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第13章~獣化の秘密~
第20話
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「少なくともオレは知らないな。オレ、多分アクセルより十年? 二十年? くらい先輩だけど、昨日の今日でいきなりドカンと獣っぽくなるのは聞いたことない。普通は『最近やけにお腹が空くな?』程度の違和感から始まって、数日経っても収まらないから『変だな』と思って診断しに行ったら『獣化でした』……みたいな感じだから、フレイン様のはめちゃくちゃレアケースなんじゃねぇかな」
「そ、そうなのか……」
それは初めて知った。やはり兄の獣化は、普通よりかなり進行が早いみたいだ。
であるならば、一刻も早く治療を受けさせないと手遅れになってしまう。
「ま、いいや。とりあえずオレはひとっ走り図書館に行って来るわ。テキトーに獣化の本を集めてくればいいよな?」
「あ、ああ……ありがとう。よろしく頼む」
そう言った途端、アロイスはつむじ風のようにダッシュして図書館に出掛けていった。
待っている間、アクセルは再び兄の様子を見に行った。兄は相変わらず起きる気配もなく、静かな寝息を立てている。
――あなたは今、どんな夢を見てるんだろうな……。
せめて幸せな夢を見ていて欲しい。
今でこそやりたい放題に振る舞っているけれど、これでも兄はずっと苦労して生きて来たのだ。ヴァルハラに来て十年以上経って、弟が合流してようやくやりたいことが存分にできるようになったのだ。
それなのに、ラグナロクは起こるわ弟はいなくなるわ、トラブル続き。ちょっと平和になったかと思えば、今度は獣化だ。
――なんで兄上ばかりこんな目に……。
「そ、そうなのか……」
それは初めて知った。やはり兄の獣化は、普通よりかなり進行が早いみたいだ。
であるならば、一刻も早く治療を受けさせないと手遅れになってしまう。
「ま、いいや。とりあえずオレはひとっ走り図書館に行って来るわ。テキトーに獣化の本を集めてくればいいよな?」
「あ、ああ……ありがとう。よろしく頼む」
そう言った途端、アロイスはつむじ風のようにダッシュして図書館に出掛けていった。
待っている間、アクセルは再び兄の様子を見に行った。兄は相変わらず起きる気配もなく、静かな寝息を立てている。
――あなたは今、どんな夢を見てるんだろうな……。
せめて幸せな夢を見ていて欲しい。
今でこそやりたい放題に振る舞っているけれど、これでも兄はずっと苦労して生きて来たのだ。ヴァルハラに来て十年以上経って、弟が合流してようやくやりたいことが存分にできるようになったのだ。
それなのに、ラグナロクは起こるわ弟はいなくなるわ、トラブル続き。ちょっと平和になったかと思えば、今度は獣化だ。
――なんで兄上ばかりこんな目に……。
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