痛くしないで!‐先生と始める甘い治療は胸がドキドキしかしません!‐

sae

文字の大きさ
9 / 48
本編

Karte-9

しおりを挟む
 まずは……なにをされるのか。

 わなわなと震えだした百合のくちびるに三嶌の指が触れた。下唇にラテックスグローブごしの人差し指でふにっと押し付けられる。

「中、見せて?」
「!!」
 覗きこむよりも近い。覆いかぶさるように三嶌が百合の顔に迫っていた。百合は息をするのも忘れて固まった。椅子を倒されて、上からかぶさるように見つめられて今からなんの診察が始まるのか。百合の脳内はもはや誇大妄想を始めていた。

「はい、あーん」
 三嶌の甘い声に誘われるように百合は自然と口を開けた。まるで催眠術にかかったように素直に体が反応した。

「ん、いい子」
 ニコッとまた三嶌が笑う。マスクをしていてかっこいいのにこれを外した笑顔は一体どれほどの殺傷レベルを持っているんだろうか。百合は瞬きするのも忘れて三嶌の瞳に釘付けになっていた。

(まつげが長い、少し色素が薄めで茶色よりはグレーっぽい……目じりの下に小さなほくろ……)

「触っていい?」
 くちびるを抑えていた指の力が弱まって少し楽になると、甘い声が囁くようにそう聞いてくる。

「ど、どこを?」
 至近距離で観察していた三嶌の瞳が印象的過ぎて百合はまだ三次元の世界に帰ってこれていない。もう一度言うが、百合は今自分がどこで何をしに来ているのか忘れてしまっている。

「奥……痛くしないから」

(はぁぁぁ、なに三嶌先生の声なに、や、やらしぃーー!!)

 百合は完全におかしくなっていた。

「しっかり見せて?もう一度、あーん」
 もはや言いなりだった。三嶌の声に、言葉に百合は翻弄されていた。言われるがまま口を開けてしまって指の侵入を許してしまう。

「ここ、痛かったね?結構腫れてるなぁ……我慢してた?」
 右下の奥歯を三嶌の指が優しく押してくる。痛みは全くなかった。押すというより触れるような軽いタッチ。百合は自然と目を閉じた。そうなったのは恐怖心が消えてしまったからだ。大人の男性の手はもっと大きくてごつごつしていそうなのに、三嶌の手からはそんないかつさは全く感じなかった。ただ指はとても長いのではないか、と百合は口の中で感じる気持ちからそう想像していた。

「一度席戻すのでお口ゆすいでください」
 椅子がぶるっと震えたと思ったら徐々に頭から持ち上がるように体勢が座る位置に戻った。百合の頭は少しボーっとしていた。放心状態に近い。

(なんか、全然嫌な気持ちはなかった……)

「口、ゆすいでくださいね」
 三嶌の優しい声の催眠は未だに続いている。言われるまま口を数回ゆすいだ。白い陶器の流し口から水がシャーッと弧をかくように流れていく様をぼんやりと見つめていた。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

乳首当てゲーム

はこスミレ
恋愛
会社の同僚に、思わず口に出た「乳首当てゲームしたい」という独り言を聞かれた話。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...