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三章
百七十六話 本戦Ⅲ
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攻め手は鋭く、倒すと決めた時こそ心は冷静に、相手の嫌がる手を一手一手確実に突いていく。沼猪狩りに連れて行ってくれた時に聞いたガーヴさんの教え。
手負いの獣は死に物狂いだからこそ何をしてくるかわからない。手順を踏まず出血を強いることが出来ないまま、短時間で追い詰めた時こそが一番危険な瞬間だと語ってくれた。そしてその危険性をまざまざと見せつけられもした。
あの人の教えは訓練の後、狩りで実際に実証してくれるから納得しやすい。スパルタだけど、理由を実践で見せてくれるから納得して身に着けやすい。
そんな、刻み付けられた教えが、ガンガンと警報を鳴らしている。今がまさにその時だと。
だから、焦っちゃダメ。一手一手を丁寧に、隙のある大技を封印して小技で削りきる。
「ふっ……!」
右に避けようとすれば、さらにその外側に突きを放って抑え込む。せっかく追い詰めているのだから、左右への退避だけは絶対に許さない。熱くなる心を抑え込んで、徹底した追い詰める為の連続突き。
戦いを楽しむなんて私にはまだ早い。そういうのはキョウくん達レベルの領域だ。私はまず一度でも勝って結果を残すのが先。戦いを楽しむ云々は勝てるようになってからの話。
「てややぁっ!」
退路を阻まれたエリスへ、さらに削る様に高速の突きで槍衾を作り出す。
乱れ突きという上位槍スキルだ。ただし、威力を押さえて速度を重視している。スキルの加減や寸止めという技術の習得に特に力を入れて来たからこそモノにできた、ガーヴさんに教わって身についた数少ない技術の一つ。
エリスもこれを当たり前のように使いこなすが、使える事と対処できることは全く別の話。
「ううう……」
ステージの端まで追い詰められた状態での連続突きは流石に全て捌き切れないのか、じわじわとエリスの体力が削られていく。
悪いけど、エリスの好きにできないまま決めさせてもらう。私の勝てる目はそこにしかないから。
小さな頃から鍛錬することは、大人になってからする鍛錬の何倍も身につくものが多いっていうけど、こうして実際にエリスの強さを見せつけられるとそれを強く実感できる。
子供の頃の時間はとても貴重。同じ時間の経過でも、その密度は雲泥の差だ。
私の子供時代の半分は役者になる為に使った。結果、なぜか声優専業みたいになったけど、今では自分が進むべき道に飛び込むことが出来たと素直に思えるようになった。自分で言うのもなんだけど、演技にはそれなりに自信だってある。
エリスはその貴重な時間を戦うことに使っている。ほぼ私と同じころに同じ師匠に弟子入して戦い方を学んでいるんだから、時間の価値に差があるというなら差がつくのも仕方がないというものかもしれない。
でも、それを素直に受け入れられないのも大人ってやつなのよね。
ちっぽけなプライドというやつか、或いは自分と子供の持っている時間の価値の差への嫉妬なのか……
何にせよ、相手がこちらの想像以上に高い成長速度を売りとしているなら、わかっていても対応できない攻撃と初見の技を折り混ぜて成長して手に負えなくなる前に封殺するのが一番。
その上で、ガーヴさんの教えを超える何か一手があればなお良い。初見必殺の技なんて憧れる。不意打ちにだまし討ちでもいい。意味のある突飛な対応はそれだけで武器になるから。
さっきの膝蹴りはそんな武器の一つだ。密着距離でも武器を手放さず、相手が槍の穂先に集中している所を死角からの膝蹴りで意識を刈り取るというコンセプトの技。早速使いつぶしてしまったけれどね。
