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3章
【79】ローブ
しおりを挟むナミルが戻って来たのは明け方だった。
「大丈夫でしたあ!?」
コリティスが間髪入れずに走りよる。
表に出してなかったけど、心配してたんでしょうね。
寝ないで待ってたくらいだし。
「大丈夫に決まってるにゃ。」
ナミルがそんなコリティスの頭を撫でる。
「それでどうでした?」
普段なら子供扱いするなって怒りそうなものだけど、今はお陰で安心してるみたい。
何だかんだ、ナミルがお姉さんなのかな。
「あのおっさんを骨抜きにしてやったにゃ。」
舌なめずりしながらイタズラっぽく笑う。
「厚待遇で雇ってくれるらしいから、ナミルは別行動しようと思うにゃ。」
「え、そんな事しなくちゃいけないんですかあ?」
「何でも再来週に月一の集会があるらしいのにゃ。それに出るまで通ってみようと思うのにゃ。」
「でもそれまで働くって事ですよねえ。。」
「そうにゃね。調査ついでに稼げるにゃ。」
「でも・・・」
「ナミルはそう言うの嫌いじゃないし、むしろ好きだから嫌々って訳じゃにゃいよ。」
「ならいいですけど、気を付けて下さいよお。」
「何かあったらぶっ潰すから心配要らないのにゃ。 ふわぁ、眠い。また夜出るから一旦寝るにゃね。昼間の捜査は任せるにゃ。」
そう言ってナミルはベッドに入る。
「ルーシ、夜這いに来てもいいにゃよ。ルーシなら疲れてても相手してあげるにゃ。」
「夜這い?これから朝だよ?」
「そうにゃねぇ。じゃぁ朝這いにゃね。。」
ナミルは冗談言いながら眠りについた。
ビックリするくらい寝付きがいいのは、疲れてたのかな。
1週間、昼間の捜査に進展はなかった。
あからさまに聞き取りしても怪しまれるだろうし、目立って仕舞うから雑談から切り込んで行きたいのだけれど、2人が見た目コドモなので上手く行かない。
男受けする姿と軽いノリ、なのに女性に嫌悪感を与えないナミルの存在って大事なんだなぁって改めて思う。
「集会はお店の子と主が全員と上客がいっぱい来るらしいにゃ。」
ナミルが起きて出てく間での少しの間、3人で情報交換をしている。
「しかも今回は4ヶ月に1度の総会で、この時しか新しい人を加入出来にゃいんだって。」
やらしい集まりって訳ではない?
「まだ続けるんですかあ?」
とコリティスは上目遣いで聞く。
「間近になればもっと詳しく聞けるだろうからそこで判断しようかにゃぁ。」
「そうですかぁ。。」
「にゃんだ、寂しいのにゃ?」
「そんな事ないですう。」
「にゃんだ。じゃぁルーシと毎日デート出来て嬉しいんかにゃ?」
「それも違いますう!」
「そうにゃのか?こらルーシ、もっと女の子を喜ばせなきゃダメにゃぞ。」
「え、あ、うん。頑張るね。」
「冗談にゃ。ルーシはいつも通り居てくれたらそれだけで癒されるにゃ。」
あ、それ、同感。
「それじゃぁ、行ってくるにゃね。」
次の日は南東側に行ってみる。
そっち側見回るのも3回目。
聞き取りも進展無いから変な宣教師ってのが現れてくれたら良いんだけど。
「夜も見回った方がいいですかねえ。」
とコリティス。
「でもそしたらナミルとお話する時間無くなっちゃうよ?」
「そうですねえ、」
「そしたら寂しいよね?」
「そんな事ないですよお。」
「そう?ボクは寂しいな。」
「そうですかあ?それなら夜は一度帰ってからまた出掛ける様にしましょうかあ。」
「コリティスの素直じゃない所、可愛いなぁってナナチャが言ってるよ。」
「ナナチャ、怒りますよお?」
そんな会話をしながら見回ってると、ローブを纏った人を発見した。
この前の人とは姿が違うし、1人だ。
かなりの高身長で、ローブで体型は分からないけど肩幅は狭い。
「神は沢山の愛を持っておられます。」
向かいの身なりの良い小柄な老夫婦に向かってそんな事を言っている。
腰を折って視線を合わせている姿が何かイビツ。
腰の曲がり方が変なのかな。
「貴殿方も沢山の愛を与える事が出来ます。」
老夫婦は陶酔してる様な表情だ。
これが宣教って言えるのか分からないけど、この前見たローブの人達と目的が違うのは明らか。
その時点で目標な可能性が高いわね。
「(動き出したら、後つけましょうかあ。)」
コリティスが小声で言う。
だが、動き出す前にこちらの視線に気付かれる。
真っ直ぐこっちに向かって来てるので、今さら隠れる訳にも行かない。
んー、尾行ヘタクソ。
「お嬢さん方も神を信仰されてますか?」
2人にもさっきの老夫婦の時の様に腰を折り、顔を付き合わせる。
「あ、はい。。」
面長な顔に小じわが沢山な男。
ただ、そんな事よりも左の頬骨辺りに彫られた刺青。
「神は貴殿方も愛しておられます。」
1尾の魚の刺青。
「貴殿方も大人になったら沢山の愛を与えられる様になって下さい。」
ローブの男は2人の目を交互に見ながら話し、話し終えると何もなかったかの様に歩き出した。
2人は顔バレしちゃってるからアタシだけでも後を追おうかしら。
「ちょっと尾行してくるわね。」
「誰を?」
ルーシ何とぼけちゃってるのかしら。
「今のローブの人よ?コリティスにも伝えてくれる?」
「コリティス、ナナチャが尾行してくるって言ってる。」
「誰をですかあ?」
あれ、コリティスまで?
