【R18•完結】「子どもさえできれば自由にしていいから」と言った夫が執着溺愛して離婚してくれません

紀ノこっぱ

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41. この人と、愛し合えてしまった★

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 舌を絡めると奥に呑み込まれていくみたい。
 シリルとの、深いキスは……爽やかな味がする。
 私を追い立てる動きと同じリズムで舌が踊るたび、下腹に揺れる熱の蕾がひとつずつ咲いていく。
 シリルを離したくないという収縮に、それでもシリルは引き抜けては再び楔を打ち立てる。

(イイ……いつもより、もっと)

 思うほど擦り合う粘膜から愛液が滲んで潤滑を進め、つながりが密になる。

 熱い唇に塞がれて、声も出せない。
 身のうちに封じ込められた快感を逃せない。
 狂ってしまいそう。
 快楽に塗りつぶされるとはこういうこと。

 悶えて、首が振れて、シリルとのキスから解放された。
 求め合いを休め、ひたと互いに見つめ合う。

 私、つい言ってしまった。 
「シリルが好き」って……でも、シリルだって。
「好きだ」って返してくれた。
 そして、今のキス。恋人が……恋情を持つ同士がする深いキスをした。

 私たち、って……好き合っているということ?

「ねえ、シリル……私たち……」
「ずっと……ずっと、待っていた。君が僕のものになるのを」
「え……」
「僕は、ずっと、もうずーっと君のことが好きだったんだからね?」
「う、うそ……?」
「ほんとう。……これで心まで、君は僕の妻だ」

 シリルは私をそんなに好きでいてくれたの? 
 "君は僕の妻"って……ああ、私、シリルの妻でいていいんだ。
 しかもそのことにそこまで……シリルが幸せそうな顔をするなんて。

 そうっと、シリルの指が私の頬に添えられる。

「愛してる、ダリア」
「……あ、う、うん」

 まだ、好きって気がついて気持ちを交わしたばっかりだから、『愛してる』の言葉にびっくりしちゃうわ。
 照れ笑いで返す私を、シリルは大人の余裕で穏やかに受け止めてくれる。
 気持ちが昂って、目尻に溜まっていた涙が、頬を伝った。
 それをシリルの唇が掬って二人に火を灯す律動が緩やかに再開する。

「ん……」

 ほわほわと、ぬるいお湯の中を漂う心地よさ、でも……。

「足りない? やっぱり、こっちかな?」
「あッ!!」

 シリルが角度を変えてさらに深くまで食い込む。
 奥の奥まで、シリルを感じる。お腹の底が溶かされて滴る。
 腰をひねれば結合部からとろみがあふれて垂れた。
 いやらしい状態に、こんなことをしている背徳を感じもするし、それがますます重厚な快楽を連れてくる。

「君のここは……僕のが大好きだね」
「んっ、んぅ……」
「はじめから、君だって僕に夢中になっていたよね……」
「……ん、うん……」

 思えば、そうだった気がする。
 シリルの甘さに、為すがままにされてばかりだった。

「離婚しなくても、子どもをつくっていいかな……?」
「ん……んん……」

 コク、とうなずいた。
 いつかの夜、寂しくなって自分からシリルの肌を求めたことがあった。
 それは、シリルと離れた生活に対するものだけでなく、好きな人との間にできた子どもとも別れる未来を想像したからだった。
 私は、離婚したくない気持ちを自覚した。
 今はシリルとの間に子どもができたのなら……。

「いい。私……あなたと夫婦をして、ゆくゆくは、あなたとの子どもの親をしたいわ」
「……よかった」
 
 波だったシーツを掴み震える私の手に、シリルの手が重なる。
 ああ、いつも包み込んでくれるシリルが、私──

「シリル……あいしてる」
「……ッ。君は……こういうときに言ってしまうんだから」
「あっ!」

 また深く奥を突き上げられて、悦楽に染まった声が漏れた。
 私の「愛してる」に、シリルは感じ入るものがあったみたい。
 さらに強く、繋がろうと楔を押し込んでくる。

「もう逃さないよ……僕とどこまでも落ちてしまえばいい」
「ふぁあ!!」
「僕以外、考えられなくなるくらい、愛し尽くしてあげる」
「うん……、シリルから離れたくない……」
「かわいい……僕のダリア」

 絡めた手指に、力が入る。

「愛してる……シリル、もっと……あいして」
「これは三日で終われるかすら、わからない……ごめんね、もう君を抱き潰しちゃいそう……」
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