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第二部 虚構の楽園
12籠絡と懐柔③※
「父上……お聞き入れくださりありがとうございます。
さらに僭越は承知で申し上げるならば、エベールに氷獣界をお与えになってみてはいかがでしょう。
かの地も過酷な環境ゆえ統治は困難でしょうが、あの広大な領地をお与えになれば、父上のエベールに対する慈愛を皆の前に示すことになりましょう。
また氷獣界は冥府から遠く離れており、父上の望まれるとおり一時的にも彼を遠ざけることがかないます。
さらに万一、なにかエベールに手落ちがあったとすれば、それを理由に……」
冠位を剥奪してしまえばよいではないか、と云おうとして、エベールの肩を持つ立場であることを思い出し、やめる。
「…いえ無論、そうならぬよう祈っておりますが」
「分かった分かった、何故それほどまでに異母弟を持ち上げるのだ。幼い頃ならいざ知らず、いまでもそれほどに仲が良いとは思わなかったぞ」
「血を分けた兄弟でありますゆえ」
ナシェルは嘯きながら己の口巧者ぶりに舌を巻く。
「話はそれで終わりか」
「はい、陛下」
「では、こちらへおいで」
冥王は突如態度を急変させた。
「………」
やけに聞き分けが良かったのは、これしか考えていなかったからなのか……。
唯々諾々と服従などしてやるものかと、ナシェルは唇を引き結ぶ。
王は両手を広げて微笑する。
「どうしたの、ナシェル」
まずい、と思ったときには既に、血の如き双眸と、その上のルビーに囚われている。
やはり、何か、呪がかかっているのではないか?あの石……。 躯の自由が効かない。
セダルは立ち竦む彼に間を詰めてくる。
「久しぶりにたっぷり時間がある……、先ずは湯殿の中で……それから閨でしよう。そこにある姿見を近づけて、そなたの乱れる様を鏡に映しながらするのが良いな……」
「な、何を云ってるんです……」
朱に染まった頬を撫でてくる、白い指に、ぞわりと背が粟立つ。
王は優しく蕩かすように耳元で誘惑する。
「……そなたも飢えておるだろう、長いこと間が空いたからな……? 余も今宵はたっぷりとそなたに神司を注いでやりたい……」
「……狂ってます、貴方は……」
「ならばそなたも狂え。余の腕の中で」
心の奥で、それを……神司を、求めているのは確か。
強大な闇の力を餌にされれば、それ以上の抵抗も表面だけの無意味なものへと化す。
――否、闇の力を欲するがゆえではないのかもしれない。
この異常なまでの躯の疼き。
実を云えば、冥府へ来る前からずっとなのだ。
逃げ隠れを繰り返しながらも、己も、貴方との猛々しいひとときを渇望していたということか。
けれども頑ななナシェルはそれを認めたくはないのだ。
自己の中の倔い部分が叫んでいる。
今宵こそは、云いなりには、なるまいと。
『高邁なれ』と心に命じながらも、躯のほうは早々に敗北して求めはじめる。
力なく凋落する花弁のように。
彼は呆気なく零落し、躊躇いがちに、王の肩に手を添えた。
王はとろかすような甘い、淫らな言葉をナシェルの耳に吹き込む。
身を震わせ俯くナシェルの頤を持ち上げて、唇を重ねた。
「さあおいで……湯殿へ行こうね……」
精霊たちが姿見の上に腰掛け、王の睦言に恍惚と聞き入っていた。
***
湯殿の中でナシェルは、体を清められながら王の手で優しく手淫をほどこされて、泡みずくで射精させられた。
とろとろになった体を花崗岩の敷石の上に這わされて、湯殿の湯であたためられた張り型を後孔に賜り、穴の収縮で自然に張り型が蠢くところを視姦される。
淫らな言葉を強制され、ナシェルは羞恥に震えながらも昂り、尻を上げて父の肉筒を懇願されられた。
まだ恥らいの残る様子を見て、王はその場では望みのものを与えない。張り型をゆるゆると出し入れして後ろを馴らしつづけ、ナシェルのそこが充分に弛緩し、飢渇で意識が飛びかけたところで彼を立たせた。
体を拭かれ、湯殿を出て天蓋つきの豪奢な寝台まで歩かされる間もナシェルは「張り型を落としてはならぬ」と命じられて。
たっぷり塗り込められた獣油のせいでツルリと抜けかけるそれを、きつく締めてふらつきながら寝台へ行く。
ぎこちなく、支えのなければ歩けぬナシェルに王は肩を貸してくれ、寝台にあがるときも優しく手を添えてくれた。
寝台の上で、今度は大きな姿見に己の裸体を晒す。
「膝を開いて……自分の姿を見ていてごらん」
後ろに座った父に腰を支えられ、淫具でふたたび中を衝かれる間も目を背けることは許されず、腰をゆらす淫らな己を見つめた。
ふたたび勃起した亀頭の尖端からトプトプと白い種液がこぼれて落ちるのを、ナシェルはぼうっとした眼で眺める。
従順な様子を褒められて、口づけが与えられた。
王の容赦ない巧みな鞭と、ほんの少しだけ与えられる飴に酔い痴れる。
もう王の逸物以外に欲するものは何もなくなり、気づけば王に縋り、上ずった声で泣訴していた。
「いれてください、これじゃなくてもう貴方のを挿れて……、お願い、欲し……ナカに……」
「やっと素直に言えるようになったな、いい子だね」
ようやく張り型が抜かれた。
ローブの前を寛げた王が覆い被さり、寂しげに収縮する孔へ押し入ってくる。
硬さと大きさに、王の愛を悟った。
「はぁ…ッ…ゃあ゛ぅ…ッぁ、おく、すご、い…っんん…っ! 」
ナシェルは媚肉を擦られる快楽に嬌声を上げ、火照った肉襞で王に絡みついた。
ぽたたっ、と尖端からはまた白濁が溢れ、シーツの上に散る。
絶頂を繰り返し妖艶な色香に染まった体は、傘の張った怒張で突かれる都度に瘧のごとく震え乱れる。
「んん――――ッ」
ナカで何回逝ったの……? と意地悪く訊かれながら甘く突き上げられて。
快感に耐えられずばたつかせた手を、優しく握られた。
ちゅ、と中指の間を愛おしげに吸われながらナシェルはまたも中で雌逝きをしてしまい、
「もう……おねがいです、逝って、出して」と必死にせがんだ。
セダルは懇願は聞かず猛然と腰を入れて媚肉の奥を丹念に責めつづけた。
最後はふらふらになったナシェルに「もう少しだ、頑張ろうね……」などと声をかけて意識を保たせつつ、神の司のたっぷり込められた精を浴びせかける。
体に沁み亘る闇の神司。
それは、ナシェルに神格が上がったような錯覚をもたらす。
上位神としての冥王の司は麻薬さながらにナシェルを縛り、中毒化させてゆく……。
耽溺し、依存しきったナシェルはもはや解放されることを拒み、物欲しげに手を伸ばす。
……己もとうに狂っている、と自覚しつつも、自制など効かない。
営みは長い時間、閨の中で繰り返された。
(本当は貴方の精だけを浴びて生きていたかった。
私を中途半端に自由になどさせなければよかったのに。
貴方が私をあの血腥い風の吹く場所に送りさえしなければ――)
さらに僭越は承知で申し上げるならば、エベールに氷獣界をお与えになってみてはいかがでしょう。
かの地も過酷な環境ゆえ統治は困難でしょうが、あの広大な領地をお与えになれば、父上のエベールに対する慈愛を皆の前に示すことになりましょう。
また氷獣界は冥府から遠く離れており、父上の望まれるとおり一時的にも彼を遠ざけることがかないます。
さらに万一、なにかエベールに手落ちがあったとすれば、それを理由に……」
冠位を剥奪してしまえばよいではないか、と云おうとして、エベールの肩を持つ立場であることを思い出し、やめる。
「…いえ無論、そうならぬよう祈っておりますが」
「分かった分かった、何故それほどまでに異母弟を持ち上げるのだ。幼い頃ならいざ知らず、いまでもそれほどに仲が良いとは思わなかったぞ」
「血を分けた兄弟でありますゆえ」
ナシェルは嘯きながら己の口巧者ぶりに舌を巻く。
「話はそれで終わりか」
「はい、陛下」
「では、こちらへおいで」
冥王は突如態度を急変させた。
「………」
やけに聞き分けが良かったのは、これしか考えていなかったからなのか……。
唯々諾々と服従などしてやるものかと、ナシェルは唇を引き結ぶ。
王は両手を広げて微笑する。
「どうしたの、ナシェル」
まずい、と思ったときには既に、血の如き双眸と、その上のルビーに囚われている。
やはり、何か、呪がかかっているのではないか?あの石……。 躯の自由が効かない。
セダルは立ち竦む彼に間を詰めてくる。
「久しぶりにたっぷり時間がある……、先ずは湯殿の中で……それから閨でしよう。そこにある姿見を近づけて、そなたの乱れる様を鏡に映しながらするのが良いな……」
「な、何を云ってるんです……」
朱に染まった頬を撫でてくる、白い指に、ぞわりと背が粟立つ。
王は優しく蕩かすように耳元で誘惑する。
「……そなたも飢えておるだろう、長いこと間が空いたからな……? 余も今宵はたっぷりとそなたに神司を注いでやりたい……」
「……狂ってます、貴方は……」
「ならばそなたも狂え。余の腕の中で」