「今のローブの人をだって。」
「ローブの人?あぁ、それより一旦宿にかえりましょうかあ。」
「うん。そうだね。」
あれあれ?2人共どうしちゃったの?
宿に戻るとナミルは既に起きていた。
「お帰りにゃ。今日は何かあったかにゃ?」
「特にないですねえ。」
とコリティス。ルーシも頷いてる。
「ミュー、ミュー。」
「ん?ナナチャ、どうしたにゃ?」
「ローブ姿の人に出会ったじゃんて言ってるよ。」
「ローブ姿?この前の奴等かにゃ?」
「ううん。違った。」
「ふーん。でも気にならなかったなら、教会の調査だったのかにゃ?」
「うーん、どうでしたっけえ?」
「どうだったっけ。」
やっぱり2人の様子がおかしい。
「?2人して記憶が曖昧にゃのか?」
ナミルも気付いたみたいで訝しむ。
「ミュー!ミュー!」
アタシはナミルの足をカリカリして猛アピール。
「ナナチャは何て言ってるのにゃ?」
「何か、ボクとコリティスが変だって言ってる。」
「ええ?変じゃ無いですよお?」
ルーシはちょっと不服そうだけど、ちゃんと通訳してくれてる。 よかった。
「ルーシ、ナナチャの言ってる事、一言一句変えずに伝えて欲しいにゃ。」
ナミルがアタシの思いを感じ取ってくれた。
彼女が物凄く頼もしく思える。
アタシはローブ姿の男と出くわした時の事をなるべく事細かに話す。
もちろん魚の刺青の事も。
「魚の刺青なんてメチャメチャ気になるじゃにゃいか!」
でしょ、そうでしょ。なのに2人は無関心なのよ。
「確かに刺青はありましたねえ。」
「え、なのに気にならないにゃ??」
「うん。別に。」
「これは確かに変にゃ。」
ナミルも2人の様子を理解してくれた。
「どうしちゃったんだろう。ナナチャ、理由分かるにゃ?」
「分からないわ。」
「分からないって言ってる。」
ルーシとコリティスは自分達がどうかしてる事に気付いてないので、顔を見合わせて首を傾げてる。
「にゃぁ!もうめんどくさい!」
ナミルが吠える。
堪え性の無さにビックリしちゃう。
頼りは彼女だけなのに。。
「コリティス、シャキッとしろにゃ!」
そう言ってナミルはコリティスの頬を挟む様に叩く。
「いったあい!」
心なしかコリティスの目が開いた。
というか、さっきまで少し虚ろだった事に今、見比べて気が付く。
「あれ?私どうしちゃってたんでしょう。」
「お、元に戻ったにゃ?」
マジで?ナミル、グッジョブじゃん。
「なんだったんでしょお、ローブの男の事になると意識がぼやけてたようなあ。」
ルーシもそうなのかな。何となく彼も目が虚ろな気がする。
パチン!
今度はルーシの頬を叩く。
「あれ?」
ルーシもコリティスと同じ反応をする。
「よし、ルーシも戻った。今日は休みなんだけど、店主とお茶してくるにゃ。遅くならないからまた後で話すにゃ。」
ナミルは2人に手を振りながら部屋を出ていく。
休みにハッチャンとお茶なんて、気に入られてるのかな。
上手く取り入ってるみたいね。
ナミル、助かったわ。ありがとう。
正気に戻った2人が状況を確認しあい、ある程度結論着けた後、しばらくしてナミルが帰って来た。
「ただいまにゃ。」
「お帰りなさいい。」
「調子はどうにゃ?」
「大丈夫ですう。」
「ナナチャはどう思うにゃ?」
「ミュー。」
「大丈夫そうだって。」
「なら良かった。で、何があったのにゃ?」
端からの状況はアタシが詳しく話ししたけど、彼らに何が起きたのかはナミルはまだ知らない。
「たぶん催眠を掛けられたんだと思うんですよお。今でも顔は曖昧にしか思い出せませんし。」
「催眠?そいつのスキルって事かにゃ?」
「おそらく。何の動作もなかったですからあ。」
「目が合った後からちょっとボーッとしだした気がするんだ。」
とルーシ。
あの老夫婦の陶酔した表情も、もしかしたら同じだったのかも知れない。
「ナミルはどうだったんですかあ?」
「集会についてちょっとだけ教えて貰えたんたけど、にゃんでもその集会に出席すると1ヶ月食えるだけのお金を貰えるらしいにゃ。」
それってどれくらいだろう。小金貨3枚か4枚位?
「集会は夜更けからで、全員ローブ着て参加するらしいにゃ。それも下に何も着ないで。」
うわうわ。怪しさ満点じゃないの。
「怪しい儀式とかしそうじゃにゃい?」
「いかがわしい催し物なだけ気もしますけどお。」
コリティスの意見の方が可能性高そうに思うわね。
「その集会と昼のローブの人って関係ないのかなぁ。」
「わかんにゃいけど、今回が新規加入受け付けてるのって1番偉い人が来るからだとか言ってたにゃぁ。」
「ドアノブの印が集いの参加者の証だったとして、頬に似た刺青のある男が催眠を掛けるスキルを持っている。何だか犯罪臭がしてきましたねえ。」
「ん?それってまた仕事とは関係にゃいって事?」
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