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後日談~ふたりのはじめての×××のお話~
episode-3
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いきなりのキス、驚くなと言う方が無理だろう。そう思ったところでそれを言えるわけもなく。三嶌から押し付けられる唇をただ受け止めるだけの百合がいる。
「ん、ぁむぅぅっ」
ぐっと腰まで抱かれて身体が密着する。キスはもちろんだが抱きしめられることにもまだ慣れていない。両手をどこにやればいいのか、戸惑いばかりで宙を彷徨っているがキスが脳を麻痺させていく。
食むように口づけられ、まるで唇だけを食べられているような甘いキスに自然と手が三嶌の腕に触れた。抱きしめてくれる腕に触れたらそれをぎゅっと握りしめる。掴まえていたい、そんな気持ちを駆り立てられる。三嶌のそばにいれる時間はずっと近くで離れずにいたい……そうまで思うほど百合はもう三嶌に狂わされているのだ。
「んっ」
「治療、終わっちゃったね」
「……は、はい……ありがとうございました……」
キスで呆けた百合がなんとかお礼を言うとくすりと三嶌が笑う。
「寂しいな。百合がもう病院に来てくれない」
治すことが三嶌の仕事だ。通院しなくなることが患者にとっても医師にとっても目標である。
「次は……三カ月後に予約しました」
「定期的に診てあげるよ」
それは心強い、百合は呑気にそう思った。
「ちゃんと歯磨きしなきゃダメだよ?」
「はい……」
「ん、いい子。これ、持って帰って?」
これ、と渡されたクラフトの紙袋を受け取った百合は不思議そうに中を覗き込む。その中には大量の歯ブラシや歯間ブラシ、フロスにタフトブラシ……歯磨き粉など諸々入っており百合は目をしばたかせた。
「こ、これは……」
「この中から使って」
有無を言わさぬ言い方に百合はもう「はい」としか頷けない。そうか、三嶌は歯科医師として完璧主義者なのだなと百合はまた呑気に思う。通院が終わってもケアの心配をして患者のことを考える人なのか、そんなことを胸の奥で感じてじーんとしている百合がいる。
当然三嶌がここまでするのはどの患者にも、なわけがない。百合にしかしない、むしろ百合にだからする。ただ単に自分の管理するもので暮らさせたいだけである。まずは口腔内、百合がケアを手荒にするとは思ってはいないが適当にさせるつもりはない。今はまだ生活すべてを管理できない以上出来ることをしたいだけである。そんな三嶌の邪で自己中な気持ちにはまるで気づかぬ百合は笑顔でそれにお礼を言うのだった。
「ありがとうございます!これでしっかり歯磨きして虫歯ゼロ生活を続けます!」
「そうしようね?」
そこにまた頭よしよし……百合はそれだけで溶けそうなほど幸せを感じていた。
「それより今度のお休みだけど」
三嶌が髪を指先に絡めながら問うてくる。それに見上げる百合は胸をどきりと弾ませた。
「日曜、百合と過ごせる?」
脅威的な笑顔とセリフを投げつけられてまた息が止まりそうになった百合だが止まる前に勢い込んで返事をした。
「はい!」
「良かった。ごめんね、ずっと時間取れなくて。やっと落ち着いたから今度はゆっくり過ごそう。どこか行きたいところとかある?どこでもいいよ」
そう言ってぎゅっと抱きしめられてやはり心臓が止まりそうになる。三嶌の胸に抱かれて髪を撫でられていると本気で三嶌に溶け込めそうだと錯覚する。目の前に三嶌がいるのに夢のようだ。これは本当に夢や妄想ではないのか……百合は戸惑いながらも勇気を振り絞って口にした。
「本当にどこでもいいですか?」
「いいよ?」
甘い声は耳元でそう囁く。
「……に、行きたい、です」
「ん?」
