痛くしないで!‐先生と始める甘い治療は胸がドキドキしかしません!‐

sae

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後日談~ふたりのはじめての×××のお話~

episode-6

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 百合は今あるアニメにハマっている。そのタイトルは【りりなちゃんの秘密~プリンアラモードは恋の味~】。
 甘いものに目がない主人公の女子高校生りりなちゃんはたまたま訪れた喫茶店のプリンアラモードに一口で恋するほどに魅了され、そのプリンアラモードのレシピを知りたいがためにその店でアルバイトを始めるものの店はなかなか繁盛せず経営難。そこでマスターが店を繁盛させる秘策を思いつき、話題のメイド喫茶に変換させる……という飯テロも兼ねたコメディアニメである。主人公りりなちゃんの一生懸命さと食への愛に溢れる可愛いアニメでオタク界隈ではなかなか人気のアニメである。グッズもネット販売されレシピ本まで売られているほどだ。

 ここでひとつ忠告しよう。
 百合の思い描くメイドはどこまでいってもこのりりなちゃんである。メイドというのは名ばかりで制服がメイドになったただのコスプレ、なんてことはない喫茶店でアルバイトをしている女子高生だ。このアニメにエロ要素など全くない。ただりりなちゃんは手際も良く仕事が良くできる、傾きだした喫茶店の経営を軌道に乗せるのだから大したものだ――と、アニメの話は余談である。そんな百合の思い描くメイドとは全く違うメイドを脳内に描く三嶌がいる。

 メイド=奉仕する人。三嶌はただ単純にそう思っていた。とんだ勘違いである。

「今日は私、これを作ろうと思って……」
 ガサガサと持ち込まれたエコバックや鞄から百合が荷物を取り出した。

「じゃん!」
 三嶌の目の前に掲げられたレシピ本。いわずもがな、そのアニメのレシピ本である。

「今日はレモンチェリーのプリンアラモードを作ります!」
 もはや百合が何を言っているのか分からない三嶌だ。ちなみにレモンチェリーはりりなちゃんの働く喫茶店の店名である。

「ちゃんとエプロンも持ってきました!」
 またガサガサと鞄をさぐって「じゃん!」と見せつける。

「りりなちゃんと同じエプロンなんです!これ!」
 りりなちゃんとは?三嶌は一瞬思ったがそんなこともどうでもいい気はした。百合が取り出した白いフリフリのメイドエプロンは抜群に可愛かったのである。

「可愛いね」
 三嶌は純粋にそう言って微笑む。

「可愛いでしょ?!これを商品化したのは天才だと思います!りりなちゃんが着けてるのが本当に可愛いんですよ~」
 だからりりなちゃんは誰だ、三嶌はやはり思うが突っ込むのも馬鹿らしくてスルーすることにした。それよりも普段は見せないやたらはしゃいでテンションをあげる百合が新鮮で可愛かった。このテンションはおそらくそのりりなちゃん効果なのだろうと思うと余計突っ込むのはやめた。いろいろ聞きたい事はあったがおそらく理解できる世界観ではないだろうと瞬時に判断した三嶌は何も言わずに話し続ける百合を眺めていた。

 とにもかくにもひとつだけわかったことがある。三嶌は思う。

(百合がこのメイドエプロンをつけて俺に何かしら奉仕をしてくれると?なんて楽しい休日だろうか)

 三嶌の脳内がぐつぐつと興奮で揺れ出していることに呑気な百合はまだ気づかずにいるのだった。



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