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2話 前世の記憶が甦る

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 リュウトは13歳になった!

 相変わらず同じ年の子供に比べて成長が遅く、周りの子供たちから知恵遅れと思われ虐められて友達もいなかった。

 その日もリュウトのお母さんは、旅館に仕事に行きリュウトは、旅館の近くの公園に行って公園の外れの崖の下を流れる川をぼんやりと見つめてどもりながらため息をつき。

「ぼ、僕は、な、何で皆より成長が、お、遅いのだろうかな。ハァー」

 独り言を言ってため息をついていると、いつも虐めている子供たちが公園に現れ。

「おい! 知恵遅れの真面に話せない馬鹿がいるぞ」

 子供たちは、リュウトを馬鹿にして石を投げつけて来て一番大きな男の子が背中を足で蹴りつけ、リュウトは崖から川の中に転落しまった。

 虐めていた子供たちは、まさか川に落ちるとは思わずに驚いて逃げ出してしまい。リュウトは泳げないので溺れて意識を失ったのでした。


 意識を失ったリュウトは夢を見ていた。

 
 夢の中でリュウトは、此の世界と違う地球の日本と言う国で物理学を専攻している大学院の研究員だったが流行り病で26歳の時に死んだらしい。

 頭が痛くて自宅の布団の中で、目を覚ますとお母さんのマリシャーヌが抱き付いて。

「リュウト、 気が付いた。ワッ―! 良かった」

「えっ? ・・・・僕はどうしたの?」

「リュウト、貴方は虐めっ子たちに川に突き落とされて溺れたのよ。運よく通りかかった人が見つけて助けてくれたのよ。4日間も意識がないまま寝ていて此のまま死かと思って心配したわ。何処か変な所はない。大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ。僕よりお母さんの方が疲れているみたいだから・・・・」

「私は大丈夫よ。リュウトが気が付いたから元気になったわ。それよりお腹すいてない?」

「あっ! そういえばお腹すいている」

 お母さんが消化の良さそうな柔らかい料理を作り、親子で食べてその日はお母さんもリュウトを寝ないで看病していたので疲れていたから2人とも早めに眠りに付いた。

 次に日にお母さんが仕事に行くとリュウトは、意識が無い時に見た夢は前世の自分ではないかと思ったのだ。

 何故ならば、夢で見た人物は大田信二と言い、その人物の子供の時から死ぬまでの記憶をまるで自分の人生だったみたいに全部覚えていたからだ。

 前世の自分は、研究では何事も理詰めで物事を考え、分からない事は徹底的に追及する性格だった。
 
 反面、私生活では、おおらかな性格で友達も多く、しかし女性に関しては鈍感で死ぬまで童貞みたいだった。

 外に出てみると、何故か今まで読めなかった看板の文字が全部読めて書く事も出来てリュウトは、前世の知識のお陰だと確信したのである。

 その数日後に母親のマリシャーヌがリュウトの変化に気付き。

「リュウト、最近は言葉を上手に話せる様になって言葉使いも変わったわね」

 彼は、以前は頭に靄が掛かったみたいな状態で物事をハッキリと考える事や見る事が出来なかったが、前世の記憶が戻ってからはスッキリしていて、正常に物事を考えて見る事が出来る様になっているので。

「お母さん、この間の事件で4日間意識が無かった後から、何故か分からないけれど。頭がスッキリして色んなものが分かるし、言葉も分かるようになったから自分でも不思議だよ」

 リュウトは、前世の記憶の事は信じて貰えないと思いその事は言わなかったのだ。

「ふ~ん! 不思議ね。そう言えばもう直ぐ15歳か・・・・司祭様が急に成長し始める・・・・・・・・」

 お母さんは、何かブツブツ言いながら納得している。

 前世の記憶が甦り、前世の年齢26歳と此の世界の年齢13歳を合わせると39歳に成り。

 知識が増えたリュウトは、暇があると図書館に行き色んな本を読み漁って此の世界の知識を増やしていた。

 【此の世界は前世の科学の代わりに魔法があるのだ】


 魔法には下級魔法の料理の火を起こしたり、洗濯の水を出したりする生活魔法と、冒険者や魔法騎士が魔獣や戦闘に使う中級、上級魔法がある。

 個人の持つ魔力量で使える魔法が決まるらしい。

 魔力量は1~999迄あり、一般人の魔力量は20~100位で中級者が100~500上級者が500~700の魔力量。

 その他に能力と職業があって能力は1~10段階があり、普通は1~3で貴族や冒険者は3~7あるらしい。

 此の世界では、16歳で成人に成り16歳になると天使教会に行き職業と魔法、能力を授けられて自分に合った仕事に就くのが普通で。

 龍神教会では能力等は与える事は無く、何故かは分からないが魔法、能力や職業などを授ける事の出来るのは天使教の教会だけなのだ。

 代表的な職業には、農民、漁民、戦士、剣士、魔法士、鑑定士、商人、薬師、鍛冶師、他にも沢山の職業があり。聖女、聖剣士、勇者、等の特別な職業も有るらしいのだ。

 天使教の特別な巫女様を通じて天使教の神が魔法、能力、職業などを授けるらしい。

 16歳の成人の儀でその人の人生と身分が決まると言っても過言では無く。


 前世の記憶を持つリュウトは16歳以降の努力や勉強が反映されないのは、おかしいと思ったのだ。

 図書館で勉強の他に前世の記憶を元に身体の鍛錬にも励み、前世に趣味で習っていた剣道の素振りも毎日するようにして、身体はまだ小さいが大分、筋肉が付き男らしくなってきている。

 15歳に成り、急に身長が伸び始めて今では同じ年の子供より大きくなり、あの虐めていた子供たちと喧嘩しても簡単に勝つようになった。


 リュウトはお母さんを楽にする為に16歳の成人になったなら冒険者に成ろうと思っている。

 最近は、母親お母さんの働いている旅館の食堂で夕方の忙しい時間に手伝い女将からお小遣いを貰っていた。

 此の世界の貨幣は前世の円にすると。

鉄貨、・・・・・・10円
銅貨・・・・・・100円
銀貨・・・・1,000円
大銀貨・・・10,000円
金貨・・・・・・・・10万円
大金貨・・・・・100万円
白金貨・・・・・1,000万円

 小遣いを貯め、大銀貨2枚で中古の日本刀に似た片手剣を買い、王都の郊外の森に行き2mくらい迄の小さな動物を相手に戦い剣の稽古をしていた。

 そんなある日にリュウトは、前世で息抜きに読んでいたラノベ小説に書いてあった自分の能力を見る事の出来る“ステータスオープン”を思い出して悪戯心で。

【ステータスオープン】

と言ってみると彼は、腰を抜かす程に驚いたのだ。

 何と、目の前に前世のパソコンの画面みたいなものが現れて其処には。

名前、リュウト(大田信二)
創造の神の加護持ち
年齢、15歳
種族、龍人族
魔力、500
能力、 5
創造の魔法使い。
(全魔法が使える)
職業、魔法剣士
万能翻訳機能保持者
(どんな言葉でも翻訳する機能)

『う 嘘だろうー! ・・・・ こんな事があるはずが無い・・・・』

 リュウトは、画面を見て声を上げて驚いたのだ。

 本来は、天使教会で16歳の成人の儀を済ませてから天使教の特別な巫女からだけしか授かる事の出来ないはずの、能力が授かっていたのだから彼が驚くのも無理が無かったのだ。
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