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第四章 傷痕編
120話 至天破邪剣征流、炸裂
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「なんの騒ぎですか?」
忙しく廊下を走る団員達の中から一人を捕まえ、パンツェが話しかける。
「これはパンツェ様! 一人の男が正面から侵入してきたそうです!」
「正面から? ……わかりました 私からラファーム様に伝えておきます。今すぐ迎撃にあたってください」
「はっ!」
団員はすぐに走り去っていき、パンツェも地下へ向かう。
◇
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ……ハァ……あぐっ……ぎゃぁぁっ……!!」
サエがアルバレス支部へ来て二日目になるその日も拷問部屋で拘束され、ひたすら痛みを与えられていた。
「昨日よりも元気ですなぁ、プリティガール。今日もたっぷり……」
「ラファーム様」
下衆な笑みを浮かべながらサエを眺めていたラファームの元へパンツェがやってくる。要件は侵入者に関してだ。
「そんなものはお前達でどうにかしろ。たかが一人、警戒する程でもないだろう」
「わかりました。では、行ってまいります。もしもの時は……」
「くどいな! 逆にお前はたった一人にこの支部が落とされると?」
「いえ、失言でした」
「わかればいいんだ。さっさと行け!」
「……はい」
パンツェは納得していないようだったが、渋々といった感じで部屋を出ていった。
「さぁて、今日もまだまだ長いよ?」
◇
「撃て!!」
号令と共にレオを取り囲む団員達から一斉に矢が放たれる。
円形に囲まれている為逃げ場はない。おまけにアジトの中からも狙われている為、上にジャンプして避けたとしてもすぐにやられてしまう。
〈至天破邪剣征流 相殺の型 『幻像実斬』〉
抜刀の構えを取ったまま動かないレオを矢が撃ち抜く。が、レオの体は煙のように歪み、矢を貫通させた。
矢はそれぞれ反対側にいた団員に当たり、仲間同士で打ち合う結果となってしまった。
「なに……がぁ」
更に号令をかけていた団員も煙のように現れたレオによって斬り伏せられる。
「こんなもんか?」
とはいえ盗賊団というだけはあって数は膨大。未だ何十、何百という数の団員達に取り囲まれている。
「もっと来いよ……」
「一斉にかかれー!」
一人の合図で全員が一斉にレオを討ち取らんと駆け出す。
〈至天破邪剣征流 相殺の型 『龍驤虎視』〉
レオから黒い霧のようなものが吹き出し、虎と龍を象る。とてつもない圧を放ちながら吠える虎と龍を見、団員達は一歩踏みとどまる。
〈突破の型 『虎武璃・再再』〉
瞬間移動に近い速度でレオは姿が消え、団員達は龍驤虎視に注目が集まっていた事もあってレオを見失った。
「うぎゃぁ!」
団員達がどこに行ったと辺りを見渡していると、突然その中の一人が体から血を吹き出し、倒れた。なんの前触れもなく、突然だ。よくよく見ると切り傷がついており、何かに斬られた事だけがわかる。
「うぐぁ……」
「がふ……」
「な、なんなんだ……」
それから次々に団員達が斬られていく。完全にランダムで、あっちで斬られたかと思ったらこっちで斬られ……前触れがないだけに避けることも叶わず、どうすることも出来ずに団員達は斬り伏せられる。
この『虎武璃・再再』という技は、俊足の居合い『虎武璃』を連続で繋げていく技で、『麒麟駆け』と違い完全にコントロールを失った無差別斬雨を行う。
まさに雨の如く斬り裂く技だ。
「落ち着け! いずれ止まる。落ち着くんだ!」
その男が言った通りでこの技はある程度したらどうしても動きが止まってしまう。それは姿を消す程の動きで飛び回っている事が大きい。姿を消すほどの速度で飛び回り、集中力を高め続けて居合いを放っていれば、いずれ体力的に継続出来なくなる。
案の定暫く無差別攻撃が続いた後、再びレオは姿を表した。地面を滑るように現れたレオは抜刀の構えを取りながら膝を付き、荒い息をついている。
「多少は減ったか?」
◇
