捨てられたはずが、ハイスぺ幼馴染CEOの執着愛に囚われ逃げられない

sae

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番外編

その後の話・6

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 ジャッ! と、いきなり着ていたパーカーのチャックを勢いよく下げられる。

「きゃあ! なに!?」
「あれ、下着てる」
「き、着るよ! いつも着てる!」
「そうなんだ。肌触りいいから直接着てるんだと思ってた」

 少しお値打ちな淡い白色のルームウェア。先日ようやく手に入れたお気に入りだ。触れるだけで気持ちいい、それはそうだが直接着るには躊躇われる。薄手のインナーは身につけていたのだが。

「ちょ、ちょっと……いっくん?」

 気づくとパーカーは脱がされて、一哉の手は迷いなく下も脱がしインナーに手がかかってくる。そのサクサクと脱がせる手腕に戸惑いつつも凪沙はその手を掴んだ。

「なに? ご飯は?」
「食ったよ」
「え? 食べたの?」
「来栖と食って帰ってきたよ」

 なんだ、と拍子抜けしたのも束の間。

「ひゃあ!」

 いきなりソファに押し倒される。

「いい、いっくん! ここ! リビング!」
「やだ?」
「やだ、とかじゃなく……やだ、というよりその……」

 性急すぎやしないか? それに戸惑う凪沙だがもう自分はショーツ一枚姿にさせられている。目の前にいる一哉はまだほぼスーツ姿なのに。

「そ、それダメ……」
「それ? どれ?」

 一哉は凪沙の言葉に首を傾げる。
 
「き、今日さ……初めて仕事してるいっくん、見た」
「……」
「スーツ姿、毎日見てたし珍しいとかなかったはずなのに、全然違って……カッコよくて。また知らないいっくん知って……ドキドキしたの。だから……」
「……」
「もうスーツ姿、余計ときめくから、やめて……」

 そう言って、かぁぁ! っと自分の頬が熱くなる。日中のパリッとスーツを着こなしてオフィスにいた一哉が今は目の前でそのスーツを乱して凪沙を組み敷いている。それを下から見上げてなんとも言えない気持ちになった。

 オンオフが混じり合い、直視できない。

「それ言うなら凪沙もだよなー」
「え?」
「オフィスでエロいカッコしてさ」
「……心外です。そんなカッコしてないんですけど」

 なんだそれは、と一瞬で脳が冷えて冷たい声を発した凪沙に一哉が噴き出す。

「あの身体の線が出る服やめてくれる?」
「え?」
「誘ってんのかな、て思うから」
「誘ってませんが」
「他の人間が見ると思うと落ち着かないからやめて。マジで仕事にならないから」
「……」

 笑いながらもどこか本気の声に聞こえて凪沙はまた頬を赤く染める。

「いっくんも、ドキドキとかした?」

 肌を露わにして、なにひとつ隠さず頬を染めて見上げてくる凪沙。それがより一哉を煽っていることに気づかないのか。

「したし、今もしてる」
「え?」
「凪沙にずっとドキドキしてるよ?」
「ぁ、ん!」

 かぶりつくようなキスを落とされて凪沙も細腕を一哉の背に回した。張りのあるシャツが指先に触れて衣擦れの音に胸がドキリと高鳴る。

 日中見ていた一哉が、オフィスでは羨望の目で見つめられる一哉が……今自分の腕の中にいる。
 帰宅して何よりもすぐに自分を求めてくる一哉がいるのだ、その優越感と充足感をなにで例えればいいのか。

 胸が震える。
 どうしようもないほどに……震えて止まない。

「ぁ、ん」
「……なんだ、凪沙も待ってたんじゃん」

 くちびるが離れたら名残惜しくて。絡み合っていた舌が一哉を追いかけてしまう。軽く開いた口から舌先を伸ばす凪沙に一哉はクスリと笑ってそんな風に揶揄うから。

「オフィスでエッチなことするからでしょ」
「あんなのエッチなことに入らない」
「いっくんは存在がもうエッチなの!」
「……それこそ心外なんですけど」

 そんな風に言い合ってふたりで噴き出した。

「ん……もっと、キスして」

 せがむように、そのくちびるを差し出せば一哉は受け止めてくれる。もう凪沙自身が自信を持って言えるのだ。

 ――いっくんの全部、私のもの。

「あっ……」

 一哉の手がショーツの上からなぞるように触れてきて腰が跳ねた。それでも逃げることはない、受け止めて受け入れる。もっととせがむほどに。

「ん……」
「濡れてる……俺のこと待ってた?」

 揶揄うような言葉に凪沙は身体をフルフルと震わせつつも素直に頷いた。

「ん……待ってた」
「素直だな」
「んぁ……オフィスでも会えたから……もっと離れてるの嫌になったっ」

 離れて過ごす時間がある。誰しもがそれぞれの社会で時間を過ごす。それは当たり前のことで、凪沙にとっても当たり前と受け止めていたのに。

「一緒にいられる時間が増えたら……だめ」

 もっとと求めてしまう。
 一緒にいられる時間をもっとと……我儘になるばかり。

「前よりずっと一緒にいられるのに、変だよね? 一緒にいられるようになったからこそ、いっくんのそばにもっといたいってなったんだよ?」
「……」
「責任、取ってよね」

 拗ねるように言ったら一哉は笑った。

「困ったな」

 一哉はそう言いくしゃりと笑う。それでもその笑顔はとても嬉しそうに柔らかく微笑むのだ。

 
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