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新しい産業になりますか?
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「では、まずは山の手入れと共に、土木工事をして、土砂崩れに対して対応をして行きましょう。
ただ、今年中には、災害が起こることはわかっているのです。それに対応して、いつでも逃げられる
準備と、避難場所の確保をするために……」
「では、アンナリーゼ様のコーコナ領での別荘を作ってはいかがですか?いざというときには、災害
対策本部として、そこを拠点にしてしまえばいいでしょう?」
「幸い、大工は仕事がなくて困っていますから……そうしてもらえると助かるのですけどねぇ?」
考えなくもなかったが……それを作るにも維持をするにもお金がかかる。なので、言い出せなかったことなのだが、1番いい気はしていた。
もし、山の手入れをするなら、木も手に入るだろうから、作るなら今なのだが……私は悩む。
ここでも、人手不足を痛感することになるとは、思いもしなかった。あと、資金不足もだ。
「簡単に言うなって。そういうの建てるのは簡単だけど、維持するのに莫大な金がかかる。
アンバーにもコーコナにもそんな余分なお金が今はないんだ!」
「資金ね……何かないかしら……継続的に入ってくるお金があれば、いいんだけど……税金だけでは、
とてもじゃないけど、屋敷の維持は無理なのよね……1週間考えさせて。とりあえず、思いついた
時点で、作る作らないの答えは出すわ!」
そういって、領地の別宅については、一旦保留にしてしまう。ただ、時間は待ってくれないので、先に今後の災害に対する活動についてどうするか考えることにした。
「山の手入れ何だけど……コーコナには、山の整備を見立てる人がいないのかしら?」
「コーコナにはというか、この地域にはいないが正解だな。農業以上に、木の管理となると、物が
大きくて大変ではあるから」
「農業も大変だとは思うけど……扱うものが大きいからか……」
「担い手がいないのが原因なんだけどな。誰か、やんないかな?」
「募集かけて見ましょうか?コーコナ以外の領地からもないか……」
「それで、どうするんで?森を手入れするっていったって……」
発言よろしいかな?と少し気取った感じでアルカが挙手をしたので、私はどうぞと許可をだした。
なんだか、好き勝手に話す私たちとは違い、少しだけ驚く。
「まず、いらない木を間伐をしようと思います。見たところ、木は植林で植えられた針葉樹が多かった」
「針葉樹?」
「アンナリーゼ様は、ご存じないですか?」
「えぇ、何のこと?」
「針葉樹といえば、冬になっても葉が枯れないことです」
「山で同じように育っているなら、針葉樹は害悪ではないでしょ?」
「確かにそうなのですが、厄介なことに、広葉樹との水分の保有率に関わってきます。今回、調査した
結果ですが、この裏山の針葉樹率は80%を越えてくる。広葉樹に比べ、根の張りが小さく水分を根に
貯めていられないから困る。広葉樹が保有する水分に比べ、雨水などの水分の保有率が極端に減る
んだ」
「そんなに?でも、植樹をしたっていうことは……領地は産業の一端として考えていたのよね?」
「たぶん、そうだろう。木材は、家を建てるときには必要品。産業として、30年から40年くらい
かかって木は成長する。それまで待っていたのだから……領主交代の時点から始めたんだろう。
今まで、災害が起こらなかったのは、幸いにも雨の量が少なかったからだろう」
私は、アルカの話を聞いてぞっとした。
もっと早くに災害が起こっていてもおかしくなかったことを言われれば、領民たちの心情はどんなものだろうと考えた。
「広葉樹を今後植林することにするとして、今、それは間に合わない。30年から50年かかるから、
すぐに山の水分補給率は、下がらない」
「手入れをすることで、少し変わるかしら?」
「まぁ、多少は変わると思います。ただ、山は荒れ放題で酷いもんです」
「今、それを言わなくてよくない?」
「確かに……認識してもらうことも必要だから言わずにはいられなかったんです。早急に手をうった方が
いいことを言ったまでですよ」
「わかったわ!領地内でまず、探しましょう。裏山を管理できる人を」
こんなときは、ニコライを頼ればあっという間に見つけてきてくれるのだが……明日にならないと領地には来ないだろう。そうすると……伝言を頼むことになるのか……と考えていた。
「アンナリーゼ様、新しい産業になりますか?」
「えぇ、この領地では、まだ、ないと思うけど……」
「それなら、おらの息子がちょうど、遊んでるんですけど……」
「でも、知識がないわよね?」
「助手くらいなら……その後、知識と経験さえ出来れば継続してこの土地の管理を任せることができます
よね?」
「えぇ、そうね。でも、一人じゃ無理だわ!広大な山々を管理するのだから」
「それでは、私のところから助手を出しましょう。研究は主に水を主体としていますが、本来、川に
しろ海にしろ、山が整ってこそのものであるからして……」
「ありがたくいただくわ!いつ頃これそうかしら?」
「あぁ、それなら、領地にすでについてきたので、紹介しよう」
「そうなんだ?じゃあ、助手をしてくれる人とか実際に動き回れる人がいればいいかしら?」
「それで、構わない。そこの、息子に言っておけ。明日の朝から仕事を始めると」
「はい、そうします。どちらに向かえばいいですか?」
「領地の屋敷だと言いたいが、馬や馬車がないと時間がかかるからな。ここでいい。待っていろ」
眼光するどく、おじいさんにアルカが言うとひぃっと少しだけ怯えたように頷いている。
新しい産業にするには、まず、どんなものを世に売り出したいか考えないといけない。
ハニーアンバー店で売れる何かをまた、ニコライと相談することにして、今日の話し合いは終わることにした。