「何者ですか……あれは……」
アジト内から戦闘の様子を見ていたパンツェは驚愕を隠せなかった。
アジト前で戦っている侵入者は四方八方から迫ってくる団員を斬り伏せ、全方位から飛んでくる矢を撃ち落としている。その動きは傍から見ても人間離れしている。
「隊長?」
侵入者排除の為に集まった〈猿狩り〉メンバーも、初めて見るパンツェの表情に侵入者の強さを再確認する。
「確かに驚くべき力ではある。が、問題ではない。有象無象の雑魚相手に力を振るっているだけでは真の強者とは言えない」
そこへ依頼人に扮していたオルセイン、ダーリア、カーミンの三人が現れた。今は本来の格好に戻っている為、三人とも腰に剣をさし、フレアコートを着ている。
この三人は現在はアルバレス支部長ラファームの元で動いているが、元々は本部で活動する三人組だ。その強さはウェヌス盗賊団の中でも上位と言われている。とはいえ副団長と団長が強すぎるあまり、差はかなり大きいが。
「オルセイン……私達も行きますよ」
「お好きにどうぞ。見ているだけになるでしょうがね」
◇
〈至天破邪剣征流 薙払の型 『横一文字斬り』〉
周りに群がる団員を薙ぎ払いで一掃し、更にはその風圧で周りにいた団員達を跳ね飛ばす。
「ハァ……ハァ……流石に多いな」
「へばってきたか?」
「俺たちの兵力はまだまだこんなもんじゃないぜ」
「一人で乗り込んでくるなんざ馬鹿のするこさ」
「フッ……丁度いいハンデだろっ!」
勢いに任せて振った銀月から豪快な斬撃が飛ぶ。とはいえ力任せに飛ばしたせいもあり、狙いは大きく逸れ、アジトの壁に衝突した。
「おいおい、やめてくれるか。お前一人の為に部下が何人もやられてるんだ。更にはアジトまで破壊する気か? 被害が計り知れない」
いつの間にやらレオの正面に三人の男女が立っていた。
赤紫色の髪に同色のフレアコートを着たオルセイン。青紫色の髪をロングに伸ばし、同じく髪色のフレアコートを着たダーリア。そして赤色の髪をショートにし、赤色のフレアコートを着たカーミンだ。
「オルセイン様!」
「君達は下がっていろ。俺達が出る」
「は、はっ!」
「誰だお前ら」
「我らウェヌス盗賊団が誇る三剣獣。聞いた事ぐらいはあるだろう?」
「知らん」
「なっ……癪に触る。そんなに死にたいなら殺してやろう。カーミン、ダーリア、行け!」
『はい!』
オルセインの後ろに控えていたカーミン、ダーリアが一歩前に出て剣を抜く。その立ち姿からただ剣を構えているだけでも強者とわかるだろう。……そこらの人間から見れば。
「行くぞ!」
「覚悟!」
お互いに一気に距離を詰め、剣を交える。
〈薙払の型 『剣征之斬・大輪』〉
〈薙払の型 『花火』〉
二人の一直線な斬撃をレオは横回転の斬撃と上方への打ち上げにより弾き、防御する。そのまま流れるように二人を通り過ぎ、レオが背後を取る。
〈『燕返し』〉
カーミンの背中を斜めに斬り下ろし、返す刀でダーリアを斬り上げる。そしてそのまま振り返りオルセインを視界に入れ、銀月を鞘にしまう。
カーミンは斬り下ろされた衝撃で地面にまで組み伏せられ、ダーリアはそのまま空中に突き上げられて地面に落下する。
「ダーリアとカーミンがたったの一撃……? ふ、ふふふ……面白い!」
〈炎術 陽炎幻影〉
辺りの温度が一気に上昇し、周囲を歪ませながら陽炎が立ち昇る。オルセインが陽炎の揺らぎに包まれると、そのまま姿を消した。
〈至天破邪剣征流 薙払の型 『剣征之斬・画竜点睛』〉
脱力した腕から繰り出される強靭な一撃が横一文字に振り抜かれ、砂煙と共に陽炎が吹き飛ばされる。だが、オルセインの姿は既にそこには無く、斬撃はそのまた後ろで控えていた団員達を一気に吹き飛ばした。
そして陽炎を吹き飛ばしたのも一瞬の事で、すぐにまた陽炎が一帯を包む。
「この術は陽炎を利用した幻術で自分の姿を消すだけでなく自分の姿を偽る事も可能!」
その言葉通り、レオの周囲から次々にオルセインが現れ、合計七人のオルセインがレオを囲っている。それぞれがゆらゆらと揺らぎ、幻術だとわかるものの本物がどれかはわからない。
「ハァ……ハァ……ふぅー、確かに見分ける手段はなさそうだが……それもおれの前では無意味だ」
「何を?」
〈至天破邪剣征流 相殺の型 『破邪開眼』〉
破邪開眼。突破の型なら『至天失斬烈風斬り』、薙払の型なら『剣征之斬』の様に、その型の起源になるような技で、相殺の型の根本に据えられた技だ。
「なんだ? そのオーラ」
独特の雰囲気が目を瞑ったレオを取り囲み、なんとも言えない圧が周囲にのしかかる。
抜刀の構えを取ったまま動かないレオに対し、焦ったようにオルセインが駆け出す。七人のオルセインが一斉に迫るが、レオは未だ動かない。
「見掛け倒しか……いや、違う!?」
レオが目を開けると同時に周囲の圧が渦巻き、周囲を巻き込んで陽炎を吹き飛ばす。
「な、なにぃ……」
断末魔に似た叫びを響かせながら、オルセインは血を吹き出して膝をついた。レオは驚愕の表情を浮かべたまま倒れていくオルセインを見る事も無くまだまだ数の減らない団員に目を向ける。
「体力使わせやがって……」
『破邪開眼』とは、幻術や偽りを見抜く目を開眼する技。その分体力や集中力を限りなく消費する技でもある。
「そ、そんな……三剣獣が……」
「こいつ、何者なんだ」
「来い、この支部はおれがぶった斬って潰す」
「ひぃぃ……」
オルセインら三人があまりにもあっさりとやられた事で流石にレオの脅威がより具体的に団員達にのしかかり、冷や汗が流れる。
支部にいる団員を総動員して攻撃しているにも関わらず鈍らない動き、すでに半分以上がやられているという事実、切り札があっけなくやられてしまったという三つの事象が団員達の戦意を削っている。
とはいえ流石のレオも無傷ではない。休みなく動き続け、もともと体力や集中力を酷使する至天破邪剣征流を連続で使っている。常人ならば倒れていてもおかしくはないだろう。
「ひ、怯むな……かかれぇ!! 数はこっちが勝ってるんだ! 相手も無敵じゃない!疲れだって出てるぞ!」
『うぉぉぉぉぉ!!』
忙しく廊下を走る団員達の中から一人を捕まえ、パンツェが話しかける。
「これはパンツェ様! 一人の男が正面から侵入してきたそうです!」
「正面から? ……わかりました 私からラファーム様に伝えておきます。今すぐ迎撃にあたってください」
「はっ!」
団員はすぐに走り去っていき、パンツェも地下へ向かう。
◇
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ……ハァ……あぐっ……ぎゃぁぁっ……!!」
サエがアルバレス支部へ来て二日目になるその日も拷問部屋で拘束され、ひたすら痛みを与えられていた。
「昨日よりも元気ですなぁ、プリティガール。今日もたっぷり……」
「ラファーム様」
下衆な笑みを浮かべながらサエを眺めていたラファームの元へパンツェがやってくる。要件は侵入者に関してだ。
「そんなものはお前達でどうにかしろ。たかが一人、警戒する程でもないだろう」
「わかりました。では、行ってまいります。もしもの時は……」
「くどいな! 逆にお前はたった一人にこの支部が落とされると?」
「いえ、失言でした」
「わかればいいんだ。さっさと行け!」
「……はい」
パンツェは納得していないようだったが、渋々といった感じで部屋を出ていった。
「さぁて、今日もまだまだ長いよ?」
◇
「撃て!!」
号令と共にレオを取り囲む団員達から一斉に矢が放たれる。
円形に囲まれている為逃げ場はない。おまけにアジトの中からも狙われている為、上にジャンプして避けたとしてもすぐにやられてしまう。
〈至天破邪剣征流 相殺の型 『幻像実斬』〉
抜刀の構えを取ったまま動かないレオを矢が撃ち抜く。が、レオの体は煙のように歪み、矢を貫通させた。
矢はそれぞれ反対側にいた団員に当たり、仲間同士で打ち合う結果となってしまった。
「なに……がぁ」
更に号令をかけていた団員も煙のように現れたレオによって斬り伏せられる。
「こんなもんか?」
とはいえ盗賊団というだけはあって数は膨大。未だ何十、何百という数の団員達に取り囲まれている。
「もっと来いよ……」
「一斉にかかれー!」
一人の合図で全員が一斉にレオを討ち取らんと駆け出す。
〈至天破邪剣征流 相殺の型 『龍驤虎視』〉
