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過去~高校生編1
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しおりを挟むそれから1週間たっても2週間たってもそれ以上でも。
あっちゃんはあの言葉通り、離れていく事も遠慮することもなくてずっと一緒にいてくれる。
今日も三人でお昼ご飯。
「それにしてもこの前のケーキはうまかったなぁ。玲人、また買ってきてよ!」
「うるせぇ、その話は二度とするな」
「えぇ??まだ根に持ってんの?」
「ベラベラベラベラ、余計な事しゃべりやがって。その上、ケーキもお前が一番食ってただろ!」
「うわぁ。細かい男。しかもしつこい。めんどくさーい。そういう男はね、嫌われるんだぞ。ね、慶ちん?」
「あの…玲人。もう、いいでしょ?…えと、それに、あの、僕…嬉しかったし」
僕と玲人が付き合いだした事をあっちゃんに告げた日、僕の家で三人でケーキを食べた。
それも本当においしくって、あっちゃんと「おいしいね」って言い合ってたくさん食べて。
そしたらあっちゃんが、クリスマスの前の二人の会話を玲人がトイレに行った隙にこっそり教えてくれたんだ。
でも、僕の部屋は狭いし壁も薄いしで全部玲人に筒抜けだったけど。
「だってよ、玲人?ほらね、全部丸く収まってよかったじゃん」
「だまれ。調子に乗るな。ケーキは買わん!」
「玲人…。でも、あのケーキ、すっごいおいしかったなぁ」
「慶太。じゃあ、今度は敦が買えよ!」
「すっげぇ。変わり身早っ!てか俺が買うんかい。けちぃ。玲人のけちんぼ」
「どうせお前が一番食うんだろが!うだうだ文句ばっか言ってるとお前呼ばねぇぞ?」
「分かったよ。……けち」
「あははっ。もう、二人とも止めてよ!!」
自分でも驚くほど自然に笑えるようになっている。
玲人にも前に言われた、「表情が豊かになった」って。
確かに前はこんなに声を出して笑う事なんてなかった。
どんどん自分が変わってく。
少しだけ怖いけど、でもそれ以上に今の自分のほうが前よりも全然好きだ。
「あの、三人って本当に絵になるよねぇ」
「なるなるぅ」
「桐生君、かっこいいよね。なんかちょっと危ない感じでさ。男の色気って言うの?」
「えぇーっ。でも日比野君もよくない?ちょっとチャラそうだけど、でも実際はすっごいフェミニストで優しいんだって!」
「でも、ヤッパリさ。なんて言っても「「「水野君!!!」」」」
「前はなんか、いっつも一人でさ。まぁ、それはそれで儚げでよかったけど。
でも、最近本当によく笑うようになったと思わない?」
「気づいてた、ヤッパリ?ま、うちらの前だと違うけどねえ。すっごい綺麗に笑うよね」
「あの二人といるようになってからだよね?……ね、どっちと付き合ってると思う?うふっ」
「桐生君でしょ?だってなんか桐生君の水野君を見る目が全然違うもん!!」
「でも、日比野君なんてこの前抱きついてたよ?」
「えーうそぉ。見たかったぁ!!」
僕が感情を表に出すようになった事がこんな話題をクラスの女子たちに提供してるなんて思わなかった。
ただ僕は、二人に囲まれて笑ってたんだ。
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