同じ槍使いのキルシュ君は、槍を片手持ちにして自らゼロ距離に間合いを詰めて、空いた右手で打撃を狙ってくる事があった。闘技大会の武器は登録した物のみというルールが無ければ拳ではなくてナイフとかも有りだったろう。
口にしてみれば簡単だ。槍の間合いの内側に入られたなら、槍以外で迎撃すればいい。でも、実際そうなった時、私は槍に固執して、取り回しにくい槍で密着戦を行い圧倒された。頭で判っていても、いざその瞬間になると体が動いてくれなかったからだ。
結局、あの敗戦では必要な時に武器から手を放せる臨機応変さ、それをとっさの判断で身体に実行させるだけの戦闘経験。大事なのはそういった事だと、気づかせられた。
ぶっちゃけすごく勉強になる戦いだった。
その戦闘経験を全てエリスにぶつける。さっきの膝蹴りのように。……それでも勝てるかどうかは五分五分。だからやれることは全部やる。
そんな、こちらの覚悟がエリスに伝わった訳では無いと思うけど唐突にエリスの動きが変わった。
「いくよ、チェリー姉」
「……っ!?」
それまで、一言も言葉を発さなかったエリスの一言に気を取られた瞬間、私の右手は槍から弾き飛ばされていた。
何が起きたのかは、一瞬で理解できた。ついこの間、キョウくんにも教えた打撃の衝撃を別の場所に伝える遠当ての技だ。そっと添える様な当て方に見えたけど、槍の穂先へ接触させたナイフから手元まで打撃を伝えられて、その衝撃で握っていた左腕が弾かれたって事の筈。
やっぱりこういう『新しい技』への適応力はエリスの方が圧倒的に上ね。
痺れる右手を槍に押さえつけるようにして、構えを維持しようとして、その瞬間ようやく自分がエリスを見失っていたことに気付いた。
この狭いステージ上で、しかも端まで追い詰めた状況で?
前に居ないなら、後ろしかない。
左手で槍の柄尻を持ち、最大リーチで後方を薙ぎ払いながら振り返る。でも……
居ない!?
そんな馬鹿な、この狭いステージの上で一体どうやって……って、上!?
咄嗟に視線を上に向けてもそこにエリスの姿は見つからない。なら一体何処に!?
ゾワリ――
背筋を突き抜けるような悪寒に対して、自然と体が拒絶するように……いえ、恐れるように前へ……
直後。
「ぐっ……!?」
首筋――延髄と後頭部を襲うバイブレーションの衝撃。
背後から首を狙われた!
頭までダメージが有るのは私が前へつんのめったからか。逆に言うと、前へ出てなければ、首を刈り取られてた事になる。真正面の相対からのバックスタブ。
なにそれヤッバ。
背面を振り向いた私のさらに後ろへ回り込んでいたとかシャレにならない。ダメージによろめくままに体を前に放り出し、そのまま前に転がり距離を取る。
転がりつつ背後を確認してみれば、短剣を振り抜いたエリスが――また消えた!?
動く瞬間を見ているのに、その移動を目で追えない。いつの間にエリスはこんな冗談じみた速度を出せるようになったっていう訳!?
って、今はそんな事を考えてる暇は――!?
咄嗟に背面へ腕を振り首を庇った所で背中に衝撃。防御を読まれた……っ!
振り向いてもそこにはもうエリスは居ない。視界の中に居ないという事は背面側を常に取られているということ。
つまり防御は背面に集中すればいいのだけど、攻撃が来る方向は判っても見えない攻撃をそう容易く防げるものじゃないのは、今の一撃が証明してる。
背面を取られ続けている限り、いつかは避けきれずに仕留められるわねコレ。
とはいえ、ステージギリギリに立ち、背後を取られないように背水の陣を敷いてみれば……
「ちょおっ!?」
真正面から怒涛の勢いで手数で押し出されそうになって慌ててステージ中央へ。リーチ差とパワー差のおかげで、無理やり飛び込めば抑え込まれるという事はなかったけど――戻ったら戻ったでまた後ろを取られるんですけどね!
私は振り向くだけ、エリスはその分だけ大回りに走らなきゃいけないはずなのに、どうして追いつけないかな? ……ってあぶな!? 今脇の下を、突き抜けてったんですけど!?