レオから黒い霧のようなものが吹き出し、虎と龍を象る。とてつもない圧を放ちながら吠える虎と龍を見、団員達は一歩踏みとどまる。
〈突破の型 『虎武璃・再再』〉
瞬間移動に近い速度でレオは姿が消え、団員達は龍驤虎視に注目が集まっていた事もあってレオを見失った。
「うぎゃぁ!」
団員達がどこに行ったと辺りを見渡していると、突然その中の一人が体から血を吹き出し、倒れた。なんの前触れもなく、突然だ。よくよく見ると切り傷がついており、何かに斬られた事だけがわかる。
「うぐぁ……」
「がふ……」
「な、なんなんだ……」
それから次々に団員達が斬られていく。完全にランダムで、あっちで斬られたかと思ったらこっちで斬られ……前触れがないだけに避けることも叶わず、どうすることも出来ずに団員達は斬り伏せられる。
この『虎武璃・再再』という技は、俊足の居合い『虎武璃』を連続で繋げていく技で、『麒麟駆け』と違い完全にコントロールを失った無差別斬雨を行う。
まさに雨の如く斬り裂く技だ。
「落ち着け! いずれ止まる。落ち着くんだ!」
その男が言った通りでこの技はある程度したらどうしても動きが止まってしまう。それは姿を消す程の動きで飛び回っている事が大きい。姿を消すほどの速度で飛び回り、集中力を高め続けて居合いを放っていれば、いずれ体力的に継続出来なくなる。
案の定暫く無差別攻撃が続いた後、再びレオは姿を表した。地面を滑るように現れたレオは抜刀の構えを取りながら膝を付き、荒い息をついている。
「多少は減ったか?」
◇
「何者ですか……あれは……」
アジト内から戦闘の様子を見ていたパンツェは驚愕を隠せなかった。
アジト前で戦っている侵入者は四方八方から迫ってくる団員を斬り伏せ、全方位から飛んでくる矢を撃ち落としている。その動きは傍から見ても人間離れしている。
「隊長?」
侵入者排除の為に集まった〈猿狩り〉メンバーも、初めて見るパンツェの表情に侵入者の強さを再確認する。
「確かに驚くべき力ではある。が、問題ではない。有象無象の雑魚相手に力を振るっているだけでは真の強者とは言えない」
そこへ依頼人に扮していたオルセイン、ダーリア、カーミンの三人が現れた。今は本来の格好に戻っている為、三人とも腰に剣をさし、フレアコートを着ている。
この三人は現在はアルバレス支部長ラファームの元で動いているが、元々は本部で活動する三人組だ。その強さはウェヌス盗賊団の中でも上位と言われている。とはいえ副団長と団長が強すぎるあまり、差はかなり大きいが。
「オルセイン……私達も行きますよ」
「お好きにどうぞ。見ているだけになるでしょうがね」
◇
〈至天破邪剣征流 薙払の型 『横一文字斬り』〉
周りに群がる団員を薙ぎ払いで一掃し、更にはその風圧で周りにいた団員達を跳ね飛ばす。
「ハァ……ハァ……流石に多いな」
「へばってきたか?」
「俺たちの兵力はまだまだこんなもんじゃないぜ」
「一人で乗り込んでくるなんざ馬鹿のするこさ」
「フッ……丁度いいハンデだろっ!」
勢いに任せて振った銀月から豪快な斬撃が飛ぶ。とはいえ力任せに飛ばしたせいもあり、狙いは大きく逸れ、アジトの壁に衝突した。
「おいおい、やめてくれるか。お前一人の為に部下が何人もやられてるんだ。更にはアジトまで破壊する気か? 被害が計り知れない」
いつの間にやらレオの正面に三人の男女が立っていた。
赤紫色の髪に同色のフレアコートを着たオルセイン。青紫色の髪をロングに伸ばし、同じく髪色のフレアコートを着たダーリア。そして赤色の髪をショートにし、赤色のフレアコートを着たカーミンだ。
「オルセイン様!」
「君達は下がっていろ。俺達が出る」
「は、はっ!」
「誰だお前ら」
「我らウェヌス盗賊団が誇る三剣獣。聞いた事ぐらいはあるだろう?」
「知らん」
「なっ……癪に触る。そんなに死にたいなら殺してやろう。カーミン、ダーリア、行け!」
『はい!』
オルセインの後ろに控えていたカーミン、ダーリアが一歩前に出て剣を抜く。その立ち姿からただ剣を構えているだけでも強者とわかるだろう。……そこらの人間から見れば。
「行くぞ!」
「覚悟!」
