37 / 48
後日談~ふたりのはじめての×××のお話~
episode-2
しおりを挟む
通されたそこはスタッフルームだった。
「し、失礼します」
「ちょっとごちゃごちゃしててごめんなさい。今カルテ整理してて……」
桃瀬がバタバタと周りを整えるので百合は余計に恐縮してしまう。手伝いたい気持ちはあるがなにとしていいかもわからず立ちすくむのみ。ソワソワしているとそこへ電話が鳴った。
「あ!適当に、そこのソファとかでも座っててください、先生すぐに来てくれると思うんで!」
またバタバタと受付まで戻ってしまった。仕事の忙しい時間に気を遣わせて申し訳ない、と思うものの呼び出されている手前百合がそんな風に思うのもおかしな話であるが、性格なのだ。内気で人に気を遣う精神の百合なので仕方がない。初めて入った病院の奥、スタッフしか入れない室内をぐるりと見渡す。病院だけではない、奥でもしっかり歯医者独特の消毒液の匂いがする。三嶌は常にこの匂いに包まれて暮らしているんだなと実感して嬉しく感じた。患者だと知り得なかった特別な空間に自分がいれる喜び、不思議だがそれ以上に興奮する自分がいるのだ。
(ここが……先生のお仕事場所なんだな……)
受付では納まらないカルテが壁付けの収納棚に山ほど詰め込まれている。オープンされてまだ数年と冴子から聞かされていたが人気医院なのは間違いないだろう。治療も対応もなんら文句はない、そこに顔にスタイルまで良いドクターがいるのだ。人気にならないわけがない。
「百合、お待たせ」
カルテを見つめていたら背後から名前を呼ばれて振り向いた。スタッフルームにも扉が何個かあってそのひとつが開いて三嶌が姿を現した。
「お仕事中にすみません」
「いや、呼び止めたの僕。こっちおいで」
今度は三嶌に手招きされて素直に足を運んだ。こっち、は院長室である。
「え。は、入ってもいいんですか?」
「いいよ?どうぞ」
パタン、と扉が閉められた。院内やスタッフルームとも違う、静かで整えられた一室である。広さは五畳くらいだろうか、デスクやキャビネが並んで大人が二人いればそれなりに圧迫感は出る。結局キョロキョロするばかりの百合がいる。それを微笑ましく見つめていた三嶌だが時間が限られている。くせ毛の百合の毛先をツンッとひっぱり百合の顔を自分に向けさせた。
「さきにこっち」
「え……んっ!」
いきなり口を塞がれて百合の身体は固まった。
「し、失礼します」
「ちょっとごちゃごちゃしててごめんなさい。今カルテ整理してて……」
桃瀬がバタバタと周りを整えるので百合は余計に恐縮してしまう。手伝いたい気持ちはあるがなにとしていいかもわからず立ちすくむのみ。ソワソワしているとそこへ電話が鳴った。
「あ!適当に、そこのソファとかでも座っててください、先生すぐに来てくれると思うんで!」
またバタバタと受付まで戻ってしまった。仕事の忙しい時間に気を遣わせて申し訳ない、と思うものの呼び出されている手前百合がそんな風に思うのもおかしな話であるが、性格なのだ。内気で人に気を遣う精神の百合なので仕方がない。初めて入った病院の奥、スタッフしか入れない室内をぐるりと見渡す。病院だけではない、奥でもしっかり歯医者独特の消毒液の匂いがする。三嶌は常にこの匂いに包まれて暮らしているんだなと実感して嬉しく感じた。患者だと知り得なかった特別な空間に自分がいれる喜び、不思議だがそれ以上に興奮する自分がいるのだ。
(ここが……先生のお仕事場所なんだな……)
受付では納まらないカルテが壁付けの収納棚に山ほど詰め込まれている。オープンされてまだ数年と冴子から聞かされていたが人気医院なのは間違いないだろう。治療も対応もなんら文句はない、そこに顔にスタイルまで良いドクターがいるのだ。人気にならないわけがない。
「百合、お待たせ」
カルテを見つめていたら背後から名前を呼ばれて振り向いた。スタッフルームにも扉が何個かあってそのひとつが開いて三嶌が姿を現した。
「お仕事中にすみません」
「いや、呼び止めたの僕。こっちおいで」
今度は三嶌に手招きされて素直に足を運んだ。こっち、は院長室である。
「え。は、入ってもいいんですか?」
「いいよ?どうぞ」
パタン、と扉が閉められた。院内やスタッフルームとも違う、静かで整えられた一室である。広さは五畳くらいだろうか、デスクやキャビネが並んで大人が二人いればそれなりに圧迫感は出る。結局キョロキョロするばかりの百合がいる。それを微笑ましく見つめていた三嶌だが時間が限られている。くせ毛の百合の毛先をツンッとひっぱり百合の顔を自分に向けさせた。
「さきにこっち」
「え……んっ!」
いきなり口を塞がれて百合の身体は固まった。
39
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる