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2章.転生
20.
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「やっぱり同情だよね。」
俯いてしまう。分かってたじゃないか。僕もラウルさんを好きなのは運命の番だから。離れたくないと思う気持ちもずっと一緒にいたいと思う気持ちも。
「ユウ。」
名前を呼ばれて顔を上げる。見えないけど僕を見つめてくれてると思うから。
「同情ではない。情が湧くんだ。これだけ一緒にいて愛情が湧いてこないわけないだろう。両親を想い、目が見えなくても明るく笑って、人の心配ばかりして、美味しいそうにオムライスを食べるユウを愛おしく感じてしまうのは止められない。この愛おしさは何年も一緒にいたからこそ育んできた愛情じゃないのか?同情だけで愛情は生れはしない。」
そうなの?それは同情じゃないの?
「ラウルさん…晴一もそう思ってた?」
ラウルさんに聞いても分かるはずもないのにどうしても聞きたかった。
「ユウを好きになったのなら絶対そう思ってるに決まってる。セイイチも愛情が溢れていたんじゃないのか?一番ユウが分かってるだろう?」
「可哀想な子供だからじゃない?」
涙がこぼれ落ちる。
「可哀想だけで結婚するわけないだろう。」
「晴一は僕を愛してくれてた?」
涙が止まらない。
「あぁ、俺と同じように。」
「僕は…可哀想な子供だから…晴一が愛してるって言ってくれたと思ってた…愛情を知らないで育ったから…だから…だから…信じられなかった…」
「セイイチも俺もユウを愛してるんだ。」
晴一のことを知らないのに当たり前のようにラウルさんが言う。
「一緒に暮らそう。前世の話をしてくれ。セイイチの話もしよう。ユウが何を好きか俺が何が好きかも聞いて欲しい。もっと出掛けたい。休みをもらって泊まり掛けで出掛けよう。ピクニックも釣りもしたい。ユウが信じられるまで側にいる。俺は絶対先に死なない。寂しい思いは絶対にさせない。」
「晴一が好きな僕でいいの?ラウルさんを好きになれなくても?」
「あぁ。」
僕は、ラウルさんが運命の番だから好きになってると思う。だけどラウルさんが優しい所も、嫌な部分も、平気で人を待たせる所も知っている。晴一と同じ気持ちになるかと聞かれると分からない。この世界に生まれて愛情を知った。両親とラウルに対する好きって気持ちとは違う。いつかラウルさんを信じられた時、僕もラウルさんと同じ好きって気持ちになれると思う。
「ラウルさん。僕を好きになってくれてありがとう。」
「俺と結婚してくれるか?」
「はい。喜んで。」
涙が止まらない。
「晴一。僕は幸せになってもいいかな?」
『当たり前だろう』と晴一の声が聞こえた気がした。急に抱き抱えられてびっくりする。ラウルさんが自分の胸に僕を抱き込む。心臓の音が速いリズムで刻まれている。
「はぁー。よかった。」
ラウルさん、緊張してたのかな?びっくりし過ぎて涙も引っ込んだ。
「振られると思ってたからな。緊張した。」
「緊張するんだラウルさんでも。」
「お前な~。するに決まってるだろ。振られても何度もプロポーズするつもりだったけどな。」
プロポーズと言う言葉を聞いて一気に顔が熱くなる。そうかこれってプロポーズなんだ。
「どうした?」
「今のプロポーズだと思ったら…何だか恥ずかしくなってきた。」
「そうか。俺は嬉しい。」
僕も嬉しいかも。これから二人で暮らしていくんだ。まだ、先のことは分からないけどラウルさんとだったら上手くやっていけると思う。
「お父さんさん達に話さないと。」
「…実は、もう話している。」
抱き抱えたままラウルさんがソファーに座り、自然に膝に乗せられた。ラウルさんをふとももに跨ぐように座り向かい合わせになった。僕の腰にラウルさんの腕が回っている。
「どういうこと?」
「一緒に住みたいと話してその時に運命の番の話をされた。ユウがいいと言わないと許可できないと言われていた。」
「なんで両親が先なの?おかしくない?」
「団長はいいとして、レネさんに先に許可貰わないとユウがいいと言ってくれても、きっと一緒には住めなかったと思う。」
お母さんは結構ラウルさんのこと応援してくれてたと思うけど。違うのかな?
