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4章 魔法少女と人神の祠
106話 魔法少女は海に行く
しおりを挟む私達が船の泊地に着くと、漁師の人達が漁船から降りてるのが見えた。
「あれ?もうお終いなんでしょうか?」
「あー、漁は朝方からだからか……」
どこかで聞いた話だけど、朝とか夕方は魚が餌を探す時間だから釣りに適した時間らしい。
うーん、今日は諦めた方がいいのかな?
異世界なんだし、なんか特殊な魚とかいないのかな?
……魚のこと考えてたら、アジフライとか食べたくなってきた。
「ちょっと聞いてみるから、ロアはここで待ってて。」
「私も着いていきます。」
「そう?なら一緒に行こうか。」
漁船から降りてくる漁師さん達から適当に1人を選んで、話を聞くことにした。
許可、取れればいいんだけどね。
船から降りた漁師さんの方に走って行って、聞いてみる。
「あの、ちょっといいですか?」
「どうした?嬢さん達。……ん、そっちの嬢さんはこの前の……」
「あっ、お久しぶりです。あの時はどうもありがとうございました。」
ロアが漁師さんにペコっとお辞儀をした。
ロアとこの漁師さんって、どこかで会ってたのかな?
えー、私が知らないところで謎の交流が生まれてるんだけど。
「ねぇロア、知り合い?」
一応関係を聞いておこうと、耳打ちする。
「はい。一度、お魚を食べさせてもらいました。」
「へぇー。」
私は何を返せばいいか分からないから、相槌だけを打っておいた。
「それで、俺になんの用だい?」
「釣りが出来たりしないかなーっ、て。」
「ダメですか?」
「釣りかー……ちょっと待っててくれ。でもな、今すぐには無理だから、向こうの海にでも行っててくれ。」
そう言って踵を返し、漁師さんは漁船の方に戻っていった。
んー、これはいい返事、なのかな?まぁ悪くはないと思う。
それまでは暇だし、漁師さんの言う通り向こうの海でぶらっとしようかな。
この辺りの海って魔物はいるのかな?いたらちょっと危ない。その時は私が対処すればいいけど、もしものことがあるし、魔力感知でもしとこう。
「魔力探知。」
聞かれないよう、小声で呟く。
見た感じ海に魔物の魔力反応は無いけど……なにか不自然な感じがする。
全体的に魔力の反応が濃くて、なにか凄みを感じさせるような、なんとなく怖いような印象もある。
「ソラお姉ちゃん?早く行きましょうよ。」
「あ、ごめん。」
魔物の反応は無いし、特段危険も無いんだから別に気にする必要は無い。
水竜がいたせいだと結論を出し、私達は海を眺めるために堤防の階段を上がる。
ここの海は穏やかだからか、堤防もそこまで高さは無いし、そもそも堤防が無いところもある。
それって、堤防を作った意味あるのかな。まぁ、そんなこより……
「平和だねー。」
「突然どうしたんですか?」
私の突然の一言に、不思議そうに首を傾げる。
「いや、穏やかな海を見てるとね、心が洗われていく感じがあるんだよ。不思議だねー。」
「ソラお姉ちゃんの言ってることも不思議ですよ。」
クスッと小さく笑うロア。とても辛辣だ。
しれっと酷いこと言わなで……私の魔法少女メンタルはガラスより弱いんだから、取り扱いには気をつけてほしい。
「釣り、出来るでしょうか。」
「出来るといいね。私もやってみたいし。」
そんな何気ない会話で時間を潰し、そろそろかなと思い泊地に戻った。
もう泊地には人はほとんどおらず、やっぱダメかな、と肩を落とす。
さっきの漁師さんも漁船の前にいて、一応是非を聞いてみることにする。
「おう。俺の舩、乗ってくか?」
「はい。……って、いいの⁉︎」
あまりにも自然な流れに、ツッコミを忘れるところだった。
「なぁに、俺達の漁はかごを使った漁でな、朝イチにかごを仕掛けて昼に回収するんだ。そのついでに釣りでもしていけばいい。」
「さっき、確認しに行きませんでした?」
「船員達に話をつけただけだぞ?」
「……ありがとうございます。」
ということで、普通に許可がもらえた。
漁法が違うんだね。テレビとかで横目で見たことはあってけど、種類までは詳しく分からない。
カジキ釣る時、後ろに投げ飛ばすみたいなやつは知ってる。
教科書とかにも載ってた気がするしね。
「嬢さん達、出航するから早く乗ってくれ。」
「すいません、分かりました。」
言われた通りに漁船に乗り込み、いくつかの注意事項を教えられる。
基本的には結構自由にさせてるれて、優しい人なんだなと感じられる。
この世界の人達は、大抵美人で優しい。
わぁお、日本人にもぜひ見習ってほしい。
決して日本人を侮辱してるわけでは無いよ?ただレベルが違うってだけ。
「ロア。船酔いしないようにね。」
「船酔い、ですか?ま、まぁ、気をつけます?」
あれ?もしかして船酔い知らない?ロアは乗ったこと無いから知らないのかな。
「船の揺れで気持ち悪くなることがあるから、もしそうなったら早めに言って。なんとかするから。」
薬はなくとも、魔法はある。ヒールを使えばなんとかなると考えて、ロアにそう言う。
「分かりました、気分が悪くなったら言いますね。」
「うん、そうして。」
遊びに行ってる時に気分が悪くなるのは可哀想なので、杞憂に終わることを願う。
ヒールってどこまでの怪我なら治せるんだろう。
物理的な怪我は大抵治せることは分かったけど、どうなんだろう。
「よーし、出港するぞ!」
漁師さんがそう声を上げたので、私達は安全なところに一旦避難することにした。
転んだりしたら危ないしね。何より初めてなんだし、遠くから見るくらいがちょうどいい。
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ちょっと話構成を間違えまして、無理矢理考えてねじ込んだ話になります。
短めなのは……頭に無い話を無理矢理作ったのでそのせいです。
応援ありがとうございます!
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