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第二章
愚者
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顔色一つ変えず、『死』を宣告した私にリナさんとカーティス様は目を剥く。
でも、直ぐに正気を取り戻したのか、物凄い勢いで噛み付いてきた。
「は!?まさか、僕達を殺すつもりなのか!?」
「はい」
「なっ……!ちょっと揉めたくらいで殺すなんて、幾らなんでもやり過ぎじゃないか!?」
「『ちょっと揉めたくらいで』?『やり過ぎ』?はて?一体何を言っているのやら……」
カーティス様の滅茶苦茶な言い分に、私はやれやれと首を左右に振る。
「私とカーティス様の婚約は、カラミタ王国の命運を左右するものでした。それを見事破談まで追い込んだのは、あなた方です。こちらにもプライドというものがありますの。あれだけ無礼な態度を取られて、引き下がれるほど優しくありませんわ」
「っ……!!」
「で、でも……!だからって、命まで取ることないじゃない……!」
黙り込んでしまったカーティス様の代わりに、リナさんはキャンキャンと吠える。
王族としての責務を理解していないのか、随分と頓珍漢な言い分を振りかざしてきた。
我々が一般人であれば、戦争まで発展することも命を奪い合うこともなかったでしょう。
でも、我々は王族なのです。国のトップに立つ一族なのです。どんなに些細なトラブルでも、たちまち国際問題へ発展してしまう……。
だからこそ、あなた方は王族の一員として、正しい行動を取るべきだったのです。
まあ、今更何を言っても手遅れでしょうけど……。
「ここまで来た以上、誰かの犠牲なくして戦は終わりません。民のために滅ぶのもまた一つの義務であり、王族の役割です。最後くらい、王族として立派に役目を果たしてください」
「っ……!!なら、私達は王族の身分を捨てるわ!それなら、何も問題ないでしょう!?だからっ……!」
「王族の身分を捨てたとしても、あなた方が辿る末路は変わりません。ホールデン王家に喧嘩を売った以上、あなた方は逃げられませんから」
「な、なら!謝る!謝るわ!この私が芋女に頭を下げてあげるのよ!?だから、許し……ひっ!?」
私は聞くに絶えないリナさんの主張に呆れ果て、彼女の首筋に剣先を突きつける。
勢い余って皮膚を切ってしまったのか、彼女の首筋からツーッと赤い液体が零れた。
何故こうも愚かなのかしら……?命乞いをするなら、せめて『芋女』呼びはやめればいいのに……わざわざ相手の神経を逆撫でるなんて、自殺行為としか思えないわ。
「はぁ……戦争に発展した以上、もう謝って済む問題ではないのですよ。大体、貴方の謝罪には何の価値もありません。もう少し自分の置かれている状況を客観視したら、どうですか?」
「っ……!!このっ……!!芋女の分際で……!!」
苛立たしげに眉を顰めるリナさんは、キッとこちらを睨みつける。
『生意気なのよ!』と怒鳴り声を上げる彼女に、私はある意味感心してしまった。
こんな状況でも、まだ態度を改めないなんて……ある意味、尊敬しちゃうわ。まあ、真似したいとは思わないけど……。
「さて────そろそろ、この茶番にも飽きたし、終わりにしましょうか」
でも、直ぐに正気を取り戻したのか、物凄い勢いで噛み付いてきた。
「は!?まさか、僕達を殺すつもりなのか!?」
「はい」
「なっ……!ちょっと揉めたくらいで殺すなんて、幾らなんでもやり過ぎじゃないか!?」
「『ちょっと揉めたくらいで』?『やり過ぎ』?はて?一体何を言っているのやら……」
カーティス様の滅茶苦茶な言い分に、私はやれやれと首を左右に振る。
「私とカーティス様の婚約は、カラミタ王国の命運を左右するものでした。それを見事破談まで追い込んだのは、あなた方です。こちらにもプライドというものがありますの。あれだけ無礼な態度を取られて、引き下がれるほど優しくありませんわ」
「っ……!!」
「で、でも……!だからって、命まで取ることないじゃない……!」
黙り込んでしまったカーティス様の代わりに、リナさんはキャンキャンと吠える。
王族としての責務を理解していないのか、随分と頓珍漢な言い分を振りかざしてきた。
我々が一般人であれば、戦争まで発展することも命を奪い合うこともなかったでしょう。
でも、我々は王族なのです。国のトップに立つ一族なのです。どんなに些細なトラブルでも、たちまち国際問題へ発展してしまう……。
だからこそ、あなた方は王族の一員として、正しい行動を取るべきだったのです。
まあ、今更何を言っても手遅れでしょうけど……。
「ここまで来た以上、誰かの犠牲なくして戦は終わりません。民のために滅ぶのもまた一つの義務であり、王族の役割です。最後くらい、王族として立派に役目を果たしてください」
「っ……!!なら、私達は王族の身分を捨てるわ!それなら、何も問題ないでしょう!?だからっ……!」
「王族の身分を捨てたとしても、あなた方が辿る末路は変わりません。ホールデン王家に喧嘩を売った以上、あなた方は逃げられませんから」
「な、なら!謝る!謝るわ!この私が芋女に頭を下げてあげるのよ!?だから、許し……ひっ!?」
私は聞くに絶えないリナさんの主張に呆れ果て、彼女の首筋に剣先を突きつける。
勢い余って皮膚を切ってしまったのか、彼女の首筋からツーッと赤い液体が零れた。
何故こうも愚かなのかしら……?命乞いをするなら、せめて『芋女』呼びはやめればいいのに……わざわざ相手の神経を逆撫でるなんて、自殺行為としか思えないわ。
「はぁ……戦争に発展した以上、もう謝って済む問題ではないのですよ。大体、貴方の謝罪には何の価値もありません。もう少し自分の置かれている状況を客観視したら、どうですか?」
「っ……!!このっ……!!芋女の分際で……!!」
苛立たしげに眉を顰めるリナさんは、キッとこちらを睨みつける。
『生意気なのよ!』と怒鳴り声を上げる彼女に、私はある意味感心してしまった。
こんな状況でも、まだ態度を改めないなんて……ある意味、尊敬しちゃうわ。まあ、真似したいとは思わないけど……。
「さて────そろそろ、この茶番にも飽きたし、終わりにしましょうか」
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