一応的を絞らせないように動き続けているけど、その御蔭で偶然避けられただけよね、今の。
というか短剣の風切り音がなかったと思ったら突きかい! いやまぁ、風切り音が聞こえた時点で気付いてたら、回避間に合わないんですけどね?
序盤は私が押してたはずなのに、今は完全に翻弄されてるわね、私。
というか、このまま手を打たなきゃ私の負けよねこれ……っ!
今度は避け損なった。しかも今回は足音すら消されてた。無音の一撃は流石に私じゃ反応しようがない。
エリスったら、この戦いを自分の暗殺テクの実験場にしてるわね。
攻撃がどんどん回避困難になっていってる事からも、エリスがこの試合中にどんどんと強くなっていっているのがよく分かる。
残されていた体力ゲージは残り一割程度。下手な喰らい方をすれば、一撃の軽いエリスでも十分仕留めきれる数字だ。こんな速度で成長されたら、そう遠くないうちに私が完全に対処できない攻撃を編み出しかねないわね。
この勝負、時間は完全にエリスの味方だ。
となると、残る手段は泥臭い方法しか思いつかいない。でも、もう有効ならどんな手段でも迷う理由はないところまで追い込まれてるのよね!
再び視界から消えたエリスに対して、背後へ槍を薙ぎ払う。当たらない前提で。
当然のように空ぶった私の背面には相変わらず気配はない。気配は無いけど……
「空振りの隙を逃すほどエリスはヌルくないでしょ!」
確信と共に、振りぬいた反動を利用した背面への回転蹴り。
多分エリスのことだからこれも反応はされるだろうけど……
「見っけ!」
飛び退っているエリスをようやく視界に捉えられた。
こういうの、ばくすて読み? っていうんだっけ。キョウくんが時折やるやつだ。
話を聞いた時は「そんな一秒にも満たない隙で何を……」って思ったけど、実際にエリスみたいな高速タイプと戦ってみると、この1秒の無防備な対空時間がどれだけ重要なのかよく分かった。
そして咄嗟に……ではなくて、織り込み済みの行動なら十分このコンマ秒の隙を狙い撃つことが出来るというのも!
手負いの獣は死に物狂いだからこそ何をしてくるかわからない。手順を踏まず出血を強いることが出来ないまま、短時間で追い詰めた時こそが一番危険な瞬間だと語ってくれた。そしてその危険性をまざまざと見せつけられもした。
あの人の教えは訓練の後、狩りで実際に実証してくれるから納得しやすい。スパルタだけど、理由を実践で見せてくれるから納得して身に着けやすい。
そんな、刻み付けられた教えが、ガンガンと警報を鳴らしている。今がまさにその時だと。
だから、焦っちゃダメ。一手一手を丁寧に、隙のある大技を封印して小技で削りきる。
「ふっ……!」
右に避けようとすれば、さらにその外側に突きを放って抑え込む。せっかく追い詰めているのだから、左右への退避だけは絶対に許さない。熱くなる心を抑え込んで、徹底した追い詰める為の連続突き。
戦いを楽しむなんて私にはまだ早い。そういうのはキョウくん達レベルの領域だ。私はまず一度でも勝って結果を残すのが先。戦いを楽しむ云々は勝てるようになってからの話。
「てややぁっ!」
退路を阻まれたエリスへ、さらに削る様に高速の突きで槍衾を作り出す。
乱れ突きという上位槍スキルだ。ただし、威力を押さえて速度を重視している。スキルの加減や寸止めという技術の習得に特に力を入れて来たからこそモノにできた、ガーヴさんに教わって身についた数少ない技術の一つ。
エリスもこれを当たり前のように使いこなすが、使える事と対処できることは全く別の話。
「ううう……」
ステージの端まで追い詰められた状態での連続突きは流石に全て捌き切れないのか、じわじわとエリスの体力が削られていく。
悪いけど、エリスの好きにできないまま決めさせてもらう。私の勝てる目はそこにしかないから。
