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24話 中途半端では無い

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前世での異世界ラノベからしたら、僕のステータス画面の内容は中途半端なのかも知れないが、僕自身にとってはチートもよい処だ。

先ず僕には商売の基本なんて無い。
商人なんてしたら一発で破産する自信が有る。

そして冒険者としてだが、剣術家としては無能だ。
てか、剣なんて持った事すら無い。
神剣も宝の持ち腐れに等しい。

存命しているのは、絶対防御の結界とゆ~ちゃんのおかげ。

魔法に関しては生活魔法しか使えない。
ただ電撃だけは突発的に発動出来たが、それも恐怖心から。

要するにこの世界で生き抜く術は、全て神様チートのおかげなのだ。
情けなくはあるが、それが僕。

女性不信の僕への神様なりの贈り物かも知れない。
実際にマリーには絆されつつ有る。
ある意味人生のやり直し。
そんなとこかな。


今日は久々に冒険者ギルドでオーク討伐の依頼を受けた。
東の山地だから少し遠い。
しかもギルドの管轄地域を越えている。
それはあちらの町では対処しきれないからだろう。
僕等と他にDランクの2パーティー9名が向かった。

緊急では無いようなので、ゆ~ちゃんには乗せない。
信頼出来るかも分からない人を乗せたいとは思わない。
なので彼等は5日遅れて来る。

取り敢えず僕とマリーはクーフと言う町で宿を取り、辺りの森と山裾を調べる。
その間に救難要請を1件こなした。
座礁した船を曳航して脱出、船底には問題無いのでそのまま港へ曳航して帰った。
それからまた東へ飛びクーフに。
大体オークの群れの棲息域を把握した頃に、他のパーティーが到着した。


クーフの冒険者ギルドでギルマスを含め会議を行う。

「あ~コーヘー君にマリー君だったかな、地理を把握している僕等がリーダーシップを取る事でいいかな」
「「はい」」

彼等のパーティー名は(コンラート)で、リーダーは先程発言したロレンスさん。
そしてCランクだ。
動物や魔物の生態系の専門家みたいだ。
冒険者にそんな職が有る事を初めて知った。

討伐の指揮はロレンスさんがして、彼のパーティーの他の4人が各隊長の役割をする。
ここのオークは何か特別なのかな。
そんなニュアンスだが。

Dランクパーティーがそれぞれ、4人•3人•4人•4人その各隊にコンラートの人が一人づつ。
そして、僕とマリーとロレンスさんの隊。
後は勢子役としてEランクの人達が20人参加する。


既に僕たち二人はオークの溜まり場も、辺りを警戒するオークの存在も知っているから、割りと賢いオークなのは分かっていた。

ロレンスさんが今の現状を話しだした。
「黒板にチョークで地図を大まかに書くが、大体ここらへんにオークの住処が有る。
木下の掘っ立て小屋や崖の洞穴それに簡易的なテントの様な物で住んでいる。
おそらくボスはこの洞穴にいる」
「ボスがいるんですか!?」
「ああいる。
おそらくは上位種だが、確認は取れていない。
だから洞穴突入は最後に行おうと思う。
勝手に突入して死んでも責任は負えないからそのつもりで。
相手の強さはロード級か、ジェネラルかウィザードか見当がつかない。

周りに警戒職を配置しているから、そこそこ知能は高いとみる。

先ずはこの警戒職と言うかスカウトから仕留める。
このスカウトは5体だ。
洞穴以外では20~22体いる。
だから勢子役の人に一斉に攻撃が出来るよう、情報役を頼んである。
時間差は出来るだけ無くして、察知されない様にする。

スカウトを仕留めたら、範囲を狭めて勢子の諸君に音を打ち鳴らしてもらう。

そしたら一斉攻撃だが、洞穴だけは攻撃しないように。
ここはあくまで最後だ。
洞穴からボスが出て来たら大声で報告してくれ。
Cランクが向う。
他のオークはともかく、洞穴には本当に何がいるか分からんから、Dランクは絶対に手を出すな」
「Cランクの人達が死んだら?」

「······撤退してくれ。
実は既にCランクパーティー3人が死亡しているのが見つかった。
この町にはCランクは俺たちとその3人しかいなかったんだ。
······以上だ、何か質問は」

