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第二章
異世界《ルカ side》③
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「じゃあ、話もまとまったことだし────早速、ルカの強化訓練を始めようか」
という言葉の通り、俺はタビアやグランツから様々なことを習った。
と言っても、あくまで付け焼き刃なのでところどころ偏ってはいるが。
でも、魔法に関してはエルフのタビアも舌を巻くほど急成長した。
これなら、光の公爵様にも余裕で勝てるかもしれない。
────と、意気込んだものの……その幻想は見事に打ち砕かれた。
「っ……!なんつー強さだよ……!?規格外にも程がある……!」
初めて光の公爵様────リエート・ラスター・バレンシュタインと対峙した俺は、ひたすら圧倒された。
だって、こちらの攻撃をことごとく切り裂いた挙句、強く正確に急所を突いてくるのだから。
幸い、グランツやタビアのおかげで大きな怪我はないが、それでもかなりギリギリの戦い。
『しかも、あっちは無傷だし……』と辟易しつつ、俺は魔力をここら一帯に拡散した。
通常の魔法は基本、魔力そのものに込められた属性を具現化して発動するため。
なので、範囲魔法を使う際はいちいち魔力を散りばめなければならなかった。
面倒だが、魔法陣に比べれば全然マシ。
グランツやタビアは『事前に準備しておけば、魔力を込めるだけなので楽』と言っていたが、こちらの言語に精通していない俺からすれば手間でしかなかった。
いちいち辞書を引くのも面倒くせぇーし、その説明文も読めるか自信ねぇーし。
ったく、何で会話は出来るのに文字は読めねぇーんだよ。
異世界人特典で、そこは何とかしておいてくれよ。
などと思いつつ、俺はここら一帯の天候を魔法で狂わせた。
まず厚い雲で空を覆い、冷たく重い雨を降らせる。
そして、すかさず雷を落とした。
「愛娘を失って失意のどん底に居るのは分かるが、だからって他人に当たり散らすなよ!」
「別に当たり散らしている訳ではない。ただ、ベアトリスの仇を討ちたいだけだ」
落ちてきた雷を一瞥し、光の公爵様はその身で受ける。
本来であれば、黒焦げになっていてもおかしくない状況だが……彼は実にピンピンしていた。
『嘘だろ……』と絶句する俺を前に、光の公爵様はスッと目を細める。
「まあ、でも……やっていることは変わらないか」
暗く冷たい声色でそう語り、光の公爵様はゆっくりとこちらへ歩を進めた。
その間、何度も雷が落ちるものの……相変わらず無傷。
『マジかよ……!?』と叫ぶ俺を前に、光の公爵様は雨に濡れた髪を掻き上げた。
「我が娘の無念を晴らせるなら、何でもいいが……」
という言葉の通り、俺はタビアやグランツから様々なことを習った。
と言っても、あくまで付け焼き刃なのでところどころ偏ってはいるが。
でも、魔法に関してはエルフのタビアも舌を巻くほど急成長した。
これなら、光の公爵様にも余裕で勝てるかもしれない。
────と、意気込んだものの……その幻想は見事に打ち砕かれた。
「っ……!なんつー強さだよ……!?規格外にも程がある……!」
初めて光の公爵様────リエート・ラスター・バレンシュタインと対峙した俺は、ひたすら圧倒された。
だって、こちらの攻撃をことごとく切り裂いた挙句、強く正確に急所を突いてくるのだから。
幸い、グランツやタビアのおかげで大きな怪我はないが、それでもかなりギリギリの戦い。
『しかも、あっちは無傷だし……』と辟易しつつ、俺は魔力をここら一帯に拡散した。
通常の魔法は基本、魔力そのものに込められた属性を具現化して発動するため。
なので、範囲魔法を使う際はいちいち魔力を散りばめなければならなかった。
面倒だが、魔法陣に比べれば全然マシ。
グランツやタビアは『事前に準備しておけば、魔力を込めるだけなので楽』と言っていたが、こちらの言語に精通していない俺からすれば手間でしかなかった。
いちいち辞書を引くのも面倒くせぇーし、その説明文も読めるか自信ねぇーし。
ったく、何で会話は出来るのに文字は読めねぇーんだよ。
異世界人特典で、そこは何とかしておいてくれよ。
などと思いつつ、俺はここら一帯の天候を魔法で狂わせた。
まず厚い雲で空を覆い、冷たく重い雨を降らせる。
そして、すかさず雷を落とした。
「愛娘を失って失意のどん底に居るのは分かるが、だからって他人に当たり散らすなよ!」
「別に当たり散らしている訳ではない。ただ、ベアトリスの仇を討ちたいだけだ」
落ちてきた雷を一瞥し、光の公爵様はその身で受ける。
本来であれば、黒焦げになっていてもおかしくない状況だが……彼は実にピンピンしていた。
『嘘だろ……』と絶句する俺を前に、光の公爵様はスッと目を細める。
「まあ、でも……やっていることは変わらないか」
暗く冷たい声色でそう語り、光の公爵様はゆっくりとこちらへ歩を進めた。
その間、何度も雷が落ちるものの……相変わらず無傷。
『マジかよ……!?』と叫ぶ俺を前に、光の公爵様は雨に濡れた髪を掻き上げた。
「我が娘の無念を晴らせるなら、何でもいいが……」
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