ν - World! ――事故っても転生なんてしなかった――

ムラチョー

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四章

二百八十九話 とても駄目な使者Ⅱ

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「あの件、まだ解決されてなかったのか」
「実行犯は特定できたみたいなんだがね。困ったことに裏があるようで、そっちについてはまだ進展してないんだ」
「裏、ねぇ」

 正直、未だに俺のアバター情報狙うためにこんな大事起こすようなメリットが有るようには俺には思えないんだがなぁ。
 会社の人間ならこんな強引でリスキーなやり方しなくても、色々もっとやりようはあったはずだと思うんだが。

「それはまぁ良い。いや、君にとっては良くはないのだろうけど今回の話はそれについてじゃぁない」
「そういや、伝言があったんだったか。本人が直接来て伝言も何もあったもんじゃないが」
「いいや? 伝言であってるよ。これは田辺からの話だからね」
「田辺さんの?」

 それこそあの人アドミン権限持ってるんだろうから、本人が直接連絡撮ってこれば良いだろうに……とは言えないのが問題なんだよなぁ。

「流石にあの人から動くわけにはいかないか」
「そう、彼は君をここへ招いた人間であり、現場責任者でもある。間違いなく監視されているだろうから本人が迂闊に動くわけにはいかないのさ。君の居場所を隠すという意味でね」

 ま、そりゃそうだ。俺を探そうとした場合、あの人が一番動向監視されてるだろうからな。

「しかも当の彼と同じ組織の人間が犯人として濃厚だからね」
「世も末だよなぁ。でもそこまで絞り込めてるなら犯人もすぐに見つかりそうな気もするんだけど」

 彼が少しでも怪しげな動きをすればすぐに察知されてしまうだろう。だけどそれは犯人側も同じことが言える。PCのログなんて調べれば一発じゃないのか?

「それが、いくら調べても尻尾を見せないから問題なんだよねぇ。内部犯であるのはほぼ間違いないはずなんだけど。まぁその辺りは警察の方に任せるしか無いんだけどね」
「もう警察沙汰になってるのか……」

 俺が思っていたよりも大事になってるっぽいな。

「彼も警察対応なんかで色々飛び回っててね。そのおかげ……というには妙な話だけど、犯人のマークも完全とはいかないらしい。隙をついて、普通の人間では解読できないような暗号を業務連絡のなかに織り交ぜて僕の方に送られてきたって訳さ。業務上彼は僕の直属の上司に当たるからね」
「なるほどねぇ。でも暗号なんて怪しいものが添付されていたら、すぐに解読出来ないまでも送られたアンタにも目が言ってしまうんじゃないのか?」
「そこは大丈夫だと思うよ? 普通の人には解読できないと言ったけど、正確にはそもそもそれを暗号だと認識できないような方法だからね。方法はボカすけど、それが何なのかはかなりニッチな専門スキルを持った技術者でなければ違和感にも気付けない。ただの陰謀屋では気付けないだろうさ」
「なるほどね。技術的な話は俺も聞いてもわからないからな。話の腰を折って悪かった」
「いやいや、良いってことさ。警戒を怠らないというのは良い事さ。君のような立場の人は特にね。で、肝心の伝言内容なんだけど」

 そうだった。主題はそれだ。
 リージョン管理人が直接出向くとか早々ないような状況のせいで、すっかり本題の方が頭から抜け落ちてた。

「暫くステータスウィンドウを開けなくなるってこと。オプションも同様で、同しようもない場合を除いてリングメニューそのものの使用を制限するようにって話だ。君のアバターは今NPCに偽装されているが、NPCはそもそもメニューなんて機能は持っていないから、そのNPC経由で妙なアカウントのデータが更新されていたら疑問に思うものが出てくるのは間違いない」

 それは確かにそうだな。大量にいるNPCの中に紛れていても、一人だけが他とは違う行動をとってしまっていたら逆に悪目立ちしてしまう。しかもそれがプレイヤーにしか出来ないこととなると尚更だ。
 特にここはテストサーバーだ。プレイヤーの数なんて数えるほどだ。疑われたらすぐにバレてしまうだろう。

「それに、一応ステータス情報にも偽装がされているようだけど、完璧とは言い難い。あまりやりすぎると君とは関係なしにデータを覗かれる羽目になる。そんな事では簡単にはバレないとは思うが念の為だ」
「判った。たしかにコレは早めに知っておかないとまずい情報だ」

 幸い、俺は基本的にステータスを頻繁に確認することはなかったし、装備についてもEquipウィンドウを使わず直接身につけてたから、メニュー自体はめったに触らない。最後にウィンドウを確認したのもここに飛ばされた直後、確かバグってるウィンドウが動くようになってるのか確認した時の一度きりだった筈だ。案の定グルグルアイコンが出てたが、つまりデータの更新はされてないって事だろう。

「となると、出来るだけ目立たないように意識して動いたほうが良いんかな?」
「いや、やりすぎると……とは言ったが、それは隠蔽に関してのことさ。過剰な隠蔽は逆に違和感が残りかねないからね。奇行に走る訳でないなら活躍はしてもらって問題ないよ。ある程度力のある者が目立つのは避けようがない。むしろ力があるのにそれを隠そうとしている方が興味を惹かれやすい」

 めんどくせぇな。
 でもまぁ、それって自然に振る舞ってればいいってことで良いんだよな?