小さな頃から鍛錬することは、大人になってからする鍛錬の何倍も身につくものが多いっていうけど、こうして実際にエリスの強さを見せつけられるとそれを強く実感できる。
子供の頃の時間はとても貴重。同じ時間の経過でも、その密度は雲泥の差だ。
私の子供時代の半分は役者になる為に使った。結果、なぜか声優専業みたいになったけど、今では自分が進むべき道に飛び込むことが出来たと素直に思えるようになった。自分で言うのもなんだけど、演技にはそれなりに自信だってある。
エリスはその貴重な時間を戦うことに使っている。ほぼ私と同じころに同じ師匠に弟子入して戦い方を学んでいるんだから、時間の価値に差があるというなら差がつくのも仕方がないというものかもしれない。
でも、それを素直に受け入れられないのも大人ってやつなのよね。
ちっぽけなプライドというやつか、或いは自分と子供の持っている時間の価値の差への嫉妬なのか……
何にせよ、相手がこちらの想像以上に高い成長速度を売りとしているなら、わかっていても対応できない攻撃と初見の技を折り混ぜて成長して手に負えなくなる前に封殺するのが一番。
その上で、ガーヴさんの教えを超える何か一手があればなお良い。初見必殺の技なんて憧れる。不意打ちにだまし討ちでもいい。意味のある突飛な対応はそれだけで武器になるから。
さっきの膝蹴りはそんな武器の一つだ。密着距離でも武器を手放さず、相手が槍の穂先に集中している所を死角からの膝蹴りで意識を刈り取るというコンセプトの技。早速使いつぶしてしまったけれどね。
同じ槍使いのキルシュ君は、槍を片手持ちにして自らゼロ距離に間合いを詰めて、空いた右手で打撃を狙ってくる事があった。闘技大会の武器は登録した物のみというルールが無ければ拳ではなくてナイフとかも有りだったろう。
口にしてみれば簡単だ。槍の間合いの内側に入られたなら、槍以外で迎撃すればいい。でも、実際そうなった時、私は槍に固執して、取り回しにくい槍で密着戦を行い圧倒された。頭で判っていても、いざその瞬間になると体が動いてくれなかったからだ。
結局、あの敗戦では必要な時に武器から手を放せる臨機応変さ、それをとっさの判断で身体に実行させるだけの戦闘経験。大事なのはそういった事だと、気づかせられた。
ぶっちゃけすごく勉強になる戦いだった。
その戦闘経験を全てエリスにぶつける。さっきの膝蹴りのように。……それでも勝てるかどうかは五分五分。だからやれることは全部やる。
そんな、こちらの覚悟がエリスに伝わった訳では無いと思うけど唐突にエリスの動きが変わった。
「いくよ、チェリー姉」
「……っ!?」
それまで、一言も言葉を発さなかったエリスの一言に気を取られた瞬間、私の右手は槍から弾き飛ばされていた。
何が起きたのかは、一瞬で理解できた。ついこの間、キョウくんにも教えた打撃の衝撃を別の場所に伝える遠当ての技だ。そっと添える様な当て方に見えたけど、槍の穂先へ接触させたナイフから手元まで打撃を伝えられて、その衝撃で握っていた左腕が弾かれたって事の筈。
やっぱりこういう『新しい技』への適応力はエリスの方が圧倒的に上ね。
痺れる右手を槍に押さえつけるようにして、構えを維持しようとして、その瞬間ようやく自分がエリスを見失っていたことに気付いた。
この狭いステージ上で、しかも端まで追い詰めた状況で?
前に居ないなら、後ろしかない。
左手で槍の柄尻を持ち、最大リーチで後方を薙ぎ払いながら振り返る。でも……
居ない!?
そんな馬鹿な、この狭いステージの上で一体どうやって……って、上!?
咄嗟に視線を上に向けてもそこにエリスの姿は見つからない。なら一体何処に!?
ゾワリ――
背筋を突き抜けるような悪寒に対して、自然と体が拒絶するように……いえ、恐れるように前へ……
直後。
「ぐっ……!?」
首筋――延髄と後頭部を襲うバイブレーションの衝撃。
背後から首を狙われた!