「半年前に話をしたんだけど…かなり機嫌は悪かった。何度か話をして団長が説得してくれて許可を貰った感じだ。」
そんな前から…ラウルさんと出かけるって言うと服とか選んでくれてたけど。
「まだ側にいてほしかったと言っていた。でも俺が無理だったから。」
ぽたぽたと涙がまた出てくる。
「お母さん…。」
「一緒に住むけどいつでも泊まりに帰っていいし、俺が仕事の時は実家にいてほしい。」
「それでもいいの?今と変わりない気がするけど。」
結婚前提のお付き合いってこんな感じなのかな?
「よくは…ない。基本獣人は好きな相手は誰にも見せたくないくらいなんだ。特に子供が出来るまでは。ユウはまだ成人にもなっていない。俺達は、ゆっくりいこう。」
前世の知識のせいか17歳でも結婚出来るし、なんせオメガだったから。あのままだったら18で子供を産んでいたかもしれないし。しかしこの世界は寿命が長い。17歳といえばまだ産まれたばかりの赤ん坊と一緒だ。
「ユウ。結婚はユウがしたいと思った時でいい。何百年先でもかまわない。」
「そんなに待ってくれるの?」
「…大丈夫だ。」
大丈夫じゃないんだ。でも僕のことを考えてくれてくれる。
「ありがとうございます。たまに帰ったりしますね。二人とも仕事なので家事をしようと思います。今までと逆ですね。ちゃんとラウルさんの洗濯とアイロンもしますからね。」
「ユウ、俺は家政婦として結婚したいわけじゃないからな。妻として迎えたいんだぞ。」
顔が赤くなってる気がする。両手で顔を隠す。
「分かってます。妻として家事をするんです。ご飯はラウルさんにお任せします。仕事で遅い時は作って待ってます。」
そうかと手を取られて瞼にキスをされる。
「いつかラウルと呼んでくれ。」
呼び捨てはきっと無理だと思う。それでもこれからの生活が楽しみで仕方なかった。
俯いてしまう。分かってたじゃないか。僕もラウルさんを好きなのは運命の番だから。離れたくないと思う気持ちもずっと一緒にいたいと思う気持ちも。
「ユウ。」
名前を呼ばれて顔を上げる。見えないけど僕を見つめてくれてると思うから。
「同情ではない。情が湧くんだ。これだけ一緒にいて愛情が湧いてこないわけないだろう。両親を想い、目が見えなくても明るく笑って、人の心配ばかりして、美味しいそうにオムライスを食べるユウを愛おしく感じてしまうのは止められない。この愛おしさは何年も一緒にいたからこそ育んできた愛情じゃないのか?同情だけで愛情は生れはしない。」
そうなの?それは同情じゃないの?
「ラウルさん…晴一もそう思ってた?」
ラウルさんに聞いても分かるはずもないのにどうしても聞きたかった。
「ユウを好きになったのなら絶対そう思ってるに決まってる。セイイチも愛情が溢れていたんじゃないのか?一番ユウが分かってるだろう?」
「可哀想な子供だからじゃない?」
涙がこぼれ落ちる。
「可哀想だけで結婚するわけないだろう。」
「晴一は僕を愛してくれてた?」
涙が止まらない。
「あぁ、俺と同じように。」
「僕は…可哀想な子供だから…晴一が愛してるって言ってくれたと思ってた…愛情を知らないで育ったから…だから…だから…信じられなかった…」
「セイイチも俺もユウを愛してるんだ。」
晴一のことを知らないのに当たり前のようにラウルさんが言う。
「一緒に暮らそう。前世の話をしてくれ。セイイチの話もしよう。ユウが何を好きか俺が何が好きかも聞いて欲しい。もっと出掛けたい。休みをもらって泊まり掛けで出掛けよう。ピクニックも釣りもしたい。ユウが信じられるまで側にいる。俺は絶対先に死なない。寂しい思いは絶対にさせない。」
「晴一が好きな僕でいいの?ラウルさんを好きになれなくても?」
「あぁ。」
僕は、ラウルさんが運命の番だから好きになってると思う。だけどラウルさんが優しい所も、嫌な部分も、平気で人を待たせる所も知っている。晴一と同じ気持ちになるかと聞かれると分からない。この世界に生まれて愛情を知った。両親とラウルに対する好きって気持ちとは違う。いつかラウルさんを信じられた時、僕もラウルさんと同じ好きって気持ちになれると思う。
「ラウルさん。僕を好きになってくれてありがとう。」
「俺と結婚してくれるか?」
「はい。喜んで。」
涙が止まらない。
「晴一。僕は幸せになってもいいかな?」
『当たり前だろう』と晴一の声が聞こえた気がした。急に抱き抱えられてびっくりする。ラウルさんが自分の胸に僕を抱き込む。心臓の音が速いリズムで刻まれている。
「はぁー。よかった。」
ラウルさん、緊張してたのかな?びっくりし過ぎて涙も引っ込んだ。
「振られると思ってたからな。緊張した。」
「緊張するんだラウルさんでも。」
「お前な~。するに決まってるだろ。振られても何度もプロポーズするつもりだったけどな。」
プロポーズと言う言葉を聞いて一気に顔が熱くなる。そうかこれってプロポーズなんだ。
「どうした?」
「今のプロポーズだと思ったら…何だか恥ずかしくなってきた。」
「そうか。俺は嬉しい。」
僕も嬉しいかも。これから二人で暮らしていくんだ。まだ、先のことは分からないけどラウルさんとだったら上手くやっていけると思う。
「お父さんさん達に話さないと。」
「…実は、もう話している。」
抱き抱えたままラウルさんがソファーに座り、自然に膝に乗せられた。ラウルさんをふとももに跨ぐように座り向かい合わせになった。僕の腰にラウルさんの腕が回っている。
「どういうこと?」
「一緒に住みたいと話してその時に運命の番の話をされた。ユウがいいと言わないと許可できないと言われていた。」
「なんで両親が先なの?おかしくない?」
「団長はいいとして、レネさんに先に許可貰わないとユウがいいと言ってくれても、きっと一緒には住めなかったと思う。」
お母さんは結構ラウルさんのこと応援してくれてたと思うけど。違うのかな?
「半年前に話をしたんだけど…かなり機嫌は悪かった。何度か話をして団長が説得してくれて許可を貰った感じだ。」
そんな前から…ラウルさんと出かけるって言うと服とか選んでくれてたけど。
「まだ側にいてほしかったと言っていた。でも俺が無理だったから。」
ぽたぽたと涙がまた出てくる。
「お母さん…。」
「一緒に住むけどいつでも泊まりに帰っていいし、俺が仕事の時は実家にいてほしい。」
「それでもいいの?今と変わりない気がするけど。」
結婚前提のお付き合いってこんな感じなのかな?
「よくは…ない。基本獣人は好きな相手は誰にも見せたくないくらいなんだ。特に子供が出来るまでは。ユウはまだ成人にもなっていない。俺達は、ゆっくりいこう。」
前世の知識のせいか17歳でも結婚出来るし、なんせオメガだったから。あのままだったら18で子供を産んでいたかもしれないし。しかしこの世界は寿命が長い。17歳といえばまだ産まれたばかりの赤ん坊と一緒だ。
「ユウ。結婚はユウがしたいと思った時でいい。何百年先でもかまわない。」
「そんなに待ってくれるの?」
「…大丈夫だ。」
大丈夫じゃないんだ。でも僕のことを考えてくれてくれる。
「ありがとうございます。たまに帰ったりしますね。二人とも仕事なので家事をしようと思います。今までと逆ですね。ちゃんとラウルさんの洗濯とアイロンもしますからね。」
「ユウ、俺は家政婦として結婚したいわけじゃないからな。妻として迎えたいんだぞ。」
顔が赤くなってる気がする。両手で顔を隠す。
「分かってます。妻として家事をするんです。ご飯はラウルさんにお任せします。仕事で遅い時は作って待ってます。」
そうかと手を取られて瞼にキスをされる。
「いつかラウルと呼んでくれ。」
呼び捨てはきっと無理だと思う。それでもこれからの生活が楽しみで仕方なかった。
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