お互いに一気に距離を詰め、剣を交える。
〈薙払の型 『剣征之斬・大輪』〉
〈薙払の型 『花火』〉
二人の一直線な斬撃をレオは横回転の斬撃と上方への打ち上げにより弾き、防御する。そのまま流れるように二人を通り過ぎ、レオが背後を取る。
〈『燕返し』〉
カーミンの背中を斜めに斬り下ろし、返す刀でダーリアを斬り上げる。そしてそのまま振り返りオルセインを視界に入れ、銀月を鞘にしまう。
カーミンは斬り下ろされた衝撃で地面にまで組み伏せられ、ダーリアはそのまま空中に突き上げられて地面に落下する。
「ダーリアとカーミンがたったの一撃……? ふ、ふふふ……面白い!」
〈炎術 陽炎幻影〉
辺りの温度が一気に上昇し、周囲を歪ませながら陽炎が立ち昇る。オルセインが陽炎の揺らぎに包まれると、そのまま姿を消した。
〈至天破邪剣征流 薙払の型 『剣征之斬・画竜点睛』〉
脱力した腕から繰り出される強靭な一撃が横一文字に振り抜かれ、砂煙と共に陽炎が吹き飛ばされる。だが、オルセインの姿は既にそこには無く、斬撃はそのまた後ろで控えていた団員達を一気に吹き飛ばした。
そして陽炎を吹き飛ばしたのも一瞬の事で、すぐにまた陽炎が一帯を包む。
「この術は陽炎を利用した幻術で自分の姿を消すだけでなく自分の姿を偽る事も可能!」
その言葉通り、レオの周囲から次々にオルセインが現れ、合計七人のオルセインがレオを囲っている。それぞれがゆらゆらと揺らぎ、幻術だとわかるものの本物がどれかはわからない。
「ハァ……ハァ……ふぅー、確かに見分ける手段はなさそうだが……それもおれの前では無意味だ」
「何を?」
〈至天破邪剣征流 相殺の型 『破邪開眼』〉
破邪開眼。突破の型なら『至天失斬烈風斬り』、薙払の型なら『剣征之斬』の様に、その型の起源になるような技で、相殺の型の根本に据えられた技だ。
「なんだ? そのオーラ」
独特の雰囲気が目を瞑ったレオを取り囲み、なんとも言えない圧が周囲にのしかかる。
抜刀の構えを取ったまま動かないレオに対し、焦ったようにオルセインが駆け出す。七人のオルセインが一斉に迫るが、レオは未だ動かない。
「見掛け倒しか……いや、違う!?」
レオが目を開けると同時に周囲の圧が渦巻き、周囲を巻き込んで陽炎を吹き飛ばす。
「な、なにぃ……」
断末魔に似た叫びを響かせながら、オルセインは血を吹き出して膝をついた。レオは驚愕の表情を浮かべたまま倒れていくオルセインを見る事も無くまだまだ数の減らない団員に目を向ける。
「体力使わせやがって……」
『破邪開眼』とは、幻術や偽りを見抜く目を開眼する技。その分体力や集中力を限りなく消費する技でもある。
「そ、そんな……三剣獣が……」
「こいつ、何者なんだ」
「来い、この支部はおれがぶった斬って潰す」
「ひぃぃ……」
オルセインら三人があまりにもあっさりとやられた事で流石にレオの脅威がより具体的に団員達にのしかかり、冷や汗が流れる。
支部にいる団員を総動員して攻撃しているにも関わらず鈍らない動き、すでに半分以上がやられているという事実、切り札があっけなくやられてしまったという三つの事象が団員達の戦意を削っている。
とはいえ流石のレオも無傷ではない。休みなく動き続け、もともと体力や集中力を酷使する至天破邪剣征流を連続で使っている。常人ならば倒れていてもおかしくはないだろう。
「ひ、怯むな……かかれぇ!! 数はこっちが勝ってるんだ! 相手も無敵じゃない!疲れだって出てるぞ!」
『うぉぉぉぉぉ!!』
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しかし、この賭けは罠であった。
アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。
賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。
アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。
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