頭までダメージが有るのは私が前へつんのめったからか。逆に言うと、前へ出てなければ、首を刈り取られてた事になる。真正面の相対からのバックスタブ。
なにそれヤッバ。
背面を振り向いた私のさらに後ろへ回り込んでいたとかシャレにならない。ダメージによろめくままに体を前に放り出し、そのまま前に転がり距離を取る。
転がりつつ背後を確認してみれば、短剣を振り抜いたエリスが――また消えた!?
動く瞬間を見ているのに、その移動を目で追えない。いつの間にエリスはこんな冗談じみた速度を出せるようになったっていう訳!?
って、今はそんな事を考えてる暇は――!?
咄嗟に背面へ腕を振り首を庇った所で背中に衝撃。防御を読まれた……っ!
振り向いてもそこにはもうエリスは居ない。視界の中に居ないという事は背面側を常に取られているということ。
つまり防御は背面に集中すればいいのだけど、攻撃が来る方向は判っても見えない攻撃をそう容易く防げるものじゃないのは、今の一撃が証明してる。
背面を取られ続けている限り、いつかは避けきれずに仕留められるわねコレ。
とはいえ、ステージギリギリに立ち、背後を取られないように背水の陣を敷いてみれば……
「ちょおっ!?」
真正面から怒涛の勢いで手数で押し出されそうになって慌ててステージ中央へ。リーチ差とパワー差のおかげで、無理やり飛び込めば抑え込まれるという事はなかったけど――戻ったら戻ったでまた後ろを取られるんですけどね!
私は振り向くだけ、エリスはその分だけ大回りに走らなきゃいけないはずなのに、どうして追いつけないかな? ……ってあぶな!? 今脇の下を、突き抜けてったんですけど!?
一応的を絞らせないように動き続けているけど、その御蔭で偶然避けられただけよね、今の。
というか短剣の風切り音がなかったと思ったら突きかい! いやまぁ、風切り音が聞こえた時点で気付いてたら、回避間に合わないんですけどね?
序盤は私が押してたはずなのに、今は完全に翻弄されてるわね、私。
というか、このまま手を打たなきゃ私の負けよねこれ……っ!
今度は避け損なった。しかも今回は足音すら消されてた。無音の一撃は流石に私じゃ反応しようがない。
エリスったら、この戦いを自分の暗殺テクの実験場にしてるわね。
攻撃がどんどん回避困難になっていってる事からも、エリスがこの試合中にどんどんと強くなっていっているのがよく分かる。
残されていた体力ゲージは残り一割程度。下手な喰らい方をすれば、一撃の軽いエリスでも十分仕留めきれる数字だ。こんな速度で成長されたら、そう遠くないうちに私が完全に対処できない攻撃を編み出しかねないわね。
この勝負、時間は完全にエリスの味方だ。
となると、残る手段は泥臭い方法しか思いつかいない。でも、もう有効ならどんな手段でも迷う理由はないところまで追い込まれてるのよね!
再び視界から消えたエリスに対して、背後へ槍を薙ぎ払う。当たらない前提で。
当然のように空ぶった私の背面には相変わらず気配はない。気配は無いけど……
「空振りの隙を逃すほどエリスはヌルくないでしょ!」
確信と共に、振りぬいた反動を利用した背面への回転蹴り。
多分エリスのことだからこれも反応はされるだろうけど……
「見っけ!」
飛び退っているエリスをようやく視界に捉えられた。
こういうの、ばくすて読み? っていうんだっけ。キョウくんが時折やるやつだ。
話を聞いた時は「そんな一秒にも満たない隙で何を……」って思ったけど、実際にエリスみたいな高速タイプと戦ってみると、この1秒の無防備な対空時間がどれだけ重要なのかよく分かった。
そして咄嗟に……ではなくて、織り込み済みの行動なら十分このコンマ秒の隙を狙い撃つことが出来るというのも!
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