心の奥で、それを……神司を、求めているのは確か。
強大な闇の力を餌にされれば、それ以上の抵抗も表面だけの無意味なものへと化す。
――否、闇の力を欲するがゆえではないのかもしれない。
この異常なまでの躯の疼き。
実を云えば、冥府へ来る前からずっとなのだ。
逃げ隠れを繰り返しながらも、己も、貴方との猛々しいひとときを渇望していたということか。
けれども頑ななナシェルはそれを認めたくはないのだ。
自己の中の倔い部分が叫んでいる。
今宵こそは、云いなりには、なるまいと。
『高邁なれ』と心に命じながらも、躯のほうは早々に敗北して求めはじめる。
力なく凋落する花弁のように。
彼は呆気なく零落し、躊躇いがちに、王の肩に手を添えた。
王はとろかすような甘い、淫らな言葉をナシェルの耳に吹き込む。
身を震わせ俯くナシェルの頤を持ち上げて、唇を重ねた。
「さあおいで……湯殿へ行こうね……」
精霊たちが姿見の上に腰掛け、王の睦言に恍惚と聞き入っていた。
***
湯殿の中でナシェルは、体を清められながら王の手で優しく手淫をほどこされて、泡みずくで射精させられた。
とろとろになった体を花崗岩の敷石の上に這わされて、湯殿の湯であたためられた張り型を後孔に賜り、穴の収縮で自然に張り型が蠢くところを視姦される。
淫らな言葉を強制され、ナシェルは羞恥に震えながらも昂り、尻を上げて父の肉筒を懇願されられた。
まだ恥らいの残る様子を見て、王はその場では望みのものを与えない。張り型をゆるゆると出し入れして後ろを馴らしつづけ、ナシェルのそこが充分に弛緩し、飢渇で意識が飛びかけたところで彼を立たせた。
体を拭かれ、湯殿を出て天蓋つきの豪奢な寝台まで歩かされる間もナシェルは「張り型を落としてはならぬ」と命じられて。
たっぷり塗り込められた獣油のせいでツルリと抜けかけるそれを、きつく締めてふらつきながら寝台へ行く。
ぎこちなく、支えのなければ歩けぬナシェルに王は肩を貸してくれ、寝台にあがるときも優しく手を添えてくれた。
寝台の上で、今度は大きな姿見に己の裸体を晒す。
「膝を開いて……自分の姿を見ていてごらん」
後ろに座った父に腰を支えられ、淫具でふたたび中を衝かれる間も目を背けることは許されず、腰をゆらす淫らな己を見つめた。
ふたたび勃起した亀頭の尖端からトプトプと白い種液がこぼれて落ちるのを、ナシェルはぼうっとした眼で眺める。
従順な様子を褒められて、口づけが与えられた。
王の容赦ない巧みな鞭と、ほんの少しだけ与えられる飴に酔い痴れる。
もう王の逸物以外に欲するものは何もなくなり、気づけば王に縋り、上ずった声で泣訴していた。
「いれてください、これじゃなくてもう貴方のを挿れて……、お願い、欲し……ナカに……」
「やっと素直に言えるようになったな、いい子だね」
ようやく張り型が抜かれた。
ローブの前を寛げた王が覆い被さり、寂しげに収縮する孔へ押し入ってくる。
硬さと大きさに、王の愛を悟った。
「はぁ…ッ…ゃあ゛ぅ…ッぁ、おく、すご、い…っんん…っ! 」
ナシェルは媚肉を擦られる快楽に嬌声を上げ、火照った肉襞で王に絡みついた。
ぽたたっ、と尖端からはまた白濁が溢れ、シーツの上に散る。
絶頂を繰り返し妖艶な色香に染まった体は、傘の張った怒張で突かれる都度に瘧のごとく震え乱れる。
「んん――――ッ」
ナカで何回逝ったの……? と意地悪く訊かれながら甘く突き上げられて。
快感に耐えられずばたつかせた手を、優しく握られた。
ちゅ、と中指の間を愛おしげに吸われながらナシェルはまたも中で雌逝きをしてしまい、
「もう……おねがいです、逝って、出して」と必死にせがんだ。
セダルは懇願は聞かず猛然と腰を入れて媚肉の奥を丹念に責めつづけた。
最後はふらふらになったナシェルに「もう少しだ、頑張ろうね……」などと声をかけて意識を保たせつつ、神の司のたっぷり込められた精を浴びせかける。
体に沁み亘る闇の神司。
それは、ナシェルに神格が上がったような錯覚をもたらす。
上位神としての冥王の司は麻薬さながらにナシェルを縛り、中毒化させてゆく……。
耽溺し、依存しきったナシェルはもはや解放されることを拒み、物欲しげに手を伸ばす。
……己もとうに狂っている、と自覚しつつも、自制など効かない。
営みは長い時間、閨の中で繰り返された。
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