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『魔法少女という存在』⑥

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『魔法少女という存在』⑥
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「じゃあさ、僕から質問するから答えてよ」

「分かり、ました」

「そもそも、なんで僕に攻撃なんてして来たの? 魔法少女って縄張り争いか何かあるわけ?」

「ち、ちがっ! それは、違くって。その……」

「なら、なんで?」

「……」

 はぁ、そこで黙るか。
 特に抵抗する訳でもなく自分から行動するタイプでも無いのは、僕としては好都合ではあるんだけど。
 こうも言葉につっかえられるとなぁ。

 まぁいいや、質問を変えよう。

「あなたって魔法少女でいいんだよね?」

「は、はい」

「僕のこと魔法少女だって分かってて攻撃したよね?」

「……はい」

 この娘が実は魔法少女っぽい見た目をしてるだけのヴィランでしたなんて事はない、と。
 そして、僕のことをヴィランだと思い込んで攻撃したって訳でもない。

「あのマスコットに言われたんでしょ? 僕を攻撃しろって」

「そう、です。うち、マスコットちゃんに言われて、それで……」

 やっぱ、首謀者は向こうだったか。
 まぁ、予想は付いていたけど。

 と言うことは、だ。

「……もしかしてだけど、先輩ってあのマスコットと契約して魔法少女になった?」

 無言で頷き、そのまま俯く。

 そっか。
 やっぱり、魔法少女ってマスコット一匹につき1人って訳でもないんだね。
 ネットじゃそんな説が有力だったけど。

「マスコットって何人の魔法少女と契約できるのか知ってる?」

「それは……、多分1人だと思います」

「僕もさっきまでそう思ってた。でもさ、ならなんで僕があのマスコットと一緒に此処まで来たと思う? 他のマスコットも連れずにさ」

「えっ……」

「僕もあいつと契約して魔法少女になったんだよね」

「……」

 知らない、か。

 マスコットの奴、後で始末する予定だから僕に対してあんな感じで適当なのかと思ったが違いそうだな。
 あいつは元々そういうやつなんだ。
 まぁ、この娘も別に仲間って訳では無かったんだろうけど。

 マスコットの話を思い出す。
 確か、「遠距離攻撃を持ってれば相手の射程外かつ視界外からの攻撃が主」だったか。
 マスコットにしてはやけに具体的な戦術だと思った。
 実際、魔法少女のイメージとはかけ離れるが戦術としては結構有効に思えるものだし。

 あれ、この娘の話だろうな。

「あのマスコットはそう言うやつだ。適当で、嘘つき。信じるに値しない」

「……」

「先輩が何を言われて僕を攻撃したのか知らないけどね」

 ポロポロと涙をこぼす。

 そんなところか。
 主導は向こう。
 この娘の性格から言ってこんな大それたこと自分からするようには見えない。

 脅されたからといって魔法少女に攻撃できた以上善って訳でもないんだろうけど。
 それ以上に小心者だ。
 善悪以上に、出来ることの規模が小さい。

「魔法少女を襲ったのは今回が初めて?」

「は、はい……、初めてです」

「なんで、こんなことしたの?」

「……」

「なんで?」

「うち、魔法少女を辞められるって言われて。それで……」

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