は作れるようにはなった。
衣に関しては、近所のおばちゃんから服の作り方を教えてもらっている途中だ。まぁ、まだ布地から作るようなことは出来ないが、布を縫い合わせてズボンくらいなら縫えるようになった。
人様には見せられないような出来なので寝巻き代わりに使ってるが。
金銭の流通がほとんどなく、物々交換メインのこの村で過ごす以上、俺にとっては戦闘技能よりもこれらの生活系スキルの向上が死活問題なのだ。
今は仮に参加して活躍できるだけのテクニックさえあればいい。
……というのは頭では判ってるが、知り合いにぶっ千切られるのはそれはそれで悔しいものがある。
さて、どうしたものかねぇ?
「ま、がんばんな」
くっそう、気楽に行ってくれちゃってまぁ。
基礎鍛錬だけじゃ心許ないし、ここは何か少し手を打っとくか……。
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