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第二章
平民 1
俺────ルイス・アボットはフェガロフォス国の平民の一人である。
ここ最近、貴族と王族の動きが可笑しい。しかも、ルーナ様を全く見掛けなくなった。
おまけに作物が枯れ果て、三日に一度降る雨がなくなった。
これはもうルーナ様に何かあったのだと疑わざるを得ない。
なのに貴族も王族も平民の俺たちに何も知らせようとせず、『働け』と言うだけ。働くも何も作物が育たない土地でどうしろと言うのだ。
今は祖母の店を手伝うことでなんとか生計を立てているが、それだっていつまで続くか分かったものじゃない。作物が育たなくなったことでどの野菜の値段も跳ね上がっている。種類によっては肉や魚よりも値段が高い。
切り詰めて生活をするのにも限界というものがある。
さすがにこの事態は無視できないと判断し、平民の中で代表者数人を選び、まずは領主であるフィル・バートン伯爵に話を聞くことになった。
そして、その代表者のうちの一人が俺である。
俺も含める代表者四人はフィル・バートン伯爵の屋敷の前にいた。
「お願いします。伯爵と話をさせてください」
「領主様より、誰も通すなと命令されている」
「そこをなんとか、お願いします!」
「はぁ....。分かった。では、こうしよう。領主様との面会は許可できないが、私に答えられることなら答える。何か質問があってここに来たんだろう?」
伯爵に仕える衛兵は俺たちを哀れんでか、妥協案を提示してくれた。
確かに幾つか質問したくてここに来たっていうのもある。が、一番の目的は俺達の現状を知ってもらい、その状況を何とかしてほしいとお願いしに来たことである。
でも.....会えるかどうかも分からない伯爵に拘るよりも、衛兵に質問をした方が賢い選択だと思う。質問するだけでは平民である俺達の状況は変わらないが、国の現状を把握することくらいは出来そうだ。
俺達四人は顔を見合わせるとそれぞれ小さく頷いた。
「じゃあ、有り難く幾つか質問させて頂きます」
「ああ」
「その....ルーナ様に何かあったんでしょうか?」
「........ルーナ様は....あのライアン殿下に婚約破棄及び国外追放をされて、今、この国に居ない。噂ではソル国に行ったとか」
衛兵から語られた真実に俺達四人は開いた口を塞ぐことが出来なかった。
ルーナ様が国外追放!?この国に居ない!?
まさか...そんなっ!
きっと体調が優れないのだろうと思い込んでいたが、よく考えてみればルーナ様なら多少の怪我や病くらい魔法で治せる。
そうか.....国外追放....。その可能性は全く考えていなかった。
まさか、そんな馬鹿なことをする王族が居るなんて思わなかった。
ライアン殿下はよく『馬鹿殿下』だとか『頭はただの飾り』だとか陰で言われているが、まさかその通りだったとは....。
まず、普通の思考回路を持っていれば、ルーナ様を国外追放などしない。ライアン殿下との婚約をルーナ様は嫌がっていたから婚約破棄は別に構わないが、国外追放はさすがに馬鹿すぎる。
ここ最近、貴族と王族の動きが可笑しい。しかも、ルーナ様を全く見掛けなくなった。
おまけに作物が枯れ果て、三日に一度降る雨がなくなった。
これはもうルーナ様に何かあったのだと疑わざるを得ない。
なのに貴族も王族も平民の俺たちに何も知らせようとせず、『働け』と言うだけ。働くも何も作物が育たない土地でどうしろと言うのだ。
今は祖母の店を手伝うことでなんとか生計を立てているが、それだっていつまで続くか分かったものじゃない。作物が育たなくなったことでどの野菜の値段も跳ね上がっている。種類によっては肉や魚よりも値段が高い。
切り詰めて生活をするのにも限界というものがある。
さすがにこの事態は無視できないと判断し、平民の中で代表者数人を選び、まずは領主であるフィル・バートン伯爵に話を聞くことになった。
そして、その代表者のうちの一人が俺である。
俺も含める代表者四人はフィル・バートン伯爵の屋敷の前にいた。
「お願いします。伯爵と話をさせてください」
「領主様より、誰も通すなと命令されている」
「そこをなんとか、お願いします!」
「はぁ....。分かった。では、こうしよう。領主様との面会は許可できないが、私に答えられることなら答える。何か質問があってここに来たんだろう?」
伯爵に仕える衛兵は俺たちを哀れんでか、妥協案を提示してくれた。
確かに幾つか質問したくてここに来たっていうのもある。が、一番の目的は俺達の現状を知ってもらい、その状況を何とかしてほしいとお願いしに来たことである。
でも.....会えるかどうかも分からない伯爵に拘るよりも、衛兵に質問をした方が賢い選択だと思う。質問するだけでは平民である俺達の状況は変わらないが、国の現状を把握することくらいは出来そうだ。
俺達四人は顔を見合わせるとそれぞれ小さく頷いた。
「じゃあ、有り難く幾つか質問させて頂きます」
「ああ」
「その....ルーナ様に何かあったんでしょうか?」
「........ルーナ様は....あのライアン殿下に婚約破棄及び国外追放をされて、今、この国に居ない。噂ではソル国に行ったとか」
衛兵から語られた真実に俺達四人は開いた口を塞ぐことが出来なかった。
ルーナ様が国外追放!?この国に居ない!?
まさか...そんなっ!
きっと体調が優れないのだろうと思い込んでいたが、よく考えてみればルーナ様なら多少の怪我や病くらい魔法で治せる。
そうか.....国外追放....。その可能性は全く考えていなかった。
まさか、そんな馬鹿なことをする王族が居るなんて思わなかった。
ライアン殿下はよく『馬鹿殿下』だとか『頭はただの飾り』だとか陰で言われているが、まさかその通りだったとは....。
まず、普通の思考回路を持っていれば、ルーナ様を国外追放などしない。ライアン殿下との婚約をルーナ様は嫌がっていたから婚約破棄は別に構わないが、国外追放はさすがに馬鹿すぎる。
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