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身代わり<リラ視点>
身代わり3
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薄いナイトドレスが心もとなくショールを羽織った。ドレスの丈は長かったが透ける素材なので裸より恥ずかしい恰好であるに違いない。清楚な花嫁を演出したかったのだろう、ピンクのサテンのドレスの下は真っ白なレースの下着だった。大胆なその下着は女の悪趣味さを前面に出しているような気がした。まるで娼婦のようだ……いや、今の私にぴったりなものなのだろう。まさしく、今から身を売るのだから。
しかし、王子はなかなか現れなかった。執務が押しているのか……新婚初夜に? 嫌がっているならこのまま女の鬱血が消えるまで現れなければいいのに。カウチに座って待っていたのだが、それにも疲れ、肌寒くなったので申し訳ないと思いながらベットの中に潜った。この部屋に入ってから思っていたより私は緊張していたようで……そのまま眠りに落ちてしまった。
「スリヤ姫……」
誰かが女の名を呼んでいた。女は今アーサーのところだ。しかし、それを誰に知らせるわけはない。どう答えたらいいかと考えあぐねていると耳元でくつくつと笑う声がした。
「君は誰だい? スリヤ姫のそっくりさん」
その声にはっとして一気に覚醒した。見上げれば王子が私をベットへ縫い付けるように抑え込み、じっと見つめていた。今、なんと王子は言った? 混乱する私は王子の次の手を探るべく様子を覗った。
「ね? 君はだれなの?」
スリヤ姫の恋人たちは皆美形だったが、目の前の王子は別格の美しさだった。しかし紫の瞳は私を探り、侮れない光を宿していた。
「……」
私が寝所で話していい言葉は『はい』と『いいえ』だけだ。余計なことを言うと女や最悪の場合セローシェ国の印象を悪くするだろう。紫の瞳に捉えられ、私は身動きが取れない。それでなくとも次代の大国を担う王子なのだ下手なことは言えない。噂では相当の切れ者だと聞いている。
「そうだね、君だってそう簡単には口を割れないか。ここは新婚夫婦の寝所だし、私は君の夫なんだからベットの上ですることは一つだよね」
その言葉に私はビクリと肩を震わしてしまった。王子は私を偽物とわかっているのに抱こうというのだろうか。まさか。そう思うのに王子はそのまま唇を重ねてきた。
「んんっ」
口付けすら経験のない私にもわかる深いキスだった。スリヤ姫が恋人とするときどうしてあんなにぴちゃぴちゃと音を立てるのかと不思議に思っていたが、今それが分かる。こんなに唇を吸われ、舌を絡ませれば唾液もあふれるというものだ。が、息ができない。苦しくて王子の胸を軽くたたく。気付いてくれたのか王子が少し離れてくれた。
「はぁ、はぁ……」
「君……もしかして初めてなの?」
「はい」
「へぇ」
王子は面白そうに私を観察している。先ほどまで疑りかかっていた紫の瞳が楽しそうに細められる。体を起こした私はその本心を覗うように王子を仰ぎ見た。
「君はスリヤ姫なんだよね?」
「……はい」
「私たちは夫婦になったんだよね?」
「……はい」
私の答えの何が楽しいのか王子はくつくつと笑った。
「それじゃ、これを飲んで」
王子はそう言って私に赤い薬を水と共に差し出してきた。いったいこれは何なのか。全く分からない。偽物とわかったのだから毒でも飲ますつもりなのだろうか。王子は私がどうするか様子をうかがっている。どちらにせよこれを拒否することはできない。もしもここで私が死んだら……スリヤ姫もマルセルに危害を加えたりしないだろう。そして、私のことは知らぬ存ぜぬ、勝手にやったことだと言い逃れるだろう。私は手を伸ばして薬を受け取り、一気に水であおった。
