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敵対する侯爵子息と禁断の恋に落ちた侯爵令嬢は、神聖な教会で背徳の愛撫にあえかな吐息を漏らす

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「シャル、綺麗だ。どんな女神も、君の美しさには敵わない」

 ルノの言葉に頬を上気させ、後ろを振り返ると、潤んだ瞳で彼を見上げた。目が覚めるほどに眩いプラチナブロンドに魅惑的なアクアマリンの瞳、すっと通った鼻筋、キュッと硬く結ばれた形の良い唇、シャープな顎のライン。

 彼は、神の申し子のように美しく気高かった。

 こんなの、だめって思うのに……ルノに、逆らえない。
 躰が、心が求めてしまう。

 求めあうように唇が近づき、口づけを交わす。

 ルノの細くしなやかな人差し指が、頬から首筋、乳房へ。その先端にある突起を避け、お腹の中心部へと線を描きながら下りていく。

 彼の指先がドレスを押し下げ、パニエの紐がするすると緩められる衣擦れの音が甲高く響いた。

 やがて、ドレスと共にパニエが足元で私の周りを囲んだ。一糸まとわぬ姿を後ろ姿とはいえルノに見られ、顔から火が出そうな程恥ずかしくなる。そんな私の腰を彼が引き寄せ、ふわっと持ち上げる。

「ゃ……」

 正面から、見られちゃう。

 ルノはそんな私の小さな抵抗の声など聞こえないかのように、床に落とされたドレスを避けた。何もつけていない生まれたままの姿にされた私は、ルノの逞しい腕に抱かれながら、恥ずかしさのあまり瞳をギュッと瞑った。

 ドクン、ドクンと打ち鳴らす心臓が躰を突き破りそうな程、響いてる。

 ルノに、心臓の音聞かれちゃう。

 そう思うと、ますます爆動が大きくなった。

 力強く支えていたルノの腕が慎重に下ろされ、再び薔薇の花弁の感触と鼻腔を擽る匂いに包まれた。まるで眠り姫の魔法を解く王子のように、彼の冷たく柔らかい唇が私のそれと重なる。

「シャル、目を開けて?」

 ルノの甘やかな囁きで、私はおそるおそる瞼を開けた。

 視界の先には、愛しい人の大好きなアクアマリンの美しい瞳があった。

 けれど、そこに映っているのは……

「きゃっ!」

 一糸纏わぬ姿で祭壇に横たわっているという事実を目の当たりにし、慌てて片手で乳房を隠し、もう一方の手で秘部を隠した。

 ルノの美しい瞳でじっと見つめられると、まるで目で犯されているかのような気がして、ドクドクと下半身が疼きを感じ、蜜壷からさらに蜜が溢れ出す。

「……まるでボッティチェルリの『ヴィーナスの誕生』のようだ。神々こうごうしいこの姿に、神々も祝福を与えるだろう」
「私、だけ、こんな姿なんて。恥ずか、しい……」

 そう言った私に、普段は表情を読み取ることが難しいルノがくすっと笑みを浮かべた。

「じゃあ、今度はシャルが脱がせて?」

 その言葉を聞き、目を瞠る。

 ぇ、私が? そ、んなこと……恥ずかしくて、出来ない。
 だからと言って、このまま私だけ裸なのも嫌だし……どうすればいいの?

 そんな思いで迷っていると、ルノが片膝をつき、優雅な仕草で手を差し伸べた。

 おずおずと手を重ね、両足を床について立ち上がさせられる。
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