残るは、アルカとリアノの調整だけを残して、解散となる。
1番厄介な気はするが、何かと幸運が続くこともあり、嬉しく微笑んだのである。
ただ、今年中には、災害が起こることはわかっているのです。それに対応して、いつでも逃げられる
準備と、避難場所の確保をするために……」
「では、アンナリーゼ様のコーコナ領での別荘を作ってはいかがですか?いざというときには、災害
対策本部として、そこを拠点にしてしまえばいいでしょう?」
「幸い、大工は仕事がなくて困っていますから……そうしてもらえると助かるのですけどねぇ?」
考えなくもなかったが……それを作るにも維持をするにもお金がかかる。なので、言い出せなかったことなのだが、1番いい気はしていた。
もし、山の手入れをするなら、木も手に入るだろうから、作るなら今なのだが……私は悩む。
ここでも、人手不足を痛感することになるとは、思いもしなかった。あと、資金不足もだ。
「簡単に言うなって。そういうの建てるのは簡単だけど、維持するのに莫大な金がかかる。
アンバーにもコーコナにもそんな余分なお金が今はないんだ!」
「資金ね……何かないかしら……継続的に入ってくるお金があれば、いいんだけど……税金だけでは、
とてもじゃないけど、屋敷の維持は無理なのよね……1週間考えさせて。とりあえず、思いついた
時点で、作る作らないの答えは出すわ!」
そういって、領地の別宅については、一旦保留にしてしまう。ただ、時間は待ってくれないので、先に今後の災害に対する活動についてどうするか考えることにした。
「山の手入れ何だけど……コーコナには、山の整備を見立てる人がいないのかしら?」
「コーコナにはというか、この地域にはいないが正解だな。農業以上に、木の管理となると、物が
大きくて大変ではあるから」
「農業も大変だとは思うけど……扱うものが大きいからか……」
「担い手がいないのが原因なんだけどな。誰か、やんないかな?」
「募集かけて見ましょうか?コーコナ以外の領地からもないか……」
「それで、どうするんで?森を手入れするっていったって……」
発言よろしいかな?と少し気取った感じでアルカが挙手をしたので、私はどうぞと許可をだした。
なんだか、好き勝手に話す私たちとは違い、少しだけ驚く。
「まず、いらない木を間伐をしようと思います。見たところ、木は植林で植えられた針葉樹が多かった」
「針葉樹?」
「アンナリーゼ様は、ご存じないですか?」
「えぇ、何のこと?」
「針葉樹といえば、冬になっても葉が枯れないことです」
「山で同じように育っているなら、針葉樹は害悪ではないでしょ?」
「確かにそうなのですが、厄介なことに、広葉樹との水分の保有率に関わってきます。今回、調査した
結果ですが、この裏山の針葉樹率は80%を越えてくる。広葉樹に比べ、根の張りが小さく水分を根に
貯めていられないから困る。広葉樹が保有する水分に比べ、雨水などの水分の保有率が極端に減る
んだ」
「そんなに?でも、植樹をしたっていうことは……領地は産業の一端として考えていたのよね?」
「たぶん、そうだろう。木材は、家を建てるときには必要品。産業として、30年から40年くらい
かかって木は成長する。それまで待っていたのだから……領主交代の時点から始めたんだろう。
今まで、災害が起こらなかったのは、幸いにも雨の量が少なかったからだろう」
私は、アルカの話を聞いてぞっとした。
もっと早くに災害が起こっていてもおかしくなかったことを言われれば、領民たちの心情はどんなものだろうと考えた。
「広葉樹を今後植林することにするとして、今、それは間に合わない。30年から50年かかるから、
すぐに山の水分補給率は、下がらない」
「手入れをすることで、少し変わるかしら?」
「まぁ、多少は変わると思います。ただ、山は荒れ放題で酷いもんです」
「今、それを言わなくてよくない?」
「確かに……認識してもらうことも必要だから言わずにはいられなかったんです。早急に手をうった方が
いいことを言ったまでですよ」
「わかったわ!領地内でまず、探しましょう。裏山を管理できる人を」
こんなときは、ニコライを頼ればあっという間に見つけてきてくれるのだが……明日にならないと領地には来ないだろう。そうすると……伝言を頼むことになるのか……と考えていた。
「アンナリーゼ様、新しい産業になりますか?」
「えぇ、この領地では、まだ、ないと思うけど……」
「それなら、おらの息子がちょうど、遊んでるんですけど……」
「でも、知識がないわよね?」
「助手くらいなら……その後、知識と経験さえ出来れば継続してこの土地の管理を任せることができます
よね?」
「えぇ、そうね。でも、一人じゃ無理だわ!広大な山々を管理するのだから」
「それでは、私のところから助手を出しましょう。研究は主に水を主体としていますが、本来、川に
しろ海にしろ、山が整ってこそのものであるからして……」
「ありがたくいただくわ!いつ頃これそうかしら?」
「あぁ、それなら、領地にすでについてきたので、紹介しよう」
「そうなんだ?じゃあ、助手をしてくれる人とか実際に動き回れる人がいればいいかしら?」
「それで、構わない。そこの、息子に言っておけ。明日の朝から仕事を始めると」
「はい、そうします。どちらに向かえばいいですか?」
「領地の屋敷だと言いたいが、馬や馬車がないと時間がかかるからな。ここでいい。待っていろ」
眼光するどく、おじいさんにアルカが言うとひぃっと少しだけ怯えたように頷いている。
新しい産業にするには、まず、どんなものを世に売り出したいか考えないといけない。
ハニーアンバー店で売れる何かをまた、ニコライと相談することにして、今日の話し合いは終わることにした。
残るは、アルカとリアノの調整だけを残して、解散となる。
1番厄介な気はするが、何かと幸運が続くこともあり、嬉しく微笑んだのである。
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