「毒だと思わなかったの?」
王子はさらに機嫌がよさそうにそう言った。もう、疲れたのだ。身を売る地点でもう私に未来などない。
「ふふ。気に入ったよ、君のこと。特別に優しくしてあげるよ」
優しくするとはなんなのだろうか。疑問に思った瞬間王子にベットに再び倒された。背中のリボンをほどいたナイトドレスはいとも簡単に私を下着姿にした。覚悟を決めていたが体の震えは止められない。王子は私の体をこまなく観察した。
「綺麗な肌だね……ここは、薄い桃色なんだ。可愛い」
胸を覆っていたのは白いレースのリボン。その下着の機能をはたさない下着をどうして選んだのか……女の趣味はわからない。しかし、王子はレースの上から執拗に胸の突起を指で刺激し、楽しそうにリボンを解いた。ふるりと解放された胸がすぐに王子の節のある手で覆いつくされる。時折先端を指に挟まれてピリピリとした感覚が私の体をピクリと跳ねさせた。
「感じやすい?……ますます可愛い」
『可愛い』と異性に言われたのは何年ぶりなのだろうか。それが女に対しての言葉だったとしても私は赤面してしまう。なるべく王子と目が合わないよう顔だけ横を向く。肌を重ねるというのはこんなにも恥ずかしい事なのだと知った。
しばらく何が気に入ったのか胸を触っていた王子の方手がおへそへと移動し、そのままショーツに辿り着いた。そのまま円を描くように下の毛をクルクルと指で掻き分けたと思えばいったん侵入をやめて足の付け根に近い内腿をさすってきた。こそばゆいと身をよじってしまう……と動いたはずみなのか王子の指が私の秘所に潜り込んだ。女の選んだショーツは大切なところにスリットが入っていてショーツの機能が全く考えられていない。
「ひっ」
情けない声を上げてしまう。でも、コワイ。私だって怖いのだ。女は好きな相手と情交を楽しんでいた。でも、私はどうだ。初めて会う人間に女の代わりに抱かれなくてはならない。……情けなさに涙が滲む。悟られてはいけないと思うも王子の指が私の中を探り出してなにがどうだかわからないが息が苦しかった。
「大丈夫。身をまかせてくれたらいいから」
王子はそう言って私の目じりの涙をその唇で吸い取って、私の唇に吸いついた。
しかし、王子はなかなか現れなかった。執務が押しているのか……新婚初夜に? 嫌がっているならこのまま女の鬱血が消えるまで現れなければいいのに。カウチに座って待っていたのだが、それにも疲れ、肌寒くなったので申し訳ないと思いながらベットの中に潜った。この部屋に入ってから思っていたより私は緊張していたようで……そのまま眠りに落ちてしまった。
「スリヤ姫……」
誰かが女の名を呼んでいた。女は今アーサーのところだ。しかし、それを誰に知らせるわけはない。どう答えたらいいかと考えあぐねていると耳元でくつくつと笑う声がした。
「君は誰だい? スリヤ姫のそっくりさん」
その声にはっとして一気に覚醒した。見上げれば王子が私をベットへ縫い付けるように抑え込み、じっと見つめていた。今、なんと王子は言った? 混乱する私は王子の次の手を探るべく様子を覗った。
「ね? 君はだれなの?」
スリヤ姫の恋人たちは皆美形だったが、目の前の王子は別格の美しさだった。しかし紫の瞳は私を探り、侮れない光を宿していた。
「……」
私が寝所で話していい言葉は『はい』と『いいえ』だけだ。余計なことを言うと女や最悪の場合セローシェ国の印象を悪くするだろう。紫の瞳に捉えられ、私は身動きが取れない。それでなくとも次代の大国を担う王子なのだ下手なことは言えない。噂では相当の切れ者だと聞いている。
「そうだね、君だってそう簡単には口を割れないか。ここは新婚夫婦の寝所だし、私は君の夫なんだからベットの上ですることは一つだよね」