小さな声ではなかったがハッキリ聞き取れなかった。三嶌は抱きしめる腕の力を少し緩めて百合の身体に問いかける。
「先生の……お家に行きたいです」
今度は三嶌が目をしばたかせていた。
「ん、ぁむぅぅっ」
ぐっと腰まで抱かれて身体が密着する。キスはもちろんだが抱きしめられることにもまだ慣れていない。両手をどこにやればいいのか、戸惑いばかりで宙を彷徨っているがキスが脳を麻痺させていく。
食むように口づけられ、まるで唇だけを食べられているような甘いキスに自然と手が三嶌の腕に触れた。抱きしめてくれる腕に触れたらそれをぎゅっと握りしめる。掴まえていたい、そんな気持ちを駆り立てられる。三嶌のそばにいれる時間はずっと近くで離れずにいたい……そうまで思うほど百合はもう三嶌に狂わされているのだ。
「んっ」
「治療、終わっちゃったね」
「……は、はい……ありがとうございました……」
キスで呆けた百合がなんとかお礼を言うとくすりと三嶌が笑う。
「寂しいな。百合がもう病院に来てくれない」
治すことが三嶌の仕事だ。通院しなくなることが患者にとっても医師にとっても目標である。
「次は……三カ月後に予約しました」
「定期的に診てあげるよ」
それは心強い、百合は呑気にそう思った。
「ちゃんと歯磨きしなきゃダメだよ?」
「はい……」
「ん、いい子。これ、持って帰って?」
これ、と渡されたクラフトの紙袋を受け取った百合は不思議そうに中を覗き込む。その中には大量の歯ブラシや歯間ブラシ、フロスにタフトブラシ……歯磨き粉など諸々入っており百合は目をしばたかせた。
「こ、これは……」
「この中から使って」
有無を言わさぬ言い方に百合はもう「はい」としか頷けない。そうか、三嶌は歯科医師として完璧主義者なのだなと百合はまた呑気に思う。通院が終わってもケアの心配をして患者のことを考える人なのか、そんなことを胸の奥で感じてじーんとしている百合がいる。
当然三嶌がここまでするのはどの患者にも、なわけがない。百合にしかしない、むしろ百合にだからする。ただ単に自分の管理するもので暮らさせたいだけである。まずは口腔内、百合がケアを手荒にするとは思ってはいないが適当にさせるつもりはない。今はまだ生活すべてを管理できない以上出来ることをしたいだけである。そんな三嶌の邪で自己中な気持ちにはまるで気づかぬ百合は笑顔でそれにお礼を言うのだった。
「ありがとうございます!これでしっかり歯磨きして虫歯ゼロ生活を続けます!」
「そうしようね?」
そこにまた頭よしよし……百合はそれだけで溶けそうなほど幸せを感じていた。
「それより今度のお休みだけど」
三嶌が髪を指先に絡めながら問うてくる。それに見上げる百合は胸をどきりと弾ませた。
「日曜、百合と過ごせる?」
脅威的な笑顔とセリフを投げつけられてまた息が止まりそうになった百合だが止まる前に勢い込んで返事をした。
「はい!」
「良かった。ごめんね、ずっと時間取れなくて。やっと落ち着いたから今度はゆっくり過ごそう。どこか行きたいところとかある?どこでもいいよ」
そう言ってぎゅっと抱きしめられてやはり心臓が止まりそうになる。三嶌の胸に抱かれて髪を撫でられていると本気で三嶌に溶け込めそうだと錯覚する。目の前に三嶌がいるのに夢のようだ。これは本当に夢や妄想ではないのか……百合は戸惑いながらも勇気を振り絞って口にした。
「本当にどこでもいいですか?」
「いいよ?」
甘い声は耳元でそう囁く。
「……に、行きたい、です」
「ん?」
小さな声ではなかったがハッキリ聞き取れなかった。三嶌は抱きしめる腕の力を少し緩めて百合の身体に問いかける。
「先生の……お家に行きたいです」
今度は三嶌が目をしばたかせていた。
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