「わかった、といってもUIの方も元からほとんど使ってなかったし、触りたくても触れないなら特に気にする必要も無さそうだ」
「それでいいと思うよ。それにしても普段からUIを使わずにVAでアイテム管理するプレイヤーなんで全体から見れば1割以下なんだけど君がそのタイプで助かったよ。補助システムの作成だったり、VAの指南書作成みたいな作業が減るからね」

 あぁ、普通にUI側ででアイテム管理したり装備とかしてたプレイヤーにいきなりUI使わずに……ってなると流石に色々問題出るか。俺みたいに最初からアイテムウィンドウとか使わずにVA機能……要するにバッグとかに直接アイテムを仕舞ったり、装備を着込んだりして着脱する機能を使ってるのは少数派なようだ。せっかくリアルさを売りにしたゲームなのに、やっぱり利便性の誘惑には勝てないのか……

「それともう一つ。現状を解ってもらえば、彼から連絡を取ることが難しいというのは理解してもらえると思う。彼の代わりに僕も可能な限りサポートするつもりだけど、頻繁に関われば居場所が特定されかねないから何とか自分の身は自分で守って欲しい。そこは『非常に申し訳ない』だってさ」
「別に田辺さんが悪いわけじゃないんだからそこまで気負うことはないんだけどな」

 悪いのはデータ抜こうとした犯人だろう。ソレがいなければ、普通にゲームを楽しめていたはずなんだから。
 むしろ、植物状態で何も出来ないはずだった俺に、こんな風に時間を過ごせて仕事にもなる環境を提示してくれた田辺さんには感謝しか無い。

「これで伝言は終わりなんだが、彼に一つ頼まれてね。プレゼントを持ってきた」
「プレゼント?」

 そう言って渡されたのは、中にミニチュアの森のようなものが入ったガラス玉だ。

「これは?」
「『箱庭』というアイテムだ。避難所だと思ってほしい。ネットゲームの知識がある君なら、携帯タイプのハウジングエリアと言うと理解できるかな?」
「あぁ、大体どういうものか理解できた」

 ハウジングエリア。つまり、プレイヤーのプライベートエリアで家を建てたり庭を作ったりすることが出来る専用のカスタマイズエリアのことだ。

「このゲームは現在な強固なサーバ体制が得られる以前は割と従来型の使用のコンテンツが多くてね。コレはその名残さ。他のMMO同様、このゲームも負荷分散の為ハウジングは専用のエリアが用意される筈だったんだ」

 現状はそこらの土地を確保できれば好きに家建てれるもんな。
 でもそれは普通のネトゲには難しい。昔のドットベースのネトゲならともかく、3Dが基本の昨今のMMOではオブジェクトの塊になるハウジングは、それ専用の小さめのマップを用意したり、個人用のクローズドエリアで遊ぶのが普通だ。
 以前、サンドボックスタイプのクラフトゲーム……まぁ要するに好きなところに好きな建築ができるタイプのゲームをやったことがあるが、100人も人がいるとラグが酷くてワープしたり巻き戻ったりが当たり前だった。オープンワールドのVR、しかもMMOでとなれば実装するにはNew Worldのような常軌を逸した圧倒的なサーバと通信速度を確保できる環境がでなければ無理な代物だろう。
 だから、開発当初はこう言う馴染みのある方式が取られる予定だったんだな。

「本来廃棄された仕様をちょっとズルして、アイテム経由で実装したんだ。接続先はアイテムデータの一次処理用サーバだから足は付かない。データ上は消費アイテムの使用として偽装されている。使い切りのアイテム扱いで、内部処理的には使用回数を消費してランダムジャンプ効果を発揮するという処理になってるのさ」

 ランダムジャンプ……嫌な思い出しか無いんだが……

「まぁ実際には使用と同時に全く同じ見た目のダミーアイテムが生成されて、ランダムジャンプするのは使用回数0/1になったダミーアイテムだけさ。そしてダミー生成効果が発生したと同時に別処理で使用者はこのガラス玉の中に転移する仕組みでね、これならそう簡単には君たちを追うことは出来ないというわけさ。当然、オミットされたシステムだから生成されるインスタンスエリアもゲームサーバではなく、独立した旧開発サーバへ繋がるようにされているからリバースカー社員といえど直接手出しされる危険もない」

 難しい理屈はわからないけど、使ってもバレるような事はないし、たとえバレてもそう簡単に手出しされることはなくなると。

「でも良いのか? 明らかにコレはテストプレイの範疇を逸脱してるだろう?」
「まぁそうなんだけどね、一般のテスターには『一時的にゲームへのログインを中断して欲しい』とメールすれば済む話なんだけど君の場合そういう訳には行かないだろう? だからログアウト代わりの緊急措置という訳さ」

 なるほど、ログアウトできない俺がゲームから一時的に対比することが出来る避難所という訳か。
 実のところゲーム内で俺のデータにトラブルが起きたとき、俺は一体どうなるのかというのは気になってはいたけど、少なくともこれで今回の件に限らず、仕様外の要因でヤバそうなときに退避できるセーフティエリアを確保できたということか。

「とは言え、コレを緊急時に使うのは最後の手段だと思ってくれ。そして使う場合はよく考えて使うように」
「なにか欠点でもあるのか?」
「構造的な欠点というわけではないんだが、コレはそもそもプレイヤーのホームポイントに備え付けるように作られたものでね。この中に君達が入り込んだとしても、このアイテム自体は出口用の座標ビーコン代わりとしてその場に残ってしまうんだ。破壊不能オブジェクト扱いだから壊される心配はまずないが、この中に逃げ込んだ後にこのアイテムを封印されたりした場合君達はこの中に閉じ込められてしまう危険がある。だから、切羽詰まった状況であってもコレを使う場合は、偽装するなりして敵対者の手に渡らないように工夫してほしい、という訳なんだ」
「あ~……そういう事か」

 このアイテムを門として見立てた場合、確かに俺達が門をくぐって逃げ込んでも、その門を閉じられてしまったら困るものな。

「あら、それなら私が所持していればその問題は解決するのでは?」
「どういう事だ?」
「あるじ様、私が貴方の中に戻っている間、服飾などはどうなっていると思います?」
「あっ」

 そういえばイブリスって俺の頭の中に住み着いているって言う割には、姿を消しているときも服とかも一緒に消えてたな。幽霊みたいな感じで服も一緒に透けるんだって、何も疑問に思わずに居たけど、確かにそうやって所持品ごと精神内に移動できるならアイテムだって同じことが出来るわけか。

「そうです。あるじ様がこのアイテムを使用した後、私がコレを持ってあるじ様の精神に戻れば良いのです」
「そうか、使い魔のインベントリ! その手があったか! たしかにそれなら限定的ながら所持品を保持したままアイテムの移動が可能だ! 凄いな、よく今の会話でそこまで思いついたものだ。流石はオリジナル。高性能なだけの最新AIとは年季が違うってことか」
「あるじ様に使える精霊として、至極当然の仕事ですわ」

 伝言の人もなんかしきりに感心してるし、中々に機転の効いた打開策だったらしい。
 ホント、色々知識はあるし、要所要所で頭が切れるんだよなイブリス。
 色々と運に恵まれてない俺だが、人外NPCとの出会いだけは本当に恵まれてるんだよな、俺って。

「それは重畳。というわけで用件は済んだし、僕はコレで失礼するよ。あまりここに長くとどまるのは得策とは言えないからね」
「あぁ、なんかお疲れ様っす。わざわざどうもすいません」
「良いってことさ。それじゃ」

 そういって、颯爽と身を翻した伝言の人だったが、3歩も進まず再び振り返った。

「あっと、最後に一つだけ。この騒ぎが収まって、また製品版サーバへ出向くことになっても、ハウジングエリアについては匂わせもしないように頼むよ。現状のリアルスケールワールド化した時点でその仕様は破棄されているから、妙な噂が出回っても困るんだ」
「その辺は流石に弁えてるよ。守秘義務契約はちゃんと守るさ」
「それを聞いて安心したよ。それじゃ今度こそ」

 そう言って手を降ったと思った瞬間には、伝言役の人は姿を消していた。扉が開いた様子がないからログアウトしたんだろうか?
 そういえば、名前を聞きそびれたな。味方っぽい人だったし、名前くらい聞いておけばよかった。
 何にせよ、今後は運営からのサポートは受けられないつもりで居たほうが良さそうだな。できるだけしてくれるっぽい感じではあったけど、状況的にこちらと接触するわけにはいかないタイミングだってあるだろうからな。
 始めた直後くらいしかろくに連絡も取れてなかったけど、多分裏で色々手を回してくれてたんだと思うし、これから穏当に旅が進められれば良いんだがなぁ


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