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双子の姉を愛し、艶かしい彼女の躰に溺れた僕が辿る運命は……

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「もう、類ってば! そんなにくっついたら料理出来ないよ」
「だって、学校ではこんなこと出来ないから。ミューと片時も離れたくない」

 父さんのアメリカ出張に母さんが伴って1週間不在となり、ミューと二人きりの生活を謳歌している。学校から帰った途端、お腹が空いたとごねたらミューは早速制服のままキッチンに立って料理を始めた。

 短い制服のスカートから伸びた細くて長い脚。抱き締めたら折れそうなほど華奢な腰を更に際立たせるようにキュッときつく縛られた赤いエプロンの紐はまるで縛られているようにも思える。食材を切る度に包丁に合わせて豊かな胸が緩く上下に揺れていて、これは間違いなく僕を誘っているとしか思えない。

 後ろからフワッと抱き締めると柔らかくて、いい匂いがする。大好きな、ミューの匂い。鼻で嗅ぐ前に、ミューが包丁を持つ手を止めて、振り向いて眉を下げた。

「類がお腹空いたって騒ぐから、すぐに夕飯作ろうとしてるのに。だったら、類も手伝ってよ」

 怒ってても可愛いな、ミューは。

「ふふっ、いいよ。そしたらもっと二人で一緒にいられる時間があるもんね」

 ミューの腰に回していた手を離し、横に立った。

「何すればいい?」
「じゃ、にんじん切ってくれる? あ、このぐらいの大きさね」

 いい加減な僕と違って、ミューはしっかりしてる。双子で見た目そっくりなのに、なんで性格はこうも違うのかな。

「はーい」
「もうっ、類。ちゃんとやってね」

 ミューが切った肉と野菜が柔らかくなってきたのを確認して一旦火を止めてカレールーを入れ、かき混ぜる。その途端、独特の食欲をそそるスパイスの香りが辺り一面に広がっていき、食欲を刺激する。でも、今の僕には食欲よりも目の前にある美味しい獲物に向けての欲の方が高まっていた。

「こうしてるとさ、なんか新婚夫婦みたいじゃない?」

 まるで性欲なんか感じさせないぐらいに、甘えて肩に寄りかかる。ミューは口角を上げて微笑んだ。

「そう、だね……」

 傷ついたミューの表情。

 また、だ……

 双子は結婚できないと、愛し合ってはいけないのだと知ってから、ミューは時々こんな表情を浮かべるようになった。それは、僕たちが躰を重ねるようになってから、より一層濃くなった。

 ねぇ、ミュー。どんなに罪悪感を持ったところで、僕たちが愛し合う気持ちは止められないんだ。
 だから、そんなの捨てなよ。

 誰に責められようと、否定されようと、関係ない。
 僕たちの愛は僕たちだけが分かっていればいいんだ。

 そうでしょ?

 そんなこと全て忘れさせてあげるから……
 僕に溺れてよ、ミュー。何も見えなくなるぐらいに。

「ミュー……またなんか、変なこと考えてる?」

 顔を上げ、ミューの耳元に吐息と共に囁きかけると、「ンフ……」と艶を帯びたミューの声が漏れる。

「誘ってるの?」

 エプロンの紐を解いて床に落とし、ミューの腰に手を回す。制服のシャツをスカートから抜き去り、指を差し込もうとすると、ミューの躰がピクッと震えた。

「ぁ、ダメ……類。まだ、終わってない……」

 後ろから前に手を回すとミューの手に押さえられた。

 ふふっ、それで抵抗してるつもり?

 押さえられたミューの手ごと、持ち上げた。幼い頃は男女の区別すらつかないぐらい、顔も体つきも声も似ていたけれど、中学から高校へと上がるにつれて、僕は驚異的に男性へと変化していた。背が高くなったし、声も随分低くなって喉仏も出た。華奢で細くはあるけど、ミューより筋力はある。

 そっくりだったミューと変化していくことで、まるで離れていくかのような寂しさを覚える僕は、それを埋めるためにミューと更に繋がりたいと求めているのかもしれない。

 僕たちが、強い絆で結ばれていることを感じるために。
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