その言葉に私はビクリと肩を震わしてしまった。王子は私を偽物とわかっているのに抱こうというのだろうか。まさか。そう思うのに王子はそのまま唇を重ねてきた。
「んんっ」
口付けすら経験のない私にもわかる深いキスだった。スリヤ姫が恋人とするときどうしてあんなにぴちゃぴちゃと音を立てるのかと不思議に思っていたが、今それが分かる。こんなに唇を吸われ、舌を絡ませれば唾液もあふれるというものだ。が、息ができない。苦しくて王子の胸を軽くたたく。気付いてくれたのか王子が少し離れてくれた。
「はぁ、はぁ……」
「君……もしかして初めてなの?」
「はい」
「へぇ」
王子は面白そうに私を観察している。先ほどまで疑りかかっていた紫の瞳が楽しそうに細められる。体を起こした私はその本心を覗うように王子を仰ぎ見た。
「君はスリヤ姫なんだよね?」
「……はい」
「私たちは夫婦になったんだよね?」
「……はい」
私の答えの何が楽しいのか王子はくつくつと笑った。
「それじゃ、これを飲んで」
王子はそう言って私に赤い薬を水と共に差し出してきた。いったいこれは何なのか。全く分からない。偽物とわかったのだから毒でも飲ますつもりなのだろうか。王子は私がどうするか様子をうかがっている。どちらにせよこれを拒否することはできない。もしもここで私が死んだら……スリヤ姫もマルセルに危害を加えたりしないだろう。そして、私のことは知らぬ存ぜぬ、勝手にやったことだと言い逃れるだろう。私は手を伸ばして薬を受け取り、一気に水であおった。
「毒だと思わなかったの?」
王子はさらに機嫌がよさそうにそう言った。もう、疲れたのだ。身を売る地点でもう私に未来などない。
「ふふ。気に入ったよ、君のこと。特別に優しくしてあげるよ」
優しくするとはなんなのだろうか。疑問に思った瞬間王子にベットに再び倒された。背中のリボンをほどいたナイトドレスはいとも簡単に私を下着姿にした。覚悟を決めていたが体の震えは止められない。王子は私の体をこまなく観察した。
「綺麗な肌だね……ここは、薄い桃色なんだ。可愛い」
胸を覆っていたのは白いレースのリボン。その下着の機能をはたさない下着をどうして選んだのか……女の趣味はわからない。しかし、王子はレースの上から執拗に胸の突起を指で刺激し、楽しそうにリボンを解いた。ふるりと解放された胸がすぐに王子の節のある手で覆いつくされる。時折先端を指に挟まれてピリピリとした感覚が私の体をピクリと跳ねさせた。
「感じやすい?……ますます可愛い」
『可愛い』と異性に言われたのは何年ぶりなのだろうか。それが女に対しての言葉だったとしても私は赤面してしまう。なるべく王子と目が合わないよう顔だけ横を向く。肌を重ねるというのはこんなにも恥ずかしい事なのだと知った。
しばらく何が気に入ったのか胸を触っていた王子の方手がおへそへと移動し、そのままショーツに辿り着いた。そのまま円を描くように下の毛をクルクルと指で掻き分けたと思えばいったん侵入をやめて足の付け根に近い内腿をさすってきた。こそばゆいと身をよじってしまう……と動いたはずみなのか王子の指が私の秘所に潜り込んだ。女の選んだショーツは大切なところにスリットが入っていてショーツの機能が全く考えられていない。
「ひっ」
情けない声を上げてしまう。でも、コワイ。私だって怖いのだ。女は好きな相手と情交を楽しんでいた。でも、私はどうだ。初めて会う人間に女の代わりに抱かれなくてはならない。……情けなさに涙が滲む。悟られてはいけないと思うも王子の指が私の中を探り出してなにがどうだかわからないが息が苦しかった。
「大丈夫。身をまかせてくれたらいいから」
王子はそう言って私の目じりの涙をその唇で吸い取って、私の唇に吸いついた。
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