痛くしないで!‐先生と始める甘い治療は胸がドキドキしかしません!‐

sae

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後日談~ふたりのはじめての×××のお話~

episode-5

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 どこに行きたいか、そう問いかけたら百合が自分の家に来たいと言うとは思わなかった三嶌は単純に驚いていた。まさか百合自らがいきなり自分のテリトリーに踏み込んで来るとは!
 いつ、どのタイミングで百合を自宅に連れ込んでやろうかと目論んでいたあらゆる計画はあっさり闇に葬った。

 医師と患者の境界線を越えてしまった、しかも治療途中でだ。三嶌としてはありえない事態であるが、それくらい欲しくなったもの百合だった。自分のポリシーや概念は崩れたがそんなことも今ではどうでもいい事のように思える。むしろそんなものを覆せるほどのものに出会えた奇跡だと感じている。

 百合は奇跡だ、自分にとって。何にも代えがたく代えられるものではない。

 実際百合は可愛かった。結局会えている時間は治療の数時間だけ、診察中は何の因果か口を開けても会話はゼロである。触れたところで口の中のみ、治療なので当たり前だが三嶌としては物足りないのは本音である。そんな邪心だらけの三嶌にも百合は健気に治療に向き合い最後はいつも笑顔でお礼を言って帰るのだ。

(可愛い可愛い、ああ可愛い)

 三嶌はあの警戒してる割に無防備でどこか抜けまくっている百合が可愛くてたまらなかった。そして無駄に自分を信用している。それもたまらないのだ。

「先生だから」
「先生なら」
「先生だったら」
 そんなセリフを当たり前に吐くのだ。可愛い以外ない。会うたびに三嶌の方が百合に堕とされていっていた。

 その可愛くてたまらない百合とようやく過ごせることになった穏やかな休日。三嶌の内心はまったくもって穏やかではない。いきなり齧り付いて怖がらせたいわけではないが、我慢にも限界がある。けれど相手はあの百合である。勝手に妄想して暴走して先走ってきた経験があるのだ。いくらでもねじ込んで誑し込めると思っていた。

「先生」
「ん?」
 表情からは全く分からないが脳内は邪心と病んだ欲望だらけの三嶌。百合に呼ばれて我に返る。

「今日はキッチンをお借りしたいです!」
「うん、うん?どうして?」
 思わず返事したものの聞き返した。突拍子もない百合の言葉に三嶌は首を傾げる。

「私、今日は先生にゆっくりしてもらいたくて!」
「……うん、うん?」
 やはりよく意味が分からない。百合が自分に何かしてやろうとしているのはなんとなく分かっていた。なぜなら手荷物が無駄に多かったからだ。

「先生は今日ソファの住人です!」
「え」
 勢いよく腕を引かれてリビングのソファに無理やり座らされる。多少困惑している三嶌を勢いで座らせられた百合は満足そうに上から見下ろすようにして三嶌の顔を覗き込んできて言うのだ。

「今日は私、先生のメイドになります!」
「……」

 百合の放つ”メイド”の言葉……百合と三嶌が同じイメージを持っていないのは明らかであった。

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