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第3章~新たなる試練~
第30話
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「本当は、腕がなくなる前に来てあげたかったけど……」
「……いや、来てくれただけでもありがたい。今度ばかりはもうだめだと思ったし……」
「私もちょっとヒヤッとしたよ。今後は一人で森に入らないようにね」
「ああ、もちろんだ」
そう頷いた時、胸元がもぞもぞ動いてピピがひょこっと顔を出した。
「おや? お前、またうさぎを庇ってたのかい?」
「ははは……迷ってたところを道案内してくれたものだから、つい」
アクセルは無事だった右手でピピを抱き上げると、そっと地面に下ろした。
「巻き込んでしまってすまなかったな。もう大丈夫だから、きみは家にお帰り」
「……ぴ?」
「元気でな」
「ぴー……」
ピピに別れを告げ、再度兄の肩を借りる。
一緒に助けに来てくれたミューは、大鎌と一緒に先程狩った狼を背負っていた。
「よし! じゃあぼくが森の出口まで連れてってあげる。街に戻ったら狼のシチュー作ってね」
「……ああ、わかったよ」
でもその前に腕を治させてくれ……と思いつつ、ミューについていった。
ミューの道案内はかなり強引で、茂みをずんずん突き進むわ、行く手を遮っている樹木を切り倒すわ、やりたい放題だった。
――これは道案内じゃなくて、自ら道を切り開いてる感じだな……。
さすがはランキング一位の戦士、やることが豪快である。見た目は可愛らしい少年なのに、なんだろうこのギャップは。
無理矢理森を突っ切り、どうにか街に戻る。崖から落ちて、狼に襲われた上、腕一本持って行かれてしまったが、なんとか無事に帰って来られてよかった。
早速泉に向かおうとした時、兄が首を捻って後ろを見た。
「ねえアクセル、あの子ついてきてるよ」
「えっ……?」
「……いや、来てくれただけでもありがたい。今度ばかりはもうだめだと思ったし……」
「私もちょっとヒヤッとしたよ。今後は一人で森に入らないようにね」
「ああ、もちろんだ」
そう頷いた時、胸元がもぞもぞ動いてピピがひょこっと顔を出した。
「おや? お前、またうさぎを庇ってたのかい?」
「ははは……迷ってたところを道案内してくれたものだから、つい」
アクセルは無事だった右手でピピを抱き上げると、そっと地面に下ろした。
「巻き込んでしまってすまなかったな。もう大丈夫だから、きみは家にお帰り」
「……ぴ?」
「元気でな」
「ぴー……」
ピピに別れを告げ、再度兄の肩を借りる。
一緒に助けに来てくれたミューは、大鎌と一緒に先程狩った狼を背負っていた。
「よし! じゃあぼくが森の出口まで連れてってあげる。街に戻ったら狼のシチュー作ってね」
「……ああ、わかったよ」
でもその前に腕を治させてくれ……と思いつつ、ミューについていった。
ミューの道案内はかなり強引で、茂みをずんずん突き進むわ、行く手を遮っている樹木を切り倒すわ、やりたい放題だった。
――これは道案内じゃなくて、自ら道を切り開いてる感じだな……。
さすがはランキング一位の戦士、やることが豪快である。見た目は可愛らしい少年なのに、なんだろうこのギャップは。
無理矢理森を突っ切り、どうにか街に戻る。崖から落ちて、狼に襲われた上、腕一本持って行かれてしまったが、なんとか無事に帰って来られてよかった。
早速泉に向かおうとした時、兄が首を捻って後ろを見た。
「ねえアクセル、あの子ついてきてるよ」
「えっ……?」
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