「「「「「「「「······」」」」」」」」


これは予想以上に厄介かも。
しかし町が小さいから冒険者が少ないのだな。
この種の討伐にしては人数が少ない。
オークの正確な数も把握出来ていなさそうだし。

洞穴の深さも分からない上、中のオークの数も分からない。
外にいるのはスカウトを含め20ちょいらしいが。


2日後作戦は開始された。

先ずは勢子役の人達がオークのスカウトの位置を報告。

鳥の声の様な笛の合図でスカウトを一斉に倒した。
勢子とともに範囲を縮めつつオークの棲家に迫る。

草むらや藪に潜む事1時間余り。
ゴンゴンゴン、ガアーンガアーン。
木の板や銅鑼を叩く音が木霊する。
「合図だ突撃!!」
「ウオオオォー」「ワアアー」「ウオリャー」。
次々に集落のオークを倒していく。
ゆ~ちゃんは人とオークが混戦を繰り広げるので、機銃が放てない。

マリーの召喚獣一匹は次々とオークを倒す。もう一匹はマリーを守っている。その中でマリーは適時にオークを魔法で攻撃していた。
僕はひたすら結界延伸を人に当てないようにして、オーク達をぶっ飛ばした。
中々神経を使う。
多分だけど人に当たっても結界は発動しないと思うが、それは結界が途切れる事になりオークにも当たらない筈だ。
なので神経を使った。
オマケに洞穴の出口付近にオークがチラチラ見えるから、時折結界延伸で奥へ押し戻してやった。
20分位で外のオークは片が付いた。
結構皆強い。
でも20分戦うと流石に疲労困憊だ。

しばし洞穴を囲んで休憩するが、どうやら満足には休まして貰えそうも無い。

洞穴から魔法が飛んで来て、僕が入口付近に張っていた結界に当たった。

「ウィザードがいるぞ!、気を付けろ」

矢も飛んで来た。

「アーチャーまでいるな」

ドス、ドス,ドス。
ガタイの大きいのが出て来た。
オークウォーリアかな。

「一際デカいな、10体か」
一斉に魔法が放たれ、それと同時に斬りかかる冒険者。
僕は結界延伸を細く槍のようにして当てていった。
マリーの召喚獣も噛み付いて肉を引き千切る。
蜘蛛の糸が絡まり倒れるオークウォーリアを剣で仕留める冒険者。
結界延伸に当たり電撃で痺れる間に斬られるオークウォーリア。

意外と早く数分で片付いた。

グチャッ。
洞穴の出口から弓を番えたオークが2体見えたので、結界延伸で壁に当てて潰した。
それと同時に結界で穴を塞ぐと洞穴の出口で魔法が爆散する。

面倒なので結界延伸を太いワイヤーロープの様にして、洞穴内で振り回してやった。
ドンッドンッ、ガッガッ、バキッドゴッ。
結界を戻し暫し待った。

「リーダーどうする?」
「僕が結界を全面に張りますから、突入しますか」
「頼む、Cランクは彼に続き侵入する」

そう言うが早いや否や、洞穴の出口を崩しながらオーガ並みにデカいオークが、大きな鉈を肩に掛け辺りを見渡す。
「ウガア“ーーアァァー」
まるで地鳴りの様な咆哮に体が痺れた。
慌てて音遮断結界を元の結界に重ね皆を守った。
デカいオークは大鉈を振り回すと、ガンガンガンって結界を壊そうとするが、その度に火花が散り煙が上がる。
どうやらあの鉈には電撃が伝わっていないみたいだ。
ちょっと厄介かも。

だけど結界に鉈をぶっつけると衝撃だけはオークに跳ね返るみたいで、オークがよろけたり鉈を持ち替え手首を振っていたりする。

「こいつはオークロードだな」
「王様かよ」
「やべえな」
「あっ!」
その叫びの瞬間オークロードは飛び上がって僕の結界延伸を飛び越えてしまった。

しまったけど結界延伸は基本僕の身体を覆っている訳で、それが伸びている訳で、飛び上がって着地すると言う事は···。

バチバチバチ、ビリリリッ。

そう結界の上に着地した訳で。

当然感電死する訳で。

なんともお粗末な最後を迎えたわけで···。

·····························

桜花賞は阪神ジュベナイルフィリーズ(舌噛むわっ!)の1•2着が代わる程度かもね。何か波乱は無さそうにみえる。
逆に皐月賞は波乱かなあ。すみれときさらぎの逃げ馬同士みたいな。
まあそう言ってその通りに成ったためしが無いけどね。
逃げ馬って勝つとサニー以来かな。
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