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past2(シーヴァ)
episode48
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「わっ?!お、お母さんっ!」
深夜、母の仲間に抱き抱えられ宮殿の塀を越えようとした時だった。
ぐんっと後方に傾いたシーヴァの小さな体が大きな両腕に抱き止められる。
手元には紋章入りの指輪が光る。
「ちち、うえっ・・・」
「カンチャーナ、君が耐えられないと言うなら見逃そう。だが、この子は渡せない」
「嫌っ!こんな場所に、この子だけを置いては行けませんっ!シヴァ、シヴァ!貴方もさあ!おいで」
母親の悲痛な叫び声とその剣幕に驚いて父親の背に隠れたシーヴァを父王がじっと見下ろした。
「っおい!カンチャーナ、もう子供は諦めろ!その子供は白くて目立つし旅の荷物になるだけだっ!」
「っ・・・!」
母の仲間が塀の向こうから鋭く叫ぶ。
「行こう、カンチャーナ!」
「・・・シヴァ」
「おかあさっ・・・」
三メートルはあるだろう高い塀を飛び降りた母が今でも目に焼き付いている。
しなやかな身体に美しい布をまきつけて、まるで踊っているようだった。
シーヴァが母に捨てられた瞬間だった。
深夜、母の仲間に抱き抱えられ宮殿の塀を越えようとした時だった。
ぐんっと後方に傾いたシーヴァの小さな体が大きな両腕に抱き止められる。
手元には紋章入りの指輪が光る。
「ちち、うえっ・・・」
「カンチャーナ、君が耐えられないと言うなら見逃そう。だが、この子は渡せない」
「嫌っ!こんな場所に、この子だけを置いては行けませんっ!シヴァ、シヴァ!貴方もさあ!おいで」
母親の悲痛な叫び声とその剣幕に驚いて父親の背に隠れたシーヴァを父王がじっと見下ろした。
「っおい!カンチャーナ、もう子供は諦めろ!その子供は白くて目立つし旅の荷物になるだけだっ!」
「っ・・・!」
母の仲間が塀の向こうから鋭く叫ぶ。
「行こう、カンチャーナ!」
「・・・シヴァ」
「おかあさっ・・・」
三メートルはあるだろう高い塀を飛び降りた母が今でも目に焼き付いている。
しなやかな身体に美しい布をまきつけて、まるで踊っているようだった。
シーヴァが母に捨てられた瞬間だった。
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