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宿泊研修がやってくるそうですよ!?
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帰宅した僕は自室に戻り速攻でベッドに倒れこんだ。
認めたくない、が事実なのだから認めなくちゃいけないだろう。僕は小夜曲との会話を楽しんでいた、これは間違いない。
「はぁ……」
なにをやってるんだ僕は。
あの子が本当に僕に恩義を感じてて、僕と会話してて本当に楽しいと感じているのなら、なおさら彼女は離れなくちゃいけない。
でも僕から突き放す理由もない。
「どうすりゃいいんだよ……」
そのままベッドで数十分間悩んだが、一向に答えは出てこず、次第に僕の意識は落ちていくのだった……。
「宿泊研修どうする!?」
「……は?」
入学式から二週間くらい経った頃の昼休み。僕は小夜曲からそんな設問を受けていた。
「どうするもなにも……行くわけがないだろ」
「なんでぇ!?」
めっちゃ驚かれる。僕はお前のその反応に驚いたけどな。
「なんでって、宿泊研修ってアレだろ? クラスメイトの親睦を深めようだとか、あとは集団練習とかするんだろ? サボるに決まってるだろ」
「なんで! 親睦深めようよ!」
「やだよめんどくさい」
「えぇ~」
凄い残念そうな顔をする小夜曲。こいつは誰とでも仲良く出来そうなトーク力を持っているのだから僕じゃなくて他の奴のとこに行けばいいのに……。
と考えて思い出す。そうだった、こいつは僕に恩があって近づいているんだ。恩があるなら他の誰かで代用は出来ないんだろうけど、僕の近くにいるよりかは有意義だと思うんだけどな。
「にしてもなんで突然宿泊研修について聞いて来るんだ? なんか言ってたっけ」
「誠そういえば寝てたねさっきの時間」
「まぁな」
「威張れるところじゃないんだけどね」
はぁ、とユキはため息を吐く。
「どうした、生理か」
「そういうことを女の子に聞くもんじゃないよ」
「お前羽付き? 羽無し?」
「デリカシー……というかなんでそんな詳しいの」
めっちゃ引かれた。男なら知って当然の知識だと思うんだけどなぁ……僕がおかしいのかな。
「さっきの時間宿泊研修についての説明があったんだよ。行くのは来週らしいよ」
「ふーん、いってらっしゃい」
「行こ」
「え、やだよ何言ってんの?」
「なんでそんな当たり前のように言ってるの? 全然当たり前じゃないからねそれ!」
僕にとっては当たり前だ。
「先生たちが言うには旅館みたいなの借りて、そこで集団練習だったり、山に行って歩いたりするらしいよ」
「僕山嫌いなんだよ」
「毎日山を通ってあの桜を見に行ってる誠がよくそんな嘘言えるね」
「あれ山じゃないから」
「屁理屈って知ってる?」
「……まぁ、お前がそんなに僕を行かせたいのかは知らないけど、僕は行かないよ。これ以上お前みたいに話しかけてくる奴は作りたくないんでな」
「なんでそんなに友達を作りたくないんだろうねぇ……」
ペットボトルのお茶を含みながら小夜曲はそう言った。
「めんどいから、あと単純に一人が好きだから」
「ほんとぼっち」
「なんとでも言え、僕はなんとしてでもサボる。それに何泊するのかは知らないけど、それだけの間あの桜が見れないんだろ? せっかくの春なんだ、僕は宿泊研修よりもあの桜を優先するよ」
「サボるんですか?」
「……え?」
「……およよ?」
そんな時、小夜曲じゃない声が聞こえ、そして僕はそちらに振り向くのだった。
認めたくない、が事実なのだから認めなくちゃいけないだろう。僕は小夜曲との会話を楽しんでいた、これは間違いない。
「はぁ……」
なにをやってるんだ僕は。
あの子が本当に僕に恩義を感じてて、僕と会話してて本当に楽しいと感じているのなら、なおさら彼女は離れなくちゃいけない。
でも僕から突き放す理由もない。
「どうすりゃいいんだよ……」
そのままベッドで数十分間悩んだが、一向に答えは出てこず、次第に僕の意識は落ちていくのだった……。
「宿泊研修どうする!?」
「……は?」
入学式から二週間くらい経った頃の昼休み。僕は小夜曲からそんな設問を受けていた。
「どうするもなにも……行くわけがないだろ」
「なんでぇ!?」
めっちゃ驚かれる。僕はお前のその反応に驚いたけどな。
「なんでって、宿泊研修ってアレだろ? クラスメイトの親睦を深めようだとか、あとは集団練習とかするんだろ? サボるに決まってるだろ」
「なんで! 親睦深めようよ!」
「やだよめんどくさい」
「えぇ~」
凄い残念そうな顔をする小夜曲。こいつは誰とでも仲良く出来そうなトーク力を持っているのだから僕じゃなくて他の奴のとこに行けばいいのに……。
と考えて思い出す。そうだった、こいつは僕に恩があって近づいているんだ。恩があるなら他の誰かで代用は出来ないんだろうけど、僕の近くにいるよりかは有意義だと思うんだけどな。
「にしてもなんで突然宿泊研修について聞いて来るんだ? なんか言ってたっけ」
「誠そういえば寝てたねさっきの時間」
「まぁな」
「威張れるところじゃないんだけどね」
はぁ、とユキはため息を吐く。
「どうした、生理か」
「そういうことを女の子に聞くもんじゃないよ」
「お前羽付き? 羽無し?」
「デリカシー……というかなんでそんな詳しいの」
めっちゃ引かれた。男なら知って当然の知識だと思うんだけどなぁ……僕がおかしいのかな。
「さっきの時間宿泊研修についての説明があったんだよ。行くのは来週らしいよ」
「ふーん、いってらっしゃい」
「行こ」
「え、やだよ何言ってんの?」
「なんでそんな当たり前のように言ってるの? 全然当たり前じゃないからねそれ!」
僕にとっては当たり前だ。
「先生たちが言うには旅館みたいなの借りて、そこで集団練習だったり、山に行って歩いたりするらしいよ」
「僕山嫌いなんだよ」
「毎日山を通ってあの桜を見に行ってる誠がよくそんな嘘言えるね」
「あれ山じゃないから」
「屁理屈って知ってる?」
「……まぁ、お前がそんなに僕を行かせたいのかは知らないけど、僕は行かないよ。これ以上お前みたいに話しかけてくる奴は作りたくないんでな」
「なんでそんなに友達を作りたくないんだろうねぇ……」
ペットボトルのお茶を含みながら小夜曲はそう言った。
「めんどいから、あと単純に一人が好きだから」
「ほんとぼっち」
「なんとでも言え、僕はなんとしてでもサボる。それに何泊するのかは知らないけど、それだけの間あの桜が見れないんだろ? せっかくの春なんだ、僕は宿泊研修よりもあの桜を優先するよ」
「サボるんですか?」
「……え?」
「……およよ?」
そんな時、小夜曲じゃない声が聞こえ、そして僕はそちらに